2015.07.21
SPECIAL TALK Vol.10人々にハッピーな体験をこの時代のビームスの価値とは
金丸:創業時に比べると、セレクトショップの在り方も大きく変わってきていると思います。社会情勢やインターネットの存在なども影響していると考えられますが、いまはどのようなお店作りをされているのですか?
設楽:昔は私たちがセレクトして見せることで、お客様に価値を提供することができました。しかし、いまは情報が溢れすぎていて、何が正しいのかがわからない状況です。セレクトショップの役割も、以前は見たことのない商品を取り寄せて見せることでしたが、いまは逆に、セグメントとキュレーションをすることではないかと考えています。
金丸:おっしゃるように、いまはキュレーションの時代ですね。セレクトショップという概念を作ってきた設楽社長だからこそ、役割の変遷を強く感じていらっしゃるのでしょう。ところで、現在の商品構成は、どのような割合ですか?
設楽:セクションによって違いますが、半分はバイイングの商品で、半分がオリジナルのプライベートブランド(PB)です。
金丸:ということは、社内にデザイナーや企画する人がいらっしゃるのですね。
設楽:製造は世界各国の工場を使っており、自前の工場は持っていません。Appleと同じ製造モデルです。ただし、うちの場合、デザイナーはいますが、PBでまったく新しい商品を作っているわけではありません。デザイナーには2種類のタイプがあります。一つはクリエーション、いわゆるアーティストタイプ。たとえばコム・デ・ギャルソンの川久保玲さんや三宅一生さんのような、今まで存在しなかったものを作り上げる人。もう一つは、アレンジャータイプ。ラルフローレンやアルマーニなど、すでに存在するものを自分なりのセンスでアレンジする人。ビームスはどちらかというと、アレンジャー。かつてあった名品を、素材を替えて現代風に再現したり、高額すぎて一般の人には手に入らないものを、手に届く商品として再現したり。これまでにも、イタリア製のミリタリーの復刻版を、オリジナルで作ったりしています。
金丸:お客様を驚かせよう、喜ばせようという強い気持ちを感じますね。
設楽:まさにそういう気持ちでやっています。コンセプトは、ハッピーライフソリューションカンパニーです。
金丸:アメリカンライフから、ハッピーライフへと変わっていったわけですね。
設楽:最近はもっと短く言えないかなと考えています。「ハッピーラボ ビームス」のような。というのも、洋服というのは極論、すでにみな持っているものであり、わざわざ買い足す必要のないものだと思うんです。では、何のために買うのか? その答えは、買う行為そのものや、袖を通したときの喜び、人にプレゼントするときのワクワクを感じてもらうためだと思います。ビームスで買うことによって、ハッピーになってもらうことが目的であり、そうした体験を売っているのです。お客様に“体験を買ってもらう”というコンセプトを、今後は当社の基本に据えようと考えています。実はいまファッションだけでなく、車や家電など異業種とのコラボもいろいろやらせていただいていますが、その根底には、買い物という体験を通して、ハッピーになってもらいたいという想いがあるのです。
狙うポジションは“外せないお店”ビームスが勝ち続けた理由
金丸:最後にビームスはこの先、どこを目指していくのでしょうか?
