A2:依存体質すぎて、しんどくなった。
交際してすぐに驚いたのは、想像以上に葵の連絡頻度が高いことだ。
別に何か特別なトピックがあるわけでもない。ただ毎日、葵の日常が送られてくる。
― 葵:今日もお仕事お疲れ様です。今日は実家でご飯食べたよ〜
これに対して、どう返事をすれば良いのだろうか。適当に返してみるものの、日常の報告を僕は求めていない。
しかしこれは、LINEに限ったことではなかった。
基本的に、毎日会いたがる葵。そして会った時は、もちろん“ずっと一緒”だ。
「風磨くん、今日は映画行かない?観たいものがあって」
「映画かぁ…。家でテレビで観ない?」
この暑い中、外へ行く気にもならない。でも葵は出かけたいようで、妥協案を出してきた。
「え〜そっか…。じゃあ買い物は?この前気になるワンピースがあったんだけど、選べなくて」
「それ、俺もわかんないと思うけど大丈夫?(笑)」
「いいの。風磨くんと買い物行けるだけで嬉しいから」
― ちょっと面倒だな…。
何度そう思っただろうか。それに僕なりに、珍しくLINEも返信をしているし、葵になるべく付き合うようにしているつもりだったが、それでも“足りない”と言ってくる。
「風磨くんってさ、本当に連絡くれないよね」
「そう?俺、結構マメに返信していると思うけど」
「うん。それに関してはありがとう。でも本当は、もっと会いたいな。だって私、風磨くんのこと好きだし」
そう思ってくれているのは本当に嬉しいし、葵がどれほど僕のことを好きでいてくれるのかが伝わってくる。
ただ、シンプルにこちらは仕事が忙しい。
特に大きな案件を抱えているときは、正直それどころではない。相手にしているよりも、やるべき事が、こなす課題が目の前にある。
「ありがとう。ごめんね、忙しくて」
「ううん、それはいいの。わかっているから。でも会いたいな〜」
「善処します」
そして交際してから気がついたことがある。
それは、葵が“依存体質”なことだった。
実家が近くて、いまだに自立できていないことが原因なのか、それとも彼女の性格の問題なのか…。
常に一緒にいたがるし、連絡が途絶えると不安がる。お互いにいい大人なのだから、交際しているとはいえ、適度な距離感が必要だと思う。
でも葵は、僕に完全に依存しているように感じる。
一度約束をしていた温泉旅行に、僕の仕事の都合で行けなくなることがあった。それに対して、僕は良かれと思って、友達と行くことを提案してみた。
「ごめん!でもせっかくだし、予約も取れたし…誰か友達と行ってきたら?お金は僕が払うから」
すると、烈火のごとく怒り始めた葵。
「違うよ、私は温泉に行きたいんじゃなくて、風磨くんと一緒に行きたかったの!それすらわかってくれないの?」
― そんなに怒ること…?
行けなくなったのは、心の底から申し訳ないと思っている。でも僕以外に友達と行くとか、家族と行くとか…。その代替案はダメなのだろうか。
そもそも葵は僕と交際してから僕しか見えておらず、世界が完全に僕だけになっている。
「ごめん、そういう意味ではなかったんだけど…」
「もういいよ。温泉も、キャンセルしといて」
結婚し、一緒に暮らすとなったらどうなってしまうのだろうか。これ以上依存度が増すと思うと、若干の恐怖すらある。
大人の恋愛において、ある程度の双方の自立は必要だと思う。
それは金銭的なことだけではない。人として、相手に依存しすぎないこと。そして恋愛にしかフォーカスしていない女性は、魅力的には見えないし、尊敬度がどんどん下がっていく。
― もう少し、精神的に自立している大人だったらよかったのにな…。
そう思いながら、別れを決めた。
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映画デートの正解とは
この記事へのコメント
「そう?俺、結構マメに返信していると思うけど」
「うん。それに関してはありがとう。」
この辺の会話もすごいウザいなと思った。彼がマメに返信してくれてると思うのであれば、連絡くれないよねなんて言う必要ないじゃんね😆
「本当はもっと会いたいな。だって私風磨くんのこと好きだし」 最初からこれだけ言えばいいじゃん。