離婚カレンダー〜夫婦の正しい終わり方〜 Vol.12

離婚するのが、こんなに難しいなんて…。「離婚カレンダー〜夫婦の正しい終わり方〜」全話総集編

人生は、何が起こるかわからない。

日常が歪み、愛情が枯れ、永遠を誓った結婚が“離婚”という名の終わりを迎えることもある。

だけど、恋の終わりのように「さようなら」の一言では片付かないのが離婚だ。

正しい離婚の方法。あなたはちゃんと知っていますか──?

「離婚カレンダー〜夫婦の正しい終わり方〜」一挙に全話おさらい!

第1話:結婚5年。ある日突然、夫が突然家を出たワケ

1ヶ月前の夜、「部屋を借りた」と報告を受けて以降、光朗は明らかに変わった。

しばらくは、2日に一度程度のペースだった帰宅は、いつのまにか3日に一度に。次第にさらに間が空いていき、今では週末に帰ってくればまだまし、というレベルになっている。

それでも最初の方は、LINEのやりとりも今までどおり頻繁にあった。いや、頻繁というのは楓からのLINEであって、それに対しての返信がちゃんと返ってきたという意味だ。

そして、今日は土曜日なのに、光朗は自宅にいない。

花奈と2人の休日を持て余した楓は、近所の公園を散歩しカフェに立ち寄り帰る途中だが、心がざわざわとして落ち着かなかった。

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第2話:北参道のタワマンに住む34歳主婦。結婚5年、突然の離婚危機で直面した金銭問題とは

東西線の竹橋駅から地上に上がると、春の微風が頬をかすめ、楓は頭上を見上げた。

― はぁ…。勢いで予約して来ちゃったけど…。

今、楓が向かっているのは、ネットをググって見つけた法律事務所だ。「女性の味方」「離婚専門」という言葉に惹かれ、相談のアポをとったのは一昨日のこと。

そもそもママ友の晴子に、「離婚してもしなくても、弁護士には相談したほうがいいよ」と背中を押されたことが事の発端だった。

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第3話:「もう女として見れない」別居中の夫からのLINEを見た34歳妻が、探偵に“ある調査”を依頼したワケ

ー 光朗さんって、こんな人だった…?

夫を知りたい。そんな気持ちが次第に熱を帯び、とにかく行動しなくては!という衝動となって楓の背中を押した。

すぐさまネットでいくつかの探偵事務所を探し…そして今、こうして探偵事務所のソファに座っている。

個人経営ということもあり、事務所はこぢんまりとた渋谷の雑居ビルだ。けれど、比較的良心的な費用であることが。楓の気持ちを安心させていた。

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第4話:別居して1ヶ月。ある日突然帰宅した夫が、「今すぐ離婚したい」と迫ってきた理由とは

「み、光朗さん…。何してるの…?」

久しぶりに見る夫の姿だった。

言いたいことはたくさんあるのに、なぜか言葉が出てこない。必死に頭の中で言葉を組み立てるが、それを夫にぶつけていいものか、楓はすぐに決心できなかった。

光朗は、何も言わず俯きがちにただそこに立っていた。

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第5話:「離婚したら、娘を私立に入れるのはムリ?」34歳主婦が、経営者夫との離婚を決めて知った事実

疲れているからだろうか?あたりをグルリと見回すが、何も変わったところはない。だから、違和感というのは、楓の直感に近かった。

― まさか、また光朗さんが?

自分たちがいない間に、光朗が一度帰宅して出て行ったのではないか?