設楽:スタッフには、ディズニーランドよりもアップルストアよりも行きたい場所か、ずっといたい場所を目指せ、と伝えています。なんとなく行きたい、なんとなくいたいと思うのは、そこにテクニックだけではない何かがある、という証拠です。ビームスは来年で創業40年を迎えます。これだけ旬に凌駕されるファッションの世界で、今後も生き残っていくためには、お客様にとって「やっぱり外せないよね」という位置にい続けることが大切です。私は、ブランディングは連想ゲームだと思っています。たとえば5人いて、「車といえば?」と質問したとします。1人目が「トヨタ」、2人目が「日産」と答えていき、1周したときに名前が挙がらなければ、意味がありません。お客様が原宿や渋谷に行って、今日は5軒のお店を巡ろうと考える。そのうち1、2、3軒は話題のお店や新しいお店でしょう。私はそこと勝負するのではなく、4番目か5番目に必ず入る位置づけでありたいのです。「やっぱりビームスは外せないよね」と言われたい。または、通の方にとって「やっぱり、たまには見に来ないとマズイよね」というポジションでありたい。そうじゃないと、すぐにその他大勢の存在になってしまいます。40年近くこの位置にいられたのは、奇跡に近いことですが、今後もこの位置をしっかりキープしたいと思っています。
金丸:競争の激しい業界において、なぜビームスが最前線を走り続けてこられたのか、その理由を垣間見た気がします。はじまりは6.5坪から。そこから、いまの規模にまで成長してこられた。まさに若者に夢を与える話です。本日はありがとうございました。
【SPECIAL TALK】の記事一覧
2024.08.21
Vol.119
~すべてを制覇したい気持ちは変わらない。経営陣になっても燃えたぎる闘志がある~
2024.07.20
Vol.118
~歌舞伎役者を夢見た少女だから、歌舞伎役者の母としてできることがある~
2024.06.21
Vol.117
~1杯で幸せになる利他的なコーヒーを目指して~
2024.05.21
Vol.116
~多くの人の期待と希望を背負う街づくりほど、面白い仕事はない。~
2024.04.19
Vol.115
~この楽器だからこそできる表現を。歴史ある箏を武器に世界を目指す~
2024.03.21
Vol.114
~勝負の気持ちから感謝の気持ちに。青森の伝統を守り、盛り上げたい~
2024.02.21
Vol.113
~学問という知的な武器を子どもたちに。学びの体験をアップデートして日本を変える~
2024.01.19
Vol.112
~庭師として素晴らしい日本文化を守り、次の世代へと伝えていきたい~
2023.12.21
Vol.111
~いつだって新しい人に出会いたい。シンプルな好奇心が新たな交流を生んだ~
2023.11.21
Vol.110
~自分が飲みたい日本酒で世界に挑戦し、日本酒業界に革命を起こしたい~
おすすめ記事
2015.06.20
SPECIAL TALK Vol.9
~ANAに脈々と流れるDNA。リスクをとって常にチャレンジをしていくこと~
- PR
2024.09.01
「彼氏がデートのあとにすぐに寝てしまった…」寂しくなった30歳女が、こっそりスマホで見ていたものとは
2016.07.05
年収1,000万超の秘密とは!人気職業"総合商社"の給料の実態に迫る
2015.01.26
あの「スタートアップ」経営者のここぞのチカラ飯 Vol.2
若手スタートアップ経営者たちのパワーの源
20代から30代前半の伸び盛りのスタートアップ経営陣。どんなチカラ飯を食べてサ...
2023.09.27
ハラスメント探偵~通報編~
接待で相手を喜ばせようとした言動をセクハラだと訴えられた。その内容とは!?
2023.05.31
「港区で食事会」ならこの店が喜ばれる!艶やかな個室を備えたレストラン4選
2023.09.27
ハラスメント探偵~解決編~
「性的な噂」を飲みの席で話したことがセクハラ問題に発展!果たして、結末は?
2023.08.16
ハラスメント探偵~通報編~
会社の休憩室で、ある食べ物を食べていた29歳男性。突然、女性社員に叫ばれ、戦慄の事態に!
2015.01.22
絶対に負けられない接待が、今宵はある
受注後の社長会食。『旬房』の個室で堅い握手
2016.10.17
彼が言うなら間違いない!松岡修造が伝授する“デキる人”になるための10ケ条
東京カレンダーショッピング
『佐藤養助商店』:門外不出の技による、喉ごし滑らかな"稲庭干饂飩"
『かに物語』:ふっくらと肉厚な一本爪が2本入ったフレンチカレー
『西岡養鰻』:特製タレ付き!脂の乗った高品質な鰻を土佐備長炭で丁寧に焼き上げた蒲焼
『マルヒラ川村水産』:ご飯に載せて贅沢いくら丼!1粒1粒に旨みが凝縮された、とろける食感の北海道函館産天然いくら
『North Farm Stock』:北海道産ミニトマト使用!糖度が高く、コクとうまみがたっぷり詰まったトマトジュース
『ル・ボヌール 芦屋』:フリーズドライフルーツにホワイトチョコがたっぷりと染み込んだ新感覚スイーツ
『HAL YAMASHITA 東京』:シルクのようななめらかさ!冷え冷えトロリの新食感"ウォーターチョコレート"