クォーターラバー Vol.1

クォーターラバー:四半期で相手の価値がわかる!? レストランで思い知った男のセンス


「3」という数字によって、恋人や夫婦は関係性が動くと言われている。

美人は3日で飽きる、3年目の倦怠期などの言葉が表すように、3には男女の心境を大きく変化させる意味があるのだ。またそれは3ヶ月である“四半期(クォーター)”にも当てはまり、この時期にはなにかが起こり始める。

今回の主人公、祥子30歳・独身は、地元の福岡から東京に出てきて早8年。中堅広告会社で働きながら東京生活を日々生きている。

ここ最近の彼女は、いつもクォーターで恋を終わらせてしまい、少々刹那的な一面を持っているようだ。そんな出会いの数だけ別れがある東京で、クォーターラブを繰り返しながら、運命の人を探す祥子の恋愛を追いかけていく。


30歳、運命の人を探している


祥子は恵比寿駅西口の改札で時計を見ながら苛立っていた。金曜日の恵比寿は街全体が騒がしい。

会社帰りの金曜日に浮き足立ったサラリーマンや、これからお食事会に行くことが誰でも分かるようなメイクも服装も完璧に決めた女性陣などがせわしなく祥子の前を通過していく。

今日は付き合って3ヶ月になる太一の32歳の誕生日。3ヶ月目はまだ向こうの趣味も完全に把握し切れておらず、ネットや男性誌で色々リサーチし、男友達にも意見を聞いてプレゼントを用意した。

今日のお店『IL BOCCALONE』も、祥子が予約した。誕生日だからこちらが払わなければならない。高過ぎず、安過ぎず、ちょっと特別感があるお店。

内心「お誕生日ってお金がかかるなぁ」と少しげんなりしながら、太一を待っている。

約束の20時が少し過ぎた時にLINEが鳴った。

「ごめん、20分遅刻しそう。先に入ってて」

女子が先にお店に入っているのは好きではない。男性が先に行って待っていてほしい。

しかし30歳にもなればそんなワガママは言わずに我慢する術は持っている。浮つく街を、先週少し奮発して買ったばかりのJIMMY CHOOのベージュのピンヒールパンプスで一人歩きながら大きく溜息をつく。

店内に入ると賑やかな音楽と笑い声に一気に包まれた。その熱気が今日は何だか苦しい。

2つ上の太一とは、半年ほど前に同期の有香の紹介で知り合った。日系の大手証券会社に勤める太一は稼ぎもある方だと思うし、端正な顔立ちに背もそこそこある。高校まで関西に住んでいたので話も面白く、テニスが趣味と言うだけあり清潔感もある。

絶賛婚活中の祥子にとっては急に飛び込んできた優良物件だ。でも、何だか乗り切れない自分がそこにはいる。

付き合って3ヶ月目は未だドキドキが続いているはずなのに、今朝は服も決められない上に、言葉にならない歯がゆさと何とも言えない胸の痛さを抱えていた。

こんな優良物件、逃してどうする!と自分に言い聞かせるように注がれたお水をぐいと飲み干したタイミングで太一が登場した。

「ごめん、待った?」

相変わらず爽やかな笑顔に全然、と微笑みながら言う。

「本日のパスタとチーズリゾット、メインはやっぱりお肉がいいなぁ。」次々と頼む太一。彼らしいメニューの選び方。彼氏を目の前にして胸がざわつく気持ちを抑えながら、お誕生日ディナーが始まった。

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