A1:実家に入り浸っている点。
葵と出会ったのは、女友達の美希の紹介だった。
突然美希から連絡が来て葵と三人で会うことになったのだけれど、派手すぎず、地味すぎず…。清楚でお嬢様っぽい葵の初対面の印象は、とても良かった。
「葵ちゃんは、何のお仕事をされているんですか?」
「今は知り合いの会計事務所のお手伝いをしています。風磨くんは?」
「僕は弁護士です」
「弁護士さんなんだ!すごいですね」
「すごくないですよ。普通です」
一応努力して頑張り続けた結果か、今のところ年収は1,200万は超えた。来年以降、さらに上がるだろう。
少し余裕が出てきた分、そろそろ結婚も考えたい…と思っていたタイミングでの葵との出会いは、何かしらの運命も感じる。
そんなことを思っていると、美希が勝手に盛り上げてくれた。
「風磨、葵は箱入り娘だからよろしくね。そして葵、風磨はいい男だから。とりあえず、二人で食事にでも行ってきたら?連絡先、繋げておくから!」
こうして半ば強制的に僕たちは食事へ行くことになり、初デートは赤坂に佇む、築80年の古民家を改築した『月居 赤坂』にした。
「葵ちゃん、苦手な物とかありました?」
「ないです。何でも食べられます」
「そうなんだ!好き嫌いがないって、いいですね。先に聞くのを忘れていたなと思って」
「いえいえ、大丈夫です」
この日は白色のワンピースで、葵の清楚感に拍車がかかっていた気がする。
「敬語、やめません?」
「ですね」
食べ方も綺麗で育ちの良さを感じ、僕はさらに葵のことを知りたくなった。だから食事をしながら、いろいろと葵のことを聞いてみる。
「葵さん、ご実家は学大なの?」
「そうなの。だから今も、実家から5分くらいの所に住んでいて。でもほぼ実家にいるし、ひとり暮らしする意味もない気がしているけど…」
「でも、ご実家が近いのは羨ましいな」
「風磨くんは?ご実家はどちら?」
「僕は調布のほうだよ。帰ろうと思ったら帰れるけど、そんな頻繁には帰らないかな…」
「そうなんだ。私だったら、毎週末でも帰っちゃいそうだけど」
「家族、仲良いんだね」
美味しくて贅沢な料理を食べながら、僕たちは本当にいろんな話をした。
ただこの時の話を、もっと慎重に捉えるべきだった。
なぜならこの先交際に発展した時に、「だからか…」と思うことが多すぎたからだ。
「あぁ、美味しい…」
美味しそうに食べる葵の笑顔が、とても良い。この時はのん気にそんなことしか考えていなかった。
「葵ちゃん、普段ご飯は?」
「私は家で作ることもあるけど、それこそ実家でご飯食べることも多いかな。一人でご飯食べることが苦手で」
「本当に、実家が近いって最高だね」
「風磨くんは?」
「僕はほぼ外食かデリバリーかな。仕事の合間にパパッと食べちゃうことも多いし」
「そっか、忙しいんだね」
話していると、あっという間に時間が過ぎる。僕はまだもう少し一緒にいたくて、もう1軒誘ってみる。
「時期とか案件次第かな。それより、葵ちゃんこの後のご予定は?」
「まだ大丈夫だけど…」
「じゃあもう1軒行きません?」
「うん、行きたい」
こうしてこの日はもう1軒行き、解散した。そしてここから数回食事へ行き、僕は決意を固め、告白することになる。
結果として、無事に交際へ発展した僕たち。しかし次第に、彼女にうんざりすることになる…。
この記事へのコメント
「そう?俺、結構マメに返信していると思うけど」
「うん。それに関してはありがとう。」
この辺の会話もすごいウザいなと思った。彼がマメに返信してくれてると思うのであれば、連絡くれないよねなんて言う必要ないじゃんね😆
「本当はもっと会いたいな。だって私風磨くんのこと好きだし」 最初からこれだけ言えばいいじゃん。