2015.07.21
SPECIAL TALK Vol.10創意工夫の原点は幼少期。何もないことが想像力をかき立てる
金丸:小学校はどちらへ?
設楽:国立の筑波大学附属小学校です。
金丸:そうなると、地元にいた頃と遊びも大きく変わったのではないですか?
設楽:いえいえ。国民の大半が貧乏だった時代なので、大差ないです。いまのようにおもちゃはなかったので、なんでも自分で作って遊んでいました。手先の器用な親父の血を引いているからなのか、創意工夫するのが好きでしたね。割り箸に輪ゴムをつけて、鉄砲のようなものを作ったり、腹話術の人形を作ったりしていました。家業のおかげで、家にはダンボールの破片がたくさん転がっていたので、それを手にしては「何を作ろう?」「何が作れるだろう?」と想像し、ワクワクしていました。考えるのが好きなのはその頃からですね。いまの私に繋がっていると思います。
金丸:何もないというのは決して悪いことではなく、いろんなものを生み出せる可能性を秘めているんですよね。
設楽:すごくそう思います。モノと情報がないことで、かえって創意工夫の能力が高められたように感じます。それこそ、自分の頭ひとつですからね。同じ材料なのに出来上がったものを見比べると、ほかの人とは全然違う作品に仕上がっていて、驚いたり。いまの時代はいろいろなものが揃ってはいますが、昔の方がいい意味でシンプル。楽しめたと思います。
金丸:いまや答えに辿り着くまでのプロセスが、ワンタッチでできる時代ですからね。しかし、指一本で手に入れたものと、苦労して手に入れたものでは、重みがまったく異なります。
設楽:そうですね。私がビームスを始めたのは1976年なのですが、当時は欲しい情報を得るために必死でした。誰に聞けばいいのか、どこに行けばそういう人に会えるのかを必死に考えて走り回り、それでも手に入らないことがありました。いまはキーを叩けば、一瞬で答えが出てしまいます。心の底から欲しくて、手に入らなくて、それでも探してやっと手に入れる喜び。そういう喜びを享受できる時代に生まれて、本当によかったと思っています。
大学時代、横須賀の基地内でアメリカの生活に魅了される
金丸:中・高は、東京教育大学附属中高等学校(現・筑波大学附属中高等学校)を経て、慶應義塾大学経済学部に入学されます。ちょうど学生運動が盛んな時期ですよね。
設楽:団塊の世代のちょっと後なので、学生運動の名残がありました。慶應も学校が封鎖されて、授業を受けたくても受けられませんでした。とはいえ、私は遊ぶことしか考えていませんでしたからね(笑)。中学、高校とサッカー部で鍛えられ、浪人生活も送ったので、大学に入ったときは、遊びたい欲求が極限を超えていました。入学したら絶対に軟派なサークルで遊ぼうと(笑)。結果、広告研究会と、かわいい子に釣られてテニスサークルに入りました。晴れたら湘南、雨が降ったら雀荘という生活でしたね。
金丸:一気にたがが外れたわけですね。
設楽:そうですね。そして、アメリカとの出会いを果たします。広告研究会では毎年夏に、湘南の葉山でキャンプストアを開いていたのですが、ここで横須賀の米軍の子どもたちと友達になったんですね。それで、年に何回か一般の人は入れない米軍基地内に入れてもらっていました。基地には、これまで見たことのない「本物のアメリカ」がありました。芝生の上に将校の住む白い家が建っていたり、大きな犬が走り回っていたりね。庭にバスケットのゴールリングがあって、子どもたちがバスケをしている。足元を見ると、見たこともないカッコいいバッシュを履いている。あれはどこで買えるんだろう、と思いました。いまと違って当時は、彼らが着ているものや履いているものは、どこにも売っていなかった。たまに基地内のバザーで買えるけど、大きすぎて自分に合うサイズじゃない。このときの気持ちが、ビームスの原点です。欲しいけれど、買えるところがないという。
金丸:それは幸運な出会いでしたね。日本にいながら、アメリカを感じることができたんですね。
