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SPECIAL TALK Vol.130

~好奇心と恐れない心で、音楽だけに留まらない挑戦を続ける~


海外移住を夢みた両親の元、自然に囲まれて育つ


金丸:田中さんはウィーンに住まれて長いんですよね。

田中:住み始めて20年を越えました。10年前に日本でデビューしてからは、ツアーで日本に帰る機会がちょこちょこ増えましたが、最近だとウィーンが40%、日本が40%、そのほかが20%くらいでしょうか。

金丸:多拠点で活動していらっしゃるんですね。

田中:最初の10年間は、ヨーロッパや南米を飛び回っていましたが、その頃に比べると、今は落ち着いていますね。

金丸:お生まれはどちらですか?

田中:京都府舞鶴市です。両親は京都市の生まれで、京都市内にごはんを食べに行くのが趣味でした。実家にいた頃は、普段は舞鶴の自然の中で過ごしてフレッシュな食材を味わい、時々京都の料理も堪能するという、いいとこどりでしたね。

金丸:ご両親は音楽関係の方なんですか?

田中:まったく。両親はふたりとも外国語大学卒です。本当は自分たちも外国に移住したかったけれど、父方の祖父が会社を経営していて、父と父の兄で継ぐことになったので断念したそうです。

金丸:ご両親はどちらに行くつもりだったんでしょう?

田中:オーストラリアだと聞いています。自分たちが行けなかった代わりに、子どもたちには海外を経験させたいという思いがあって、10歳と8歳離れた兄たちも、しばらくアメリカで暮らしていました。

金丸:国際色あふれるご家族ですね。

田中:両親は考え方もあまり日本人っぽくなくて、「あなたはあなた、私は私」と、放任主義というか。

金丸:あれをやれ、これをやれと言われることもなく?

田中:そうです。ただ、いろいろと経験させてくれました。3歳からピアノを始めたのですが、「ピアニストを目指せ」という感じではなくて、「とりあえずやってみたら」と。ほかにも水泳やそろばんをしてみたり、父が本業のかたわら少林寺拳法の師範もしていたので、小さい頃はよく道場についていったり。

金丸:ユニークなご一家ですね。

田中:ちょっと変わってはいました。

金丸:身近で経験できるものをいろいろ試して、その中でも、ピアノを始めたことが、今の田中さんに繋がるわけですよね。ピアノの練習って、どれくらいの本気度でされていたのですか?

田中:すごく必死に練習したことはありませんが、思ったように弾けないとストレスなので、「これくらい弾けたらいいか」と自分が納得できるまでは練習していました。3歳から始めたので、食事をする、歯を磨く、宿題をする、と同じような感覚でピアノを弾いていて。私にとっては特別なものではなかったんです。

金丸:ピアノ以外に趣味はあったんですか?

田中:本が大好きでした。特に『クレヨン王国』シリーズが大好きで、寝る前に読んだり、木の上で読んだり。

金丸:木の上?

田中:自然が好きで、よく木登りもしていたんです。

金丸:ワイルドですね。

田中:おにぎりを持って山に登り、見晴らしがいいところで本を読む、なんてこともしていました。おてんばと言えばおてんばですけど、ワイワイと騒ぐより、自分の好きなことをする子でしたね。逆にお人形さん遊びなどはしたことがなかったです。

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