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SPECIAL TALK Vol.128

~兄に、家族に支えられて、もう一度オリンピックの舞台を目指す~


兄に影響されて柔道の世界へ。才能を発揮するも……


金丸:お生まれは、確か兵庫県ですよね?

阿部:神戸市兵庫区の和田岬です。

金丸:お兄さんが勇一朗さんと一二三さん、そしてご本人が詩さん。勇一朗さんは長男っぽさを感じるお名前ですが、あとのふたりはすごくユニーク。

阿部:母は私に「ななみ」という名前をつけたかったそうですが、生まれたばかりの私の顔を見て、父が「この子は詩だ」とひらめいたらしくて。

金丸:男、男と続いてからの女の子だから、いろいろな思いがあったんでしょうね。

阿部:実際にピアノを習わせたいとか、かわいく育てたいとか考えていたようです。でも私は体を動かすのが好きだったし、男の子とよく遊んでいたので、その点では親の希望からはずれちゃいましたね。

金丸:柔道を始めたのはいつですか?最初はご両親が習わせたのでしょうか?それとも自分からやりたいと?

阿部:始めたのは5歳です。自分からやりたいと言ったんですが、むしろ父には反対されました。母からも「本当にやるの?痛いよ」って言われて。でも、5歳の私は「大丈夫やろ」と。

金丸:強い(笑)。

阿部:「やる」という私に父も根負けして、「やるなら覚悟してやり抜きなさい」と言われたのを覚えています。

金丸:やり抜いた結果、いまの阿部さんがあるわけですが、ここまでとことんやるとは、ご家族も思っていなかったでしょうね。ちなみに、柔道はお兄さんが先に始めていたんですか?

阿部:そうです。最初はテレビで柔道を見た一二三がやりたがって。でも、いざ道場に行ったものの、すごい泣いて帰ってきて、全然練習しない(笑)。それで、「お兄ちゃんもついてって」と母に言われた勇一朗も始めることに。で、ふたりを見ているうちに、私もやりたくなりました。

阿部:では、きょうだい全員が柔道をされたんですね。

阿部:勇一朗は小学6年生でやめました。柔道着の生地が嫌だったみたいで。

金丸:生地が嫌?

阿部:そんなこと言う人、珍しいんですけど。

金丸:私も初めて聞きました(笑)。

阿部:だけどやめたあとも、一二三の練習に付き合ったり、県外に出稽古するときに付き添ってくれたりして。

金丸:きょうだい仲がいいですね。おふたりは初めから強かったんですか?それとも何かきっかけとなる出会いがあったとか?

阿部:私は神戸市にある私立の夙川中学・高校に通ったんですけど、そこの監督との出会いが大きかったと思います。もともとは一二三が小学生のときに、その監督のお世話になっていて、なかなか勝てない一二三が中学校で一緒に練習させてもらっていたんですよ。そこに私もついていくようになって。でも、小学生だった私はそこまで練習熱心になれなくて、結構長い期間、駄々をこねていたのを覚えています。

金丸:そんな時期があったとは。では、何か火がつくきっかけがあったんですか?

阿部:柔道は小学5年生から全国大会があるんです。県大会で優勝して、割と周りに期待されて出場したんですが、5年、6年とあっさり負けてしまって。それが悔しくて燃え上がりました。

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