東京から恋が消える日 Vol.1

東京から恋が消える日:恋人よりも「いいね!」が大事!承認欲求は恋愛じゃ満たせない?

恋をしない男女が増えている。

それは、決して感覚値ではない。

国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、18歳から34歳の独身男性約7割、独身女性約6割に交際相手がいないという。

しかし今や、デーティングアプリなどでも異性と簡単に出会える時代。

何もかもが揃った、2017年の東京。

いや、何もかもが揃ってしまったからこそ、人は、恋に落ちなくなったのかもしれない。

東京から、恋が消えかかっている。

東京から恋が消える日も、遠くない。

やめられない、“いいね!”の快感


やっぱり、今日の店は正解だった。

帰り道のタクシーの後部座席に身を沈めながら、私はおもむろにカメラロールを開く。

今夜は、月1で開催される商社の総合職女子で集まるご飯会。

ただ単純に美味しいご飯を食べに行くことが好きな同年代3人で、行きたい店をみんなでピックアップして毎月足を運ぶ。単価が少々高くても、美味しいご飯のためなら出費を惜しまない3人組だ。

今日行った店は『銀座やまの辺 江戸中華』

とっておきの1枚を選び、Twitterにコメントと共に投稿する。


同じ写真をInstagramにも投稿し、タクシーの窓から外を眺める。あっという間に“いいね!”とRTが増えていき、通知のポップアップが次々と表示されていく。

Twitterに行った店の写真を上げるようになったのは、30歳になった時、ちょうど1年ほど前だ。最初は備忘録のためだったが、ハッシュタグで自分の名前をつけた「#まゆログ」も投稿するようにしてから、一気にフォロワーが増えた。

場所ごとに自分の好きなお店をピックアップしたり、最近行ってよかった店をまとめたツイートは、あっという間に拡散された。

「いいですね!」「いろんなお店知っていてすごい」などのコメントがつくと、今までただ食事に行っていただけなのに、ツイートするだけで誰かの役に立つなんてと嬉しくなった。

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