SPECIAL TALK Vol.11

~できないことは何もない~

金丸恭文氏 フューチャーアーキテクト代表取締役会長CEO

大阪府生まれ、鹿児島県育ち。神戸大学工学部卒業。1989年起業、代表取締役就任。産業競争力会議議員、規制改革会議委員、内閣官房IT本部 本部員、経済同友会副代表幹事、NIRA代表理事を務める。

まずはリオデジャネイロで金メダル。その後の意外な夢とは

金丸:2016年にはリオデジャネイロパラリンピックが開催されますが、やはり目標は金メダルですよね。

上地:もちろんです。ロンドンパラリンピックでは、シングルスもダブルスもベスト8でした。ロンドンを終え、自分が競技を続けると決めた際、次の目標をリオに定めました。まだ東京での開催も決まっていなかったので、リオで結果を残せるようにこの4年間を頑張っていこうとコーチと誓い合いました。

金丸:来年22歳。東京パラリンピックが行われる2020年でも26歳という若さですね。

上地:そうですね。しかし、いまはまだ何とも言えない部分もあります。大会後には、テニスをやめて、リオデジャネイロに住みたいと思っているかもしれませんし、まったく別のことに没頭している可能性もあります。

金丸:まったく別のことと言いますと?

上地:ロンドンの頃はテニス人生が終わったら、まったく別なことがしたいと思っていました。職業としては裁判所事務員ですとか……。

金丸:えっ! それは意外な答えですね。

上地:今はテニスをしている期間も長くなって考え方も変わってきたんですが、当時は職業としてすごく興味がありました。

金丸:いま、気になる職業はありますか?

上地:いまの自分にも密接に関わってくるのですが、栄養を管理する仕事に関心があります。これからアスリートになっていく子どもたちや頑張りたいと思っている人たちに栄養や薬のことで助言ができる立場になれたらいいなと思います。以前より、少しテニスと関わりのある仕事に興味を持つようになりました(笑)。

金丸:その方がいいですよ。上地さんは好奇心も旺盛で、始めたらできるまでやりますもんね。いまの資産を生かすような形で新しい分野にチャレンジするのが、得策だと思いますね。

打ち勝つべきはトップ選手としてのプレッシャー

金丸:最後になりますが、これまでの経歴の中で自身がブレイクスルーした瞬間というのはいつだとお考えですか?

上地:ふたつあります。ひとつは、やはりロンドンパラリンピックです。成績云々ではなく、ロンドン後の試合は、集中しながらも試合を楽しめている感覚を掴みました。試合中に笑顔が増えて、セルフトークが多くなったのもロンドン後の大きな変化です。貪欲にテニスを極めたいという思いが強くなったからだと思います。もうひとつがいま現在。2014年にいい成績を残せたことで、「こんなに早く?」と戸惑っている自分がいました。そして、トップ選手になったことで、相応のプレイを求められるわけですから、そのプレッシャーに打ち勝たねばなりません。いまはまだプレッシャーと戦っている最中です。これを克服して、もとの楽しめるプレイができれば、またひとつステップアップできるのではないかとワクワクしています。

金丸:2位だと1位という明確な目標があります。しかし、1位になると、それを継続しなくてはいけません。

上地:そこで考え方が変わりました。今年の目標は、試合の結果と同じ位、試合の内容にもこだわりたいと思って練習しています。

金丸:上地さんの強さはチャンスをしっかりとモノにできる力。負けたら負けたで、そこからしっかり学び取ることができること。何事もポジティブに捉えることができる、その心の強さが上地さんなのですね。

上地:まだ、テニスを始めたての頃、「楽しいからテニスを続けたい」と私は母に伝えました。根底にあるのは、純粋なその気持ちです。

金丸:私も若い人に、よく「好きで得意な道を見つけろ」と伝えています。上地さんはまさにそれを体現されていらっしゃる。本日は、上地さんの強さの根幹を感じ取ることができました。まずは、来年のリオデジャネイロパラリンピックですね。応援しています。本日はありがとうございました。

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