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  • 100kmのフレンチフルコース Vol.1

    出会って10日目の男女が恋に落ちた謎のデートコースがオシャレすぎる!(前編)


    車を降りると、そこは四ッ谷の土手。近隣の大学生も授業の合間に訪れる、隠れたデートスポットだという。

    新緑がまぶしいくらい綺麗で、さっきまでのモヤモヤが吹き飛ぶくらい清々しい気持ちになった。私の顔色を見ていて散歩に連れ出してくれるあたり、本当に素敵な人だなと思う。土手に上る階段で、つまづきそうになった私をさりげなく支えてくれたところも心憎い。

    ( これだけ素敵なんだもの、惹かれてしまうのは仕方ない。あれこれ悩むのはやめて、とりあえず今この時間を楽しもう……! )

    素直にそう思えた。

    「次の店もすごく素敵な店なんだ。リエちゃん、絶対気に入ってくれると思うよ」

    少年のように笑う淳さんの顔が、より一層輝いて見えた。


    『アビス』は、淳さんの言うとおり、店の看板には魚が描かれた、お洒落な佇まいのフレンチだった。店内にも魚の絵が描いてあって、隠れミッキーのように、それを見つけるだけで会話が弾む。

    目の前に運ばれてきたのは、まるでアートのようなお魚料理。ソースは見た目に美しいだけじゃなくて、混ぜて一緒に食べれば口のなかでひとつの味が完成する。

    【魚料理】『アビス』甘鯛の鱗焼き 春のイメージ


    「美味し~い!魚のうろこがパリパリだね。どうやって作るんだろう」

    「イカ墨と新玉ねぎのソースも絶妙だよね。リエちゃんは、料理とかするの?」

    ギクリ。美味しいものは好きだけど、料理が決して上手と言えないことくらいは自認している。ここは「うん」と答えるべきかどうかと迷っていると、そんな私の気持ちを察したかのように淳さんは、

    「僕は一人暮らしが長いから、こう見えて結構料理好きなんだ。もしよければ今度披露するよ」

    と、にこやかに微笑んだ。

    ( まただ。今度披露って……もしかして本当にアピールしてくれてるのかな? )

    ……などと淡い期待に胸を膨らませつつ、今度は私から質問をしてみる。


    「前菜もすごく美味しかったし、お魚料理も素敵。これから先、どうするの?」

    「お楽しみはこれからだよ。あと2軒、肉料理とデザートに、是非付き合ってほしい店があるんだ」

    淳さんのまなざしは相変わらず優しい。

    「デザートを食べたら終わり?」

    「そうだな…、その後どうするかは運転しながら考えようかな」

    私の質問に、淳さんは少し考える風だったが、きっと彼の中では計画があるのだろうと思えた。でも、どうやら私にはヒミツにしたいらしい。

    その様子があまりに愛おしく感じられて、ちょっと意地悪をしてみたくなった。


    「こういうデート、今までもやったことあるの?」

    “100kmのフレンチフルコース”という素敵な企画を聞かされてから、ずっと疑問に思っていたことを、思い切って聞いてみる。

    「いや、初めてだよ。ずっとやってみたかったんだけど、リエちゃんみたいに食事の趣味が合う女性にこれまで会ったことなかったから」

    “食事の趣味が合う”と言われ、思わずドキッとして頬が赤らむのが自分でも分かる。自分から仕掛けた攻撃で返り討ちにあった気分だ。

    瞬間的に、プレイボーイならではの常套句かもしれないという疑念と、彼を信じたいという気持ちが交錯するが、この数時間の交流の中で、今は圧倒的に後者、「彼を信じたい」という気持ちが勝っていることに気が付く。もしかすると、この人は本当に信じてもいいひとなのかもしれない。

    それにしても、100kmのフルコースの終わりには、いったい何が待っているのだろう……

    期待と不安の入り混じった不思議な気持ちで店を出ると、先ほどの晴天から少し雲が多くなっていた。

    「天気予報によると、今日は夕方には雨になるって」

    次の阿佐ヶ谷のレストランまでは40分程度かかるという。このタイミングで、ちょっと気になることを聞いてみようかな……。

    【第1話完】

    ●次回予告(5月23日)
    “100kmのフレンチフルコース”残りはあと70km。 クルマのなかで繰り広げられる、大人の男女の駆け引き。淳のことが気になって仕方ないリエに幸運の女神は微笑むのか…?そして、淳が“100kmのフレンチフルコース”にかけた想いとは……?

    ルノー『100kmのフレンチフルコース』体験動画はコチラ!

    ■衣装協力
    男性●パイルネイビージャケット¥38,000(ブリッラ ペル イル グスト)、デニムバンドカラーシャツ¥24,000(ボルゾネッラ)、ネイビーコットンベルト¥11,000(ベルト マニア/すべてビームスF 新宿☎03-5368-7305) ジーンズ¥73,000(ヤコブ コーエン/ヤコブ コーエン 東京ミッドタウン店☎03-3405-0852) 黒ビットスエードローファー¥23,100(ワシントン/銀座ワシントン銀座本店☎03-5442-6162)

    女性●モノクロボーダーワンピ¥23,000(トラディショナル ウェザーウェア/トラディショナルウェザーウェア ルクア大阪店☎06-6151-1495) ピンクニットカーディガン¥21,000(スリードッツ/スリードッツ青山店☎03-6805-1704) ネイビースエードパンプス¥32,000(ファビオ ルスコーニ ペル ワシントン/銀座ワシントン銀座本店☎03-5442-6162) 黒レザーショルダーバッグ¥27,000(トフアンドロードストーン/エリオポール代官山☎03-3770-6438)ピアス、ネックレス<スタイリスト私物>

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