代理店女子マリア Vol.4

代理店女子マリア:仕事のやりがいって?究極のサービス業・黒子のマリア。

広告代理店にはびこる、「チャラい」「遊び人」のイメージ。

広告代理店勤務の正社員女子たちにとって、代理店への先入観はレッテル以外のなにものでもない。

港区の大手広告代理店で、営業として働くマリア、29歳、彼氏なし。

メディア部・藤森から持ちかけられたやっかいな案件、アーティストのコンサート協賛だったが、無事クライアントを説得して実施を決めたマリア。仕事が上手く回りだす一方、最終電車で、仮氏・ケイが知らない女性と乗り込む場面に遭遇。心中は穏やかではなかった。

あの女は誰?被害妄想は加速する


できるだけ、考えないように頑張った。

しかし「考えないようにする」という行為が、もう既に「考えている」ことを意味する。

あれから何千回もフラッシュバックする、金曜日の夜の光景。隣にいた女性とは、一体どんな関係なのだろう。ケイ本人に問いただすなんて野暮な真似はできなかった。

ざわつく心を整えるため、意を決してケイにLINEを送る。

「最近会えてないね。久しぶりにごはんでもどう?」

既読スルーを覚悟で、気持ちを切り替えることにした。



煩わしい事があると、仕事は驚くくらいにはかどる。

休日が明けると、マリアは毎日打ち合わせを詰め込み、寝かせていた自主提案の企画書を読み、クライアントにもいつも以上に通った。

実施が迫った某アーティストのコンサート協賛案件も、より一層力を注いだ。

「マリアさんって、こういう音楽が好きなんですね。知りませんでした!」

作業を手伝ってくれている後輩の篠原からも、あまりに熱心な働きぶりに、アーティストの大ファンと勘違いされるくらいに、働いた。

分かりやすく口説かれたい。代理店女子はこういう店にぐっとくる


怒濤の1週間が終わり、また次の土曜日がやってきた。
ふと気を休めると思い出してしまう、ケイのこと。これといった趣味もなく、会いたい人もいないマリアは、休日も近くのカフェで無駄に仕事に励むことにした。

夕方、阿部からリマインドのLINEが来る。この日は同じ部の同期・柳沢に紹介された、アベレージ阿部との2回目のデートの日だった。

阿部がマリア好みの店をチョイスするとは、到底想像がつかず、LINEのやり取りの中で、お店の予約はマリアが申し出た。なんせ相手は阿部だ、お店くらいはテンションが上がる場所を選びたかった。

週末のデートもあれこれ口を出したくなるのは、代理店女子の職業病だろうか。


「マリアちゃん、良くお店知ってるね」

神泉のビストロ『ダム・ジャンヌ』。前から気になっていたお店の一つだった。店内はイメージ通り、メニューが見えない程の暗がりで、パリの街角の一角を思わせる、日本離れした空気が漂っていた。

隠れ家ビストロ×ボトルワイン、代理店女子が落ちる法則


阿部との会話は相変わらずアベレージだったが、お店の雰囲気も相まって、不思議と前回よりも魅力的に思えた。

マリアが3杯目のグラスワインを頼もうとすると「どうせならボトルにしよう」と言って、赤を注文する阿部。
メニューを見ずに店員にワインを相談する阿部の姿は、案外様になっており、気前のいい男だと感心する。

【代理店女子マリア】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