SPECIAL TALK Vol.11

~できないことは何もない~

強くなれるコツはなによりテニスを楽しむこと

金丸:ぜひ、お聞きしたかったのですが、車いすテニスで世界一になれた要因は努力だと思いますか? 才能だと思いますか?

上地:どちらもだとは思います。しかし、一番の理由はテニスを楽しんでいることだと思います。どうしたらこの選手に勝てるのかという戦略を考えるのが楽しくて仕方がありません。

金丸:テニスという競技が向いていたのですね。以前、テレビで上地さんのことを拝見した際、試合中のアグレッシブさはもちろん、車の運転はするわ、一人暮らしはしているわと、私生活の活発さにも驚きました。

上地:高校を卒業してすぐに免許を取得しました。運転が好きなので、ときには大阪から九州まで車で行くこともあります。

金丸:そこでも語られていましたが、「できないことは何もない」という上地さんの言葉はまさに名言だと思います。どんな思いから、このような言葉が出たのですか?

上地:本当に言葉通りなのですが、小さい頃から負けず嫌いでした。できるかどうかは、自分で試してみないとわからないと常々思っています。決めるのは自分で、他人にどうこう言われることではないと。両親もその点をすごく尊重してくれ、物心が付いた頃から、できるかできないかにかかわらず、まずやらせてくれる家庭でした。やらないと、自分のできることも、できないこともわかりません。その経験がいまの性格に影響を及ぼしていますね。

金丸:小さい頃から、何でもチャレンジするような性格だったのでしょうか?

上地:テニスを始める前から海外にすごく興味があり、小学校4年生のときには、夏休みのホームステイプログラムに誰にも相談せずに申し込んでいました。なんでも勝手にする子どもでしたので、両親は手を焼いたと思います(笑)。

試合においても常に挑戦。負けから学びとる力

金丸:現在ペアを組んでいらっしゃるホワイリーさんはどのような方なのですか?

上地:年齢は私の二つ歳上でロンドン在住のプレイヤーです。2009年頃に海外遠征をした頃から存在は知っていました。2013年のウィンブルドンを契機に、一緒にプレイするようになりました。

金丸:こういった場合パートナーはどのように決めるのですか?

上地:基本的には個人で連絡を取り合います。今回の場合だとFacebookで「組みませんか」とメッセージを送りました。「この大会でダブルスが決まってなかったら、どうですか」と。そこで相性とか、お互いのプレイのマッチングを計ります。もし、相性がよければ私のように2年くらいは大きな大会で一緒にプレイします。

金丸:SNSを活用しているとは驚きました。ところで、車いすテニスというとオランダが強いですよね。

上地:そうですね。歴代の女王はみんなオランダ人ですし、目下のライバルもオランダ勢ですね。

金丸:なぜ、オランダが強いのでしょうか? 国ごとの特徴などもあるのですか?

上地:全体的に体の大きな国の方なので手足も長いですし、パワーがあります。また、オランダでは車いすテニスに触れ合う機会も多いみたいです。

金丸:ダブルスの場合、ゲームの進め方やそれぞれの動き方は自由なんですか? または、ルールがあるのでしょうか?

上地:女子の場合はふたりとも後ろにステイしてプレイするのが基本です。基本的に横の動きが主流です。かたや、男性のダブルスは前後左右に動き、コート全体を使ったプレイが多くなります。やはり、運動量の問題なのですが、女子もそうしていかないと今後レベルが上がっていかないと思っています。私たちのペアは全仏オープンで負けてしまいました。これを機会に新しいことに挑戦しよう、ということで、ウィンブルドンでは前後の動きも取り入れました。結果的に非常にうまくいきましたし、ふたりのコミュニケーション力でカバーしてプレイできたと思います。

金丸:とういうことは、その戦い方が今後のトレンドになっていくのでしょうね。

上地:そうですね。とくにダブルスはひとりの力では成り立たないので、これで女子のレベルが上がっていくと期待しています。

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