2015.04.21
SPECIAL TALK Vol.7突然、役員から社長へ。より主体的な行動を意識
金丸:伊勢丹に入社されたとき、同期は何名ぐらいいたのでしょうか?
大西:22名です。おそらく一番少ない年だと思います。
金丸:入社された1979年といえば、オイルショックのあとですよね。入社当時、自分が社長になることを想像していましたか?
大西:まったく想像していなかったですね。むしろ社長に就任する間際まで思ってもいませんでした。周りの社員も同じだったと思います。当社は営業部が強く、営業本部長を務めた人間が社長になることが多かったんですね。しかし、私は販売が長くて畑が違いましたし、社内では候補と目される人間もおりましたので、社員は皆その人が社長になるだろうと思っていました。
金丸:では、そういった方々を追い越して社長になられたと。
大西:当時会長だった武藤信一(故人)から指名されました。
金丸:就任したときはどのようなお気持ちでしたか?
大西:わずか2週間前に社長就任を告げられましたので、就任時はまだ頭の中が整理できていませんでした。ただ、執行役員のときから自分のやりたいことは上司に言ってきたつもりでしたが、心のどこかで「さすがにこれは無理だろう」と思うことがあったんですね。ですから、就任して日が経つにつれて、社長になったということは、私が思う「やりたい」や「こうしたい」を徹底して主体的にやることなんだと思うようになりました。それが役員時代と最も大きく違う点です。いまは自分の思い描くお店づくりを目指して、全社一丸となって取り組んでいます。
金丸:大西社長といえば、2013年に行った伊勢丹新宿店の婦人フロアのリニューアルが記憶に残っています。どのようなことを意識して臨まれたのでしょうか?
大西:リニューアルにあたっては、現場の声を重視しました。というのも、マネジメント層で考えたプランに対して、現場の若い女性から「リアリティに欠けている」という指摘があり、直々に「もっとこうしたい」という意見をもらったためです。やはり、私も百貨店は現場感が大切だと考えておりますし、その声を重視してリニューアルを行った結果、お客様から良い反応をいただくことができました。
少子高齢化が進む日本。いっそう高まる外貨への期待
金丸:いま政府は成長戦略を掲げていますが、実際のところ消費は伸び悩んでいます。いまの景気についてどのように感じていますか?
大西:為替が円安になりましたので、食品をはじめとする輸入商材が瞬く間に値上がりし、消費も徐々に落ちているように思います。売上の中身を分析してみると、高所得者層の購買にはあまり変化が見られませんが、中間層は消費の落ち込みが顕著です。業績が上がりベースアップされるとしても、中間層にその影響が出るまでには、まだ時間がかかります。しばらくはこの状態が続くと考えています。
金丸:2月の春節には、中国から大勢の観光客が訪れました。「爆買い」など、彼らの豪快なお金の使い方がテレビでも話題になりましたが、お店への影響はいかがでしたか?