設楽:当時のインポートマーケットというのは、たとえば百貨店の特選階にある、グッチ、エルメス、ヴィトンなどのハイブランドか、アメ横・横須賀の米軍放出品の2択しかありませんでした。ハイブランドと日用品の中間にあるはずの、有名じゃないけど、いいものというのがまったく手に入らない。ひたすら情報を渇望していた時代でした。
【SPECIAL TALK】の記事一覧
2025.03.21
Vol.126
~「できない」「分からない」の楽しさを伝えたい。万博プロデューサーとして想いを「クラゲ」に込める~
2025.02.21
Vol.125
~卒業して気付いた「まだまだ何でもできる」。元アイドルの肩書に縛られず、自由に挑戦を続けたい~
2025.01.21
Vol.124
~丹後を日本のサン・セバスティアンに。地方の「お酢屋」がまちづくりを考える~
2024.12.20
Vol.123
~モデルから放送作家へ。異色の経歴は恐れずに踏み出した証拠~
2024.11.21
Vol.122
~自分の体を認めることが、自分を好きになるための第一歩になる。~
2024.10.21
Vol.121
~スポーツの喜びをより多くの人が体験できるよう、これからも挑戦はやめない。~
2024.09.21
Vol.120
~日本の農業が続くための仕組みを作り、アップデートできるよう挑み続ける~
2024.08.21
Vol.119
~すべてを制覇したい気持ちは変わらない。経営陣になっても燃えたぎる闘志がある~
2024.07.20
Vol.118
~歌舞伎役者を夢見た少女だから、歌舞伎役者の母としてできることがある~
2024.06.21
Vol.117
~1杯で幸せになる利他的なコーヒーを目指して~
おすすめ記事
2015.06.20
SPECIAL TALK Vol.9
~ANAに脈々と流れるDNA。リスクをとって常にチャレンジをしていくこと~
- PR
2025.03.31
結婚1年目から、激務のせいでギスギス…。崩壊寸前のパワーカップルを救ったアイテムとは?
2015.01.22
絶対に負けられない接待が、今宵はある
受注後の社長会食。『旬房』の個室で堅い握手
2023.08.02
ハラスメント探偵~解決編~
「あんた、バカじゃないの!」思わず新入社員の腕を掴み、怒鳴ってしまった!これってパワハラ?
- PR
2025.03.31
えっ、あの“ミャクミャク”の部屋に泊まれる!?どっぷり万博に浸れる、いまだけのホテルステイとは…
2016.10.17
彼が言うなら間違いない!松岡修造が伝授する“デキる人”になるための10ケ条
2024.03.10
「コスパが良くて、特別感があって絶品!」歓送迎会の参加者全員が喜ぶ、銀座・丸の内の店3選
2023.09.13
ハラスメント探偵~通報編~
地方へ転勤したときに孤独を支えてくれた女性に告白…。そこで彼女が言い放った言葉とは
- PR
2025.03.27
7種類ものフレーバーが楽しめる! この春、台湾生まれのフルーツビールが話題!
- PR
2025.03.28
ほろ酔い美女の正体とは!?17LIVEの人気ライバー4人を、港区のバーにお連れしてみたら…
東京カレンダーショッピング
ロングヒット記事
2025.03.19
運命なんて、今さら
初めて彼のマンションを訪れた28歳女。しかし、滞在10分で、突然「帰りたい」と思った理由
2025.03.22
男と女の答えあわせ【Q】
「豊洲に住んでいる」と33歳男が言った途端に、デート相手の女が戸惑ったワケ
2025.03.23
男と女の答えあわせ【A】
「年収800万くらいでもいいかな…」相手に求める条件を妥協したつもりの30歳女の大誤算
2025.03.17
1LDKの彼方
「何もないって言われたけど…」彼氏が他の女と連絡を取っていたことが発覚。30歳女は思わず…
2025.03.20
TOUGH COOKIES
「幸せそうな彼女がなぜ?」SNSで悪質コメントの犯人を突き止めたら、意外な人で…