だが、物が移動されたり、なくなっているような感じはない。先日の夫との対峙を思い出すと、背中がヒヤリとする。

「まさかね…」

その時、突然「ピンポン!」とインターホンが鳴った。

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第6話:エルメスのバッグも、カルティエの時計も封印。34歳セレブ妻が、全身1万円以下の服を着る理由

「私たちが動くよりも前から、ご主人は用意周到に弁護士を雇って離婚への筋道を立てていたんじゃないかしら?ちなみに、ご主人の会社の顧問弁護士について聞いたことはありますか?」

会社経営にはこれまでまったくタッチしてこなかった楓には、光朗の会社に顧問弁護士がいたかどうかなど、知るよしもない。

「まったくわからないです。すみません」

申し訳なさそうに答えながらも、内心、真壁の言ったことが引っかかる。

「用意周到に…って、先生はなぜそう思ったんでしょう?」

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第7話:見知らぬ電話番号からの着信。34歳妻が、夫の元カノを名乗る女から「会って話したい」と言われ…

「お時間はとらせません。私、ご主人のことで…お話が」

切られると思ったのか、女性は早口だった。だが、楓の方は驚きがそのまま顔に出でしまう。

「楓さん、どうしたの?」

晴子が心配そうに、小声で聞いてきた。楓はじっと晴子の目を見つめたまま、息を呑んだ。

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第8話:経営者の夫が有明に借りているタワマン。仕事目的と言っていたが、別邸を持つ本当の理由とは

「彼のことですから、分与の金額を少しでも減らすために、しれっと抜いたのかもしれないです。

それと、預金もだいぶ少ない感じがします。3,000万ってことはないんじゃないかなぁ。これの半分だと、分与される額はたったの1,500万になっちゃう」

「そうですね…。財産を正しく公表しないのは、よくあることですからね。ま、ちゃんと問い合わせしたので、回答が来るでしょう」

楓の心配を察してか、真壁はなんでもないことのように気軽な口ぶりで答える。

けれど、後日、夫の光朗側の弁護士から戻ってきた回答には、思わぬ事実が記されていたのだった。

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第9話:突然家を出ていった夫。残っている荷物を調べると、アタッシュケースの中からとんでもないモノが…

留守中に夫がやってきたのは、きっと時計のような資産価値のあるものを取りにきたのだろう。

一旦は納得した楓は、ケースを閉じ、元の場所に戻そうと持ち上げる。けれど、この相変わらずケースは重い。すでに高級時計は抜かれて空になっているはずなのに、腑に落ちなかった。

「時計が入ってないわりに、このケース重いよね。こんな重くて役に立つ?」

楓はもう一度ケースを床に下ろし、再度開けてみる。ふと思い立ち、時計を入れるための内装をしきりごと持ち上げてみた。すると…

「うわっ!!!!なにこれ?」

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第10話:夫が妻に内緒で隠し持っていた、2,600万円相当の隠し財産。秘密を知った妻が取った行動

真壁に預け、調停の場でゴールドを見つけたことを相手に知らせれば、もう楓の留守を狙って家に来ることはないだろう。その上、財産分与のリストに新たな財産も追加されるはず。

そう決めると、楓の気持ちはすこし軽くなったのだった。

しかし、アタッシュケースのことを教えてくれた松島は、中身がゴールドだと知っていたのだろうか?

先日松島に「アタッシュケースはあった」と連絡した際、中身も知らせるべきだったのだろうか?

そうすることでもしかしたら、松島から新たな情報を聞き出すことができたのかもしれない。楓はいまさらながら、あの時の自分の行動が適切だったのか、もやもやと考えていた。

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第11話:「私、夫と離婚するの」10年ぶりに再会した元彼に打ち明けたら、男は意外な反応で…

「いろいろ大変だったでしょう?頑張りましたね!」

真壁からお墨付きをもらい、楓はほっと胸を撫で下ろす。

― 昨日、二次会に行かなくてよかった!

真壁に渡した資料は、作成するのに夜中までかかった力作だ。スマホの過去の写真やトークを遡り、麻美に手伝ってもらって一覧にした。

賢司に誘われた二次会へは、結局参加しなかった。それもこれも、この資料を作成するためだ。二次会にはできれば行きたかった。しかし、披露宴の最中にふと思いついたのだ。

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