2025.03.31
新店ラッシュは勢いを増し、価格の高騰も止まらぬ“東京の鮨”。
しかし、その波をもろともせず、淡々と真っ当な仕事をする良店が存在するのも事実。確かな技術と味は言わずもがな、そのコースは3万円以下。
大人が本当に通いたい住宅街にある3軒がここにある。
◆
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1.【全22品¥24,000】住宅地の地階に潜む鮨に魅せられた男の稀有な感性に魅せられる
『鮨 西崎』@東北沢
茶室のような空間でひたすらに鮨に向き合う贅沢
大将の西崎亮平さんは、『鮨なんば』や『鮨しゅん輔』といった名店で修業を積み独立。
「店を持つなら住宅街でアットホームな雰囲気でやりたい」と、駅から少し離れた住宅地の地下に『鮨 西崎』をオープンした。
食感を意識した抑揚のあるコースの流れ
コースの流れはお酒ありき。ビールからスタートする人が多いので、一品目は温かい茶碗蒸し。
その後、「牡蠣の酒煮」や「煮ダコと子持ち昆布の粕漬け」など酒盗の連打で日本酒へとシフトしていく。
西崎さんの鮨を体験した人は、口々に「価格に見合わないクオリティーの高さ」と賞賛する。その所以は、とことん追求する“食感”にある。
「子持ち昆布はコリコリ感と滑らかさを。春子は身厚だけどフワフワに。それぞれのコントラストが面白い。食感はファーストインパクトを印象づける重要な要素。食材ごとに『脂の強さか身の旨み、どちらを引き立たせるか?』と美味しさを探りながら、ベストな食感を見つけていくのを楽しんでいます」と西崎さん。
名物の「あん肝」はその真骨頂と言える逸品。
塩分で身が締まらないように白醤油で香りづけのみ加えて仕立てたあん肝は、滑らかに溶けるテクスチャーが官能的で、奇麗な甘みと余韻がずっと続く。
「焼き穴子」。皮目のみトロ火でじっくり、穴子の脂で揚げ焼きするように火入れ。
皮はパリッと身はふんわりに。とろみのあるツメも美味。
また、ネタの甘みが特徴の握りは白シャリ、香りのあるネタは赤シャリを使い分ける。
ユニークな「ぼたんエビ」は殻をまぶした味噌を中に入れ、ねっとりとした食感と香ばしさが鮮烈。
「イカ」は、硬さを解消するために切り身を7枚重ねて、食感は滑らかかつ適度な歯応えにしている。噛むほどに、甘みがグッと際立つ。
「穴子」は対馬産のもので豊洲の「築地大豊」から仕入れを行う。
15分煮込んで崩れるギリギリを狙った、ホロホロ食感に唸る。
緻密で繊細な鮨と、朗らかで話上手な大将のキャラのコントラストも魅力的で、皆一様に心まで掴まれてしまうのだ。
【Check!】握り手を知る
叔父が営む幡ヶ谷の鮨店から鮨職人のキャリアをスタートし、名店で修業を重ねる。
魚への愛が伝わってくる語り口と、柔和な雰囲気で多くのゲストからも慕われる。
2.【全21品¥23,500】ネタの旨みを凝縮させた究極の「熟成鮨」で、鮨の沼から抜け出せない
『鮨 まるふく』@西荻窪
鰯・クエ・海老の濃い味わいが脳天を貫く、いまだかつてない新体験
職人が培った技術を使って、手間ひまかけて提供される鮨は、それだけで訪れる価値がある。『鮨 まるふく』は、店主の伊佐山 豊さんが生み出した独自の「熟成鮨」が強み。
伊佐山さんが2011年の開店時に熟成鮨に行き着いたのは25年に及ぶ修業期間中に、正統派の江戸前鮨から新鮮なネタをそのまま握る鮨まで経験して、「魚は寝かせると香りと味が抜群に良くなり、質感も変わる」と気付いたことから。
熟成することで新たな味わいを引き出し「小肌がこんなに華やかな味になるなんて!」と驚きをもたらす。そのため、この店を目がけて地方から来店する客も後を絶たない。
店内の楽しい雰囲気を呼応するにぎやかな展開
それぞれ8日、2日熟成したサワラとスミイカの刺身でスタート。
その後サヨリ、キンメダイ、本まぐろ赤身、コハダと握りが続き、合間でノドグロの焼き物などの一品料理が登場。
しかも、「市場を出た後、喫茶店で原価計算すると冷や汗が出る」というほど素材も上質。
そもそも長期熟成させるためには魚の状態がよくないとうまくいかないためおのずと目利きや下処理の技術が試される。
例えば、クエは放血という新鮮さを保つ技術を持つ漁師から仕入れることによって、33日という長期の熟成を実現できているという。
中盤で登場する白子がゆが濃厚で満足感が上昇。
イワシは約20日間寝かせることで、赤酢のシャリとマッチするふくよかな味わいに。
きらびやかになる包丁テクニックも目を見張る。
『鮨 まるふく』のスペシャリテのひとつ。
シマエビを3尾使い、自家製のエビ醤油とエビ味噌、エビ塩で仕上げた濃厚な味わいの一貫。
あん肝やイワシ、シマエビ、本まぐろ中トロの握りやうにいくらと盛り上がりは最高潮に。
より美味い鮨を追い求めて、日々熟成期間や締め方を研究する親方が魅せる、進化しつづける熟成鮨をいま、味わうべし!
