恋愛より、SNSを選ぶ理由
思い返せば最後の恋愛もちょうど1年ほど前だった。
大学時代から付き合っていた同い年の彼氏とは結婚も視野に入れていたのに、一方的に別れを切り出された。
「まゆは、融通がきかなさすぎるよ。」
別れ際に、彼に言われたひとことだ。
当時、大きなプロジェクトを任された私は必死だった。土日に出社することも多く、平日のデートも仕事が終わらずドタキャンすることが少なくなかった。出張が多く、連絡がとれないこともたびたびだった。
それでも、理解してくれていると思っていた。好きなら、わかってくれると思っていた。
しかし外資系IT企業に勤める彼は、「プライベートをそこまで犠牲にして働くなんて、信じられない」とよく言っていた。あんなに仲の良い2人だったのに、社会人になってからのズレは、なかなか埋めることができなかった。
それから、私の恋愛は休止した。
飲み会に行って、食事やデートに誘われることもある。こまめに連絡をくれる人も、好意を示してくれる人だっている。でも、そこから一歩踏み込んで、恋愛に発展させるのが、どうも面倒になってしまうのだ。
どうして、歳を重ねるごとに恋愛は億劫なものになっていくのだろう。
出会う。デートを重ねる。好きになる。付き合う。
物心ついた時から、幾度となく繰り返してきた、シンプルなこと。
昔は、いいなと思う人が現れたら、恋に夢中になった。一目散に走っていた。それなのに今、私の足は地に根を生やしたかのように動かない。ましてや自分から行動して、恋を探しに行こうなんて論外だ。
相手の気持ちがわからなくてもどかしい気持ちも、ぶつかり合う辛さも、なんでわかってくれないのとがっかりするのにも、もう、疲れた。
そんな私には、SNSは心地よかった。
自分がいいと思ったもの、お店、出来事を投稿する。同調してくれる人が「いいね」をする、RTする。話しかけてくる。そこには、なんの強要も存在しない。
昔は予定がないと不安になったりした。たいして仲良くない女友達とのランチの約束も、たくさんした。
でも今は、そんな必要もなくなった。気になる店のストックから1店選び、ひとりで足を運び、#まゆログとして投稿する。
RT数が増えていくのを眺める。なんだか、ひとりじゃないって思えるのだ。
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