2015.03.21
SPECIAL TALK Vol.62020年のニューリーダーたちに告ぐ
2014年8月24日。長野・軽井沢に新たな高等学校が開校した。全寮制で授業はすべて英語。1学年の生徒数49名、うち日本人は3割で、世界各国から選び抜かれた生徒が集まっている。その学校の名は、『インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢』。
通称ISAK(アイザック)を立ち上げたのが、世界経済フォーラム(ダボス会議)のYoung Global Leadersに選ばれた経歴をもつ今回のゲスト、小林りんさんである。グローバルに活躍する人材の育成を目的に誕生した同校。
なぜ今、このようなスタイルでの開校に至ったのか。前職ではUNICEFのプログラムオフィサーとしてストリートチルドレンの教育にも携わり、世界の教育現場を知る小林さんが考える、日本の教育の目指す先とは。次世代を担う東京GENTSが社会を勝ち抜くためのヒントがここに。
金丸:本日はお忙しい中、軽井沢からわざわざお越しいただきまして、ありがとうございます。
小林:私も金丸さんにお会いできるのを楽しみにしていました。今日は素敵なレストランで独創的な料理が楽しめると聞き、期待してきました。
金丸:今日のレストランは『HEINZ BECK(ハインツ ベック)』です。イタリア・ローマで三ツ星を取り続けている『ラ・ペルゴラ』のハインツ・ベック氏の名前を冠して昨年11月にオープンした話題の店です。私も非常に楽しみにしておりました。では早速、いろいろとお伺いできればと思います。まず、小林さんのご両親についてお聞かせいただけないでしょうか?
小林:私は東京・多摩市の多摩ニュータウンで生まれ育ちましたが、両親は共に長野の出身です。ふたりとも末っ子で、中央大学の法学部に進学しました。そして、学生運動の最中にバリケードの裏で恋に落ちたそうです。
金丸:同じ志をもった者同士、惹かれ合う部分があったのでしょうね。しかし、本来のミッションを忘れているような……(笑)。
小林:そうですよね(笑)。大学卒業後、父は三鷹市役所に、母は多摩市役所に入ります。しかし、父はすぐに議会とケンカして公務員を辞めてしまって……。その後、メーカーに転職したそうですが、一念発起して起業し、事業を軌道に乗せます。そして、60歳で初孫ができたのを機に後継の方に会社を譲り、隠遁生活に入りました。3年ほど伸び伸びと生活していましたが、結局「フルタイムパパは面白くない」と言って、63歳でもう一回起業したんですよ。
金丸:実にパワフルなお父様ですね。
小林:父の昔からの口癖は「人生は一度しかないのだから、自由に生きた方がいい」です。
金丸:それは素晴らしい。逆にお母様はどのような方だったのですか?
小林:母は父とはまったく正反対の性格です。もともと福祉関係の仕事をやりたいという思いがあり、市役所ではソーシャルワーカーをしていました。週末はいつもボランティアに明け暮れていたので、私も小さい頃に旅行やレジャーに行った記憶はあまりありません。週末は点字教室とか車いす体験教室など、母のボランティアに帯同していた思い出ばかりです。
金丸:見事に個性の違うご両親のもとで育ったのですね。
小林:その30年後、何が起こったかというと……。あるきっかけで、母が市長選に出ることになったのです。前市長が急遽辞職し、出直し選挙が行われることになったのですが、その際、市民の方々が実家にウワーッと集まってきて、「ぜひお母さんに出馬してもらいたい」と熱望され……。6人ぐらい候補者がいたのですが、ダントツで票を獲得しました。
金丸:ということは、お母様は多摩市長をされていたのですか?
小林:そうなんです。2期、市長を務めました。当時多摩ニュータウンでは、高齢化が大きな問題になっていました。このままいけば、10年後には絶対に財政破綻してしまう、と。母は市の職員の数十%をリストラしたり、小学校を統廃合したりと、バンバン財政改革を断行しました。
金丸:それは驚きました。小林さんは自由な父親と、戦う母親のもとに生まれ育ったわけですね。おふたりとも、パブリックマインドがおありで、社会に尽くす存在であったということが、実に興味深いです。
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