その名は、サエコ。 #東京悪女伝説 Vol.12

その名はサエコ:身体を許してしまった夜。「バカな女」と笑うことなど誰にもできない。

役者は揃った。

サエコを中心に、5人の女たちが繰り広げる攻防戦。 身近な女の、大富豪との熱愛発覚。 その時、女たちは何を思うのだろうか?サエコのサークル時代の同期で、現在地方局の女子アナをしている"アン”が、サエコ熱愛の噂を聞き、悪意剥き出しに、何かを企んでいたようだが・・・「私よりイイ男と結婚するなんて許せない。」心に潜んだ毒は女たちを狂わせて行く・・・。

前回:ついに"成し遂げた”?!色を好む英雄、ついにアンと契りを交わす・・・?

恋の苦しみに似た燻り。こじらせているのは、誰だ・・・?

あの夜、サエコが着ていたアネモネのような真っ赤なワンピース。花言葉である恋の苦しみに似た燻りを、こじらせているのは、さとみだった。

青学中等部時代。

若かりしタクミとは一線を交えそうになったものの、危険な匂いを察知したさとみは、すんでのところでかわした過去がある。それ以来、タクミは、「女友だち」として線を引き、聞いてもいない彼の恋愛遍歴、ベッドの上での武勇伝を定期的に聞かされる「同士」となった。

—こんな男に恋をしたら、人生台無しになってしまうあやうさを孕んでいるのに...—

さとみは、邪念を振り払うようにぶんぶんと頭を振る。

しかし、冷静に考えれば、それは、恋であるはずがなかった。女性は往々にして、女同士の価値を瞬時に判断し、優越感を感じていたい生き物だが、殊更、さとみはその傾向が強い。

同じ女として、負けた気はまるでしないのに、何かと鼻につく・サエコという女に、タクミが好感を持っているという事実が、さとみに火をつけたのだ。「さとみ<サエコ」と不等号をふられたような屈辱的な気分だ。

東京で生まれ、由緒正しい学校に通い、常にクラスの中心、カーストの頂点に君臨していた自負があるさとみは、主流から外れた異分子の分際で、何かとスポットライトを浴びるサエコのような女が気に食わないのだ。

サエコへの嫉妬は、そのままタクミへの屈折した執着となる。その執着は時として、恋の苦しみと非常に似ており、多くの人は、それを恋だと錯覚することが多々ある。

さとみもまた、その一人のようだ...

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