2016.07.29
バルージョ麗子 Vol.1金曜夜の代官山。お洒落バルに集まるのはどんな男女か
(お、いい感じに混んでるじゃん)
代官山駅から歩いて5分ほどにある『LB8』は、週末らしい賑わいを見せていた。道路に面したドアは開放的に開かれ、カウンターに並ぶ客たちの楽しげな会話が耳に入る。入り口近くのテーブルを囲む女子3人組はすでに出来上がっているようだ。お隣のテーブルでは、ゴールデンレトリバーを連れたカップルがゆったりと食後のコーヒーを楽しんでいる。
カウンターへ案内された麗子は、席に着くなりスパークリングワインを注文した。
「当店のスパークリングはカヴァになりますが、よろしいですか?」
「ええ」
「初めていらっしゃいますよね?」
「そうですけど」
不思議そうにする麗子に店員はこう言った。
「お目にかからないお顔だと思いまして。今日はおいしい白身魚が入っているので、お食事がまだでしたらマリネなんかがおすすめですよ」
「じゃあ、それとブラックオリーブを」
適度な距離を保ちつつフレンドリーな接客が気に入った。
麗子は一人飲みが好きだ。女子会やデートも楽しいが、誰かと事前に決めた日に決めたお店で食事をするよりも、好きな時に好きなお店にふらっと入る自由さが性に合う。
一人で行きやすいお店は、食事がおいしいのはもちろんのこと、居心地の良さや店員、お客同士の距離感なんかも大事。いくら食事がおいしくても、完璧なホワイトクロスのレストランには入りにくいし、シックなバーで食事をする気にはなれない。その点、程よいざわめきがあるバルは使い勝手がとても良いのだ。
東京には毎晩通っても通いきれないくらいのバルがある。麗子はこうして気になったバルをひとつひとつ攻略することをライフワークとしている、自称バル女(バルージョ)だ。
「ラベントス」と紹介されたカヴァは、りんごのようなフレッシュさときめ細やかな泡が特徴的で、柑橘類のソースがかかったカンパチのマリネとの相性はばっちりだ。これは当たりのバルを見つけたかもしれない。麗子が初夏らしいメローなボサノバのBGMに聞き入りながら、上機嫌で2杯目のカヴァを飲み終えた頃、すらっと長身のモデル風の男が隣の椅子に手をかけた。
「お隣、いいですか?」
次週:金曜日の夜、代官山のバルで麗子に声をかけたモデル風の男とは……
『マザーエスタ』
気取らず使えるカジュアルなイタリアン。有機野菜をメインに、厳選された国産の肉や魚といった安心安全の食材を、シンプルに調理したメニューが人気。料理の脇を彩る、季節の野菜のカクテルや自家製サングリアなどのドリンク類は必見。カリフラワーやにんじんを使ったデザートは女子会でのインスタ出現率が高いことでも知られている。
『ピッツェリア エ トラットリア ダ イーサ』
オーナー・ピッツァイオーロ山本尚徳氏は、2007年から2年連続でナポリで開催された世界ピッツァ選手権で優勝を果たし、2009年大会にて3年連続入賞した実力保持者。ナポリの地元サイズ、直径約33cmのピッツァはなるほど、グルテンの挽きが強くモッチモチの食感。ピザ激戦区中目黒において連日長蛇の列ができるほどの人気店。
『Drunkard』
西麻布の人気バーが恵比寿へ拡大移転。通常のモヒートの数倍の量のミントを使ったモヒートは人気。特に夏のシーズンはこれを目あてに来る客も多い。アンティパストからしっかりとしたグリル系のメインディッシュまでと、料理の幅はバーの粋を越えている。西麻布からの常連客が多いが、新規客もすぐ打ち解けるようなフレンドリーな雰囲気が人気の秘訣。
『LB8』
代官山八幡通沿いに開放的に面したバル。圧倒的なライブ感を誇るオープンキッチンでは、中央の炭焼き台やそこで調理するシェフの姿を見られるエンターテイメント性が高く、注目されている。ビアテラスや隠れ家的空間的な地下など様々な用途で使い分けられる。深夜営業でありながらエイジングビーフなどの本格的な料理が楽しめる。
※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。
この記事で紹介したお店
エルビーエイト
ピッツェリア エ トラットリア ダ イーサ
ドランカー 恵比寿店
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