大西:売上への影響が最も大きかったのは、伊勢丹新宿店ですね。シェアでは銀座の三越銀座店です。銀座店は年間を通して、外国人観光客の売上が全体の10%強を占めており、春節に限れば24%にものぼります。春節の1週間でみると、買い物客の実に4人に1人が中国を中心とした外国人のお客様なんです。
金丸:私も銀座の三越に行かせていただきましたが、店内で中国語が飛び交っていて驚きました。店員の方たちが中国語で次々に質問され、対応に追われていたのが印象的でした。
大西:海外のお客様を取り込むために、各社しのぎを削っています。伊勢丹新宿店の売上に占める外国人のシェアは、いまは6~7%ですが、これが10%を超えてくると、その人たちに向けた店づくりが必要になってきます。ただ、それをしてしまうと、本来の店づくりとは違ってきますし、かえって海外の方が求めている“日本らしさ”が損なわれてしまうと思っています。
金丸:少子高齢化で日本人の財布の紐はいっそう固くなることを考えると、ビザの緩和を追い風に、外貨への期待はますます高まっていくでしょうね。私は鹿児島の出身ですが、九州のゴルフ場は冬のシーズンになると、韓国の人たちがどっと訪れるんですよ。冬の韓国は寒すぎてゴルフができないので、九州に来てゴルフを楽しみ、ちょっと観光して帰っていくんです。韓国人向けの温泉やリゾート施設を組み合わせたツアーが多く、韓国人に向けた店作りをしているゴルフ場も多いようですね。
大西:実際、外国のお客様に東京に来ていただくのも大切なのですが、もっと地方にも目を向けていただきたいですね。それが地方活性化にもつながると思います。
【SPECIAL TALK】の記事一覧
2025.03.21
Vol.126
~「できない」「分からない」の楽しさを伝えたい。万博プロデューサーとして想いを「クラゲ」に込める~
2025.02.21
Vol.125
~卒業して気付いた「まだまだ何でもできる」。元アイドルの肩書に縛られず、自由に挑戦を続けたい~
2025.01.21
Vol.124
~丹後を日本のサン・セバスティアンに。地方の「お酢屋」がまちづくりを考える~
2024.12.20
Vol.123
~モデルから放送作家へ。異色の経歴は恐れずに踏み出した証拠~
2024.11.21
Vol.122
~自分の体を認めることが、自分を好きになるための第一歩になる。~
2024.10.21
Vol.121
~スポーツの喜びをより多くの人が体験できるよう、これからも挑戦はやめない。~
2024.09.21
Vol.120
~日本の農業が続くための仕組みを作り、アップデートできるよう挑み続ける~
2024.08.21
Vol.119
~すべてを制覇したい気持ちは変わらない。経営陣になっても燃えたぎる闘志がある~
2024.07.20
Vol.118
~歌舞伎役者を夢見た少女だから、歌舞伎役者の母としてできることがある~
2024.06.21
Vol.117
~1杯で幸せになる利他的なコーヒーを目指して~
おすすめ記事
2015.03.21
SPECIAL TALK Vol.6
~教育変革こそが、世界と戦えるカギとなる~
- PR
2025.03.31
結婚1年目から、激務のせいでギスギス…。崩壊寸前のパワーカップルを救ったアイテムとは?
2016.06.24
MBA医師と学力女王が贈る「圧倒的な勝ち組の最強の勉強法」講演会が開催!
2023.06.20
ハラスメント探偵~解決編~
「突然のリモート会議で上司から顔出しを強要された!」これってパワハラ?
- PR
2025.03.31
えっ、あの“ミャクミャク”の部屋に泊まれる!?どっぷり万博に浸れる、いまだけのホテルステイとは…
2023.11.28
恵比寿で“仕事のサシ飲み”にぴったりの店5選!美食と美酒に会話が弾み、関係が深まる
- PR
2025.02.12
【豪華プレゼントが当たる】「所有欲が掻き立てられます…」人気セレブ夫婦が魅了された“マセラティ”の車とは
2016.02.01
中国ビジネス関係者必携!日本で唯一の中国歳事が全網羅のカレンダー登場
- PR
2025.03.27
7種類ものフレーバーが楽しめる! この春、台湾生まれのフルーツビールが話題!
- PR
2025.03.28
ほろ酔い美女の正体とは!?17LIVEの人気ライバー4人を、港区のバーにお連れしてみたら…
東京カレンダーショッピング
ロングヒット記事
2025.03.19
運命なんて、今さら
初めて彼のマンションを訪れた28歳女。しかし、滞在10分で、突然「帰りたい」と思った理由
2025.03.22
男と女の答えあわせ【Q】
「豊洲に住んでいる」と33歳男が言った途端に、デート相手の女が戸惑ったワケ
2025.03.23
男と女の答えあわせ【A】
「年収800万くらいでもいいかな…」相手に求める条件を妥協したつもりの30歳女の大誤算
2025.03.17
1LDKの彼方
「何もないって言われたけど…」彼氏が他の女と連絡を取っていたことが発覚。30歳女は思わず…
2025.03.20
TOUGH COOKIES
「幸せそうな彼女がなぜ?」SNSで悪質コメントの犯人を突き止めたら、意外な人で…