
安くてうまいワインと料理をガブガブやって、満足できる店
※こちらの店舗は現在閉店しております。
モワルーズ
MOELLEUSE
優美なフレンチで、マリアージュの奥深さを知る
今年5月、麻布十番の仙台坂下近くにオープンした『モワルーズ』は、豊富に揃ったワインと軽快なフレンチのマリアージュを堪能できる、良質かつ上質な店である。
「メニューやワインリストはもちろんあるけれど、お客様の要望にできるだけ柔軟にお応えしていきたいという気持ちが強くて。いつ来ても変わらない安心感は大切だけど、いつも同じというのではつまらない。マニュアルよりも、サプライズ感や自由度の高さを大切にしたかったから、自然とこの広さに落ち着いたんです」と、シェフの田中義和氏は言う。
料理の様々な“表情”を楽しんでもらいたいという思いから、ワインはフランスを主体に300本揃える。「この皿には、この銘柄を」という押し付けはせず、ゲストの希望を聞きながら、ベスト・オブ・ベストの提案をするのが身上だ。
「その日の気分や体調、季節や天候によっても、飲みたいワインのタイプは変わってきますよね。小さなお店だからこそ、お客様とコミュニケーションを取りながらのサービスが可能なんです」。
目指すのは、居心地が良くフレンドリーなフレンチレストラン。志すのは、ゲストの心に長く余韻を残す“おもてなし”――。穏やかな空気に満ちたこの店には、そんなシェフの思いがつまっている。
スプーン
彗富運
正論が勝つ時代。うまいワインと料理をがっつり!
東映映画会館跡地に現新宿マルイアネックスができた2007年を境に、新宿三丁目の人の流れは明らかに変わった。古くからの飲み屋街には、気軽に入りやすい、食べて飲める店が増え、それを目指す若いまっとうな男女が流れ込む。一方で昔ながらのダメな飲ん兵衛たちの影は薄くなった。街は生き物なのだ。それが明らかに再認識された頃、要通りの『新宿・呑』で働いていた大八木亨氏は、『彗富運』を開いた。
「安くてうまいワインと料理をガブガブやって、満足できる店」。彼の狙いは極めてシンプル、かつ共鳴を呼ぶ視点だった。きゅっと小さい16席の店。オープンして1年半、瞬く間に店は日に1回転半から2回転は当たり前、時には3回転する繁盛店に。何せ気張らない。
「ワインは自分も勉強中だから」と、銘柄を固定せずにフランス産を中心にボトル2000円から揃える。「わかりやすい味で、安いのが選択基準」と、大八木氏はくったくなく笑う。銀座『レカン』でも修業し、フレンチの技術をベースに料理を作るも、マカロニグラタンやポテトサラダなど、酔客が喜ぶツボを外さない。「みんな、好きでしょ?」。まさに、その通り。
うまくて安ければ人は来る。正解と正論と現実が、この小箱には詰まっている。