口説ける男 Vol.5

口説ける男:仕事は自慢するな。地味な医者でも良い男に見えてしまった理由

東京恋愛市場で日夜繰り広げられる男と女の逢瀬。

世間の男たちは下心ありきで女性を口説き、彼女たちはどんな誘い文句を言うのかと口から出る言葉に期待する。せっかくの楽しいデートも、男性の発言ひとつで台無しになることは多いだろう。

これまでどうしてここで? というタイミングで、女性が不機嫌になったことはないだろうか。それはあなたが“口説けない男”である何よりの証拠である。

この連載では、女盛りの妹・美鈴(27)と、結婚3年目の姉・弥生(33)を通し、女性が喜ぶ口説き方の成功例・失敗例を紹介していく。

<口説ける男・過去の教訓>
一度高級な食事を奢っただけで口説けると思うな
エクスペクテーション・コントロールをマスターせよ
去り際はスマートに
サヨナライツカ的なフラジャイルな関係を演出せよ

今週は丁寧さが売りの地味な男とデートに行くが……?


地味男と一度でもデートへ行こうと思った理由


「お姉ちゃん、私メイクとか派手すぎないかな? 大丈夫? 服とか大人っぽいの借りてもいい?」

妹の美鈴がいつもより控えめな化粧で洗面所から出てきた。先日の啓太の件からめっきり元気がない妹。今日は久しぶりに出かけるらしい。

「とっても丁寧な人でね、連絡先も直接聞いてくれたの。せっかくだからデートに行こうと思うんだけど、地味な人なんだよね。真面目そうだったし、ちょっと緊張するなぁ…」

美鈴いわく、最近のお食事会では幹事同士が飲み会メンバーのLINEグループを作るのが通常の流れだそうで、直接連絡先を交換する事はほとんどないらしい。些細な行動ではあるが、「直接連絡先を聞く」という行為は、彼女の心に響いたようだ。

「たまにはいいんじゃない、美鈴がそう思うなら、良い人かもよ♪」

ゆとり世代のツボはよく分からないと正直思うが、これ以上元気がなくなっても困ると思い、背中を押してやった。

東京恋愛市場は厳しい。それなりに落ち込む事もあるだろうが、そんなことはどんどん忘れて次に進まなくてはいけないのだ。年齢がすべてというわけではないが、27歳という最高値は有効活用して欲しいというのが姉の実体験を踏まえた正直な意見だ。花の命は短い。

見送り時に株が急上昇した、彼の行動とは…?


拓馬とは先週お食事会で出会った。4対4で、相手は製薬会社と医者だった。

4人とも中々覚えられないような地味で野暮ったい外見をしていた。席に着いた時は正直ハズレだと思ったが、高校の頃から仲が良いという男性メンバーの雰囲気はとても朗らかで、それなりに楽しかった。

拓馬は港区の病院で内科医をしているという。紳士な雰囲気と、誰に対しても平等で丁寧な振る舞いが好印象だったが、席が離れていたので二人で話をする機会はなかった。

お食事会は楽しくはあったが、長居をしても収穫もなさそうだと思った。

正直、姉の言う「サヨナライツカ・マジック」がまだ効いている。中途半端な場所にいると、タイでの出来事を思い出してしまい、現実を直視できないのだ。

私は家が遠いことを理由に、デザートの前に席を立った。すると、拓馬は率先して「駅まで僕が送って行きます」と、最寄駅の改札まで送りに来てくれた。その店は駅から徒歩10分ほどの場所にあったのにも関わらず、だ。

「今日は来てくれてありがとう。中々話す機会があまりなかったので、良かったら来週にでもまた会えませんか?」

そこで連絡先を直接交換した。お食事会を中座してしまったのに、彼の対応はとにかく紳士だった。改札の中へ入り、ホームへ登る階段でふと振り返ると、まだ拓馬が笑顔で見送っていた。

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