~コンテンツスタジオという体制で、最高のエンタメを世界に広めたい~
Netflixとも提携する新進気鋭の映像作家集団
金丸:まず、BABEL LABELについて簡単に教えてください。最近はどんな作品に関わっていらっしゃるのですか?
山田:直近では、2025年の年末にNetflixで配信を開始した、岡田准一さん主演のNetflixシリーズ『イクサガミ』が好評です。BABEL LABEL所属の監督、藤井道人、山口健人、そして脚本家の八代理沙が中心となって制作しています。「Netflix週間グローバルTОP10(非英語シリーズ)」で1位を獲得し、世界88の国と地域で週間TОP10入りを果たしました。
金丸:日本発のドラマがこれほどの反響を得るなんて、すごいですね。
山田:明治時代を舞台にしたアクション時代劇です。日本各地に残っている「武士」という存在を消滅させるために、裏で明治政府が糸を引いて殺し合いをさせるというストーリーで、言うなれば“武士のイカゲーム”ですね。
金丸:このほかにも、Netflixで配信するオリジナルドラマを手掛けられたことはありますか?
山田:22年には米倉涼子さん主演のNetflixシリーズ『新聞記者』を配信しました。実はNetflixとは、23年から5年間の戦略的パートナーシップを締結しています。『イクサガミ』もそうですし、今後も企画から一緒に立ち上げる作品が続くかと思います。
金丸:映像の世界には疎いのですが、今は並行していくつもの作品を手掛けていらっしゃるのですか?
山田:映画の場合、現時点で企画している作品が公開されるのは数年先なんです。今動いている企画は、4年先の公開までを含めると全部で10本くらいですかね。
金丸:なるほど。先程、コンテンツスタジオとおっしゃいましたが、コンテンツの権利はBABEL LABELにあるのですか?
山田:まさにそこがポイントで、コンテンツスタジオと制作会社の大きな差は、IP(知的財産権)を持っているかいないかなんです。うちは自分たちでIPを持っているので、テレビでもネット配信でも売り込みに行けます。
金丸:下請けとして制作したり、監督として起用されたりというだけでは、ギャラをもらって終わりですよね。作品がどれだけヒットしても、潤うのは製作委員会やスポンサーで、作り手までは還元されません。
山田:そうなんですよ。ただ、自分たちがIPを持つためには、制作費を出さなきゃいけない。それだけの体力があって、しかもエンタメに理解がある人は誰かを考えたときに思い浮かんだのが、藤田さんでした。
金丸:言われてみれば、パートナーにぴったりですね。
テレビを見過ぎてテレビ禁止令まで
金丸:では山田さんの生い立ちを聞かせてください。ご出身はどちらですか?
山田:東京の上野、寛永寺の近くです。
金丸:ザ・下町ですね。
山田:今も上野に住んでいますが、上野公園に行くだけで、だいぶ自然に触れられる。いい所なんです。
金丸:ご両親は、映像や芸術関係の仕事をされていたのですか?
山田:無縁です。父方は代々会社を経営していて、祖父は印刷業を、父はそれを継いだ上で、今は不動産業をやっています。ちなみに母は専業主婦です。
金丸:子どもの頃から、映像関係の仕事をしたいと思っていたのですか?
山田:はっきりとではありませんが、昔からずっとテレビっ子で。テレビに関わる仕事をしたいと思っていました。
金丸:初志貫徹じゃないですか。
山田:小学生の頃からずっとテレビを見ていて、親に怒られるくらいでした。母に今でも言われるのが、「久人はテレビっ子過ぎてどうなるかと思ったけど、テレビの中に入っていっちゃったのね」って。
金丸:子どもの頃は、どんな番組を見ていたのですか?
山田:一番見ていたのはドラマです。夜放送しているものから夕方の再放送まで、ほんとによく見ていました。特に印象に残っているのは、『家なき子』ですね。
金丸:安達祐実さん主演の、「同情するなら金をくれ!」という台詞が有名な。
山田:そうです。放送されていた当時、僕は小学2年生かな。内藤剛志さんが安達さんの父親を演じられていましたが、トラウマになるくらい怖い役柄で。先日、内藤さんとお会いする機会があって、「本当に怖かったです」とお話ししました(笑)。
金丸:『家なき子』は暴力とかいじめとか重い内容でしたが、そういうドラマがお好きなんですか?
山田:ドラマ自体も面白かったのですが、僕にとっては「家族で一緒に何かを見る」という体験にちょっとした特別感があって。男ばっかり3兄弟の末っ子で、一番上とは11歳離れています。子どもが3人いて、しかも全員男の子となると、「家族のイベントはだいたいやり終わった」みたいな雰囲気があったのを、子どもながらに感じていたんです。
金丸:山田さんがもし女の子だったら、お姫様のようにかわいがられたでしょうね。
山田:ほんとに。日頃あまりイベントがない中で、夜に親と一緒にテレビドラマを見るというのが、ささやかながら楽しかったんですよ。まあ、本当にテレビばっかり見ていたので、その後、テレビ禁止令まで出ましたが(笑)。
金丸:禁止されたって、そのかわりに勉強するわけでもないでしょ。
山田:兄から『ドラえもん』を借りて読んでました。
金丸:テレビから漫画に移っただけだった(笑)。