【Check!】握り手を知る
コースでは、一品ずつ産地や熟成日数を解説。難しくならないように、軽妙に楽しげな口調で語るのが伊佐山さん流。
女将さんを交えた会話も愉快で楽しく、アットホームな雰囲気に。
3.【全25品¥25,000】“すし匠”のDNAを継ぐ名店に感度の高い大人たちが夜な夜な集う
『不動前 すし 岩澤』@不動前
交互に供される握りとつまみが酒飲みの心をつかんで離さない
「お客様の気持ちを察して接客するようにしています」と笑うが、握るときは真剣な面持ちに。
そんな雰囲気に惹かれて訪れる客筋の良さは東京随一。『不動前 すし 岩澤』は、常連が多いのも納得だ。
まぐろの赤身は「醤油をまとわせるぐらいのイメージ」で1貫分を切り付けてからサッと漬けに。車エビは半生状態で熱々の出汁をかけて「味と香りを入れる出汁漬け」に。
今日の真鯛なら「そのままで十分に美味しい」と朝にさばいた一尾を使う。店主の岩澤資之さんがすべての仕事で貫くのは「素材の持ち味をしっかりと引き出す」。
そのために必要なら手間を惜しまずに、黄身おぼろも仕込むし、鮮度抜群の個体を、あえて一度冷凍した上で寝かすことも厭わない。
「どの魚も最高の状態で味わってほしい」と時間まで逆算して仕込んでいる。その仕事はちょっとした小鉢でも徹底されているから恐れ入る。
凛とした空気で清廉な鮨をいただく心地良さ
ワカメしゃぶしゃぶでコースがスタート。
『すし匠』出身ゆえ、おまかせはおつまみと握りを交互に。
合間合間に口直しの漬物を挟むとはいえ、提供される品数は25品と多い。
サッと漬けにした大間産「赤身」は和がらしを添えて。
なまこ、黄身おぼろに漬けたカスゴ、ホタテ刺身、毛ガニ手巻き、まぐろ酒盗茶碗蒸し、アジ棒鮨、ヒラメの昆布締めなどバラエティーに富んだ展開。
「車エビ」は出汁漬けにすることで身がパサつかず、しっとりと仕上がるという利点も。
箸休めの小メロンなどの漬け物を挟みつつ、玉ねぎおろしが利いたメジまぐろ炙り刺や太刀魚のほか、うに軍艦や大トロ、煮ハマグリの握りが続き後半も楽しい。
「太刀魚の塩焼き」。
東京湾産の特大サイズで脂の乗りも抜群の個体をシンプルに。
サービス精神も旺盛で、「ひとりでいらっしゃっても楽しんでいただけるよう、心がけています」と親方。
「あん肝大根」。
大根の美味しい時季に登場する名物。あん肝の旨みが染みて抜群。
もう9年も不動前の住宅街で営業を続けるが、それもギラギラした都心のエリアは苦手だから。
あらゆる点で気取りがなくおまかせの価格も含めて胸がすくほど潔いから、連夜の満席が続く、いまの人気がある。
【Check!】握り手を知る
学生時代の鮨店でのアルバイト経験が忘れられずSEの職を辞してこの道へ。
六本木で7年、赤坂『すし匠 齋藤』で8年修行。修業先で培ったサービス精神があり接客は朗らか。
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