春の風に吹かれて Vol.12

東京の女性は忙しいけど、2024年度の春がまた始まった。明日で最終話!「春の風に吹かれて」全話総集編

東京の女性は、忙しい。

仕事、恋愛、家庭、子育て、友人関係…。

2023年を走り抜けたばかりなのに、また走り出す。

そんな「お疲れさま」な彼女たちにも、春が来る。

温かくポジティブな春の風に背中を押されて、彼女たちはようやく頬をゆるめるのだ――。

「春の風に吹かれて」一挙に全話おさらい!

第1話:大学卒業7年で差が歴然。29歳女が同級生に感じるコンプレックス

新卒からの同期は4割が転職していた。きっかけは、主にコロナ禍。美羽子も、正直転職を考えた。

― でも、私はいいかな。

転職活動を頑張った先に、今よりいい世界はあるとも限らない。今だって別に居心地は悪くない。…こんなふうに「やらない理由」を探すのが、習慣づいてしまっていた。

みんなが普通にやってのけることをできない自分に、美羽子の中でモヤモヤする気持ちもあるのだが…。

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第2話:「自然消滅狙われてる?」バレンタイン当日。27歳女が彼氏に連絡したら、ありえない答えが返ってきて

レストランのテーブルを挟んで、彼氏の隆史が真剣な表情を浮かべている。

― ついに…?

頭に浮かんだのは、“プロポーズ”という言葉。互いに27歳。周囲は結婚ラッシュ、クリスマスデート。

― あり得る。

アプリで出会い、付き合って1年弱なので結婚にはまだ早いと思いつつも、梨乃は笑顔でソファに座り直す。しかし次の言葉は、想像とはまったく違った。

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第3話:「私って、イタい女!?」38歳独女。会社で出世しても、ワーカホリック認定され孤独なワケ

ひどい肩こりを感じながらオフィスを出ると、数軒先にあるコンビニエンスストアに立ち寄った。

来店チャイムが鳴ったとき、店内のどこかから聞いたことのある声がした。

「最近俺、部署異動したじゃん?結構やばいんだよ、部長が」

特徴的な高い声。最近部署に異動してきたばかりの、入社3年目の男の子だろうとピンとくる。

― やばい部長って、もしかして私のこと?

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第4話:元夫が、浮気相手とスピード再婚。幸せそうな挙式写真をSNSで目撃した30歳女は…

「げ、結婚式の写真…」

通勤中の電車内でInstagramを見ていた咲奈は、体をビクッと震わせた。

1年前に別れた元夫の達也が、グレーのタキシード姿で、見知らぬ花嫁と寄り添っている。

咲奈は達也と、前職のIT系広告代理店で出会った。だから共通の知人のストーリーズに、写真がアップされていたのだ。

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第5話:「親の期待に応えるのはやめた」大企業でのキャリアを捨て、慶應卒28歳女が飛び込んだ世界は…

留美子は、新卒で大手広告代理店に入った。クリエイティブ局に配属され、入社3年目で広告賞を2つ獲得。周囲から、相当もてはやされた。

しかし当時の留美子は、どれだけ周囲に評価され、讃えられても、満たされない思いだった。

― 広告クリエイティブより、私が本当にやりたいのは…。

留美子の本当の目標は、ファッションデザイナーだったのだ。

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第6話:「このままじゃ、ヤバい」銀行に入社して7年。惰性で働く30歳女が決意したコト

ランチタイムがきて、落ち込んだ気持ちで一人、近くのカフェチェーンに入った。注文するのは、いつもパスタにコーヒー。

支店に、気を許せる同僚はいないから、ランチはいつも一人だ。

レストランや食堂に単独で入る勇気はない。かといって、デスクで孤独にご飯を食べるのも寂しい。だから毎回、カフェでランチタイムを過ごす。

「あれ?沙莉ちゃん?」

席につき、パスタの到着を待ちながらコーヒーに口をつけた瞬間、沙莉の顔を覗き込む人がいた。

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第7話:「このまま結婚していいのかな」赤坂のタワマンに住む自慢の彼だけど、裏では…。29歳女の悩み

千佳が27歳の頃に食事会で出会い、お互いに一目惚れして付き合って2年。

努力家で、自分にも他人にも厳しい。そんな彼に憧れ、尊敬の念を育ててきた。しかし、その独特の厳しさが千佳にも降り注ぐようになり、最近は窮屈している。

― このバッグ、買ったらきっとジャッジされてしまう。

「ちょっと派手すぎるよ」
「小さいから、実用性には欠けるね」

勇馬は、いつも片眉をつり上げてジャッジするのだ。千佳のあらゆる選択を――。

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第8話:「高年収の男との別れってつらい…」高級ホテルやレストランに慣れっこになっていた29歳女は…

忙しく働く壮一郎は「こんなに尽くしてくれる子はめったにいない」と頬をゆるませてくれる。

仕事では自分に自信を失うばかりだったからこそ、彼から褒められるのが瑠衣の生きがいになった。

― 私の生きがいは、壮一郎。

そう思うことにしたら、入社以来抱えていた肩の荷が下りた気がした。

そんな暮らしをして1年。瑠衣が27歳のとき、表参道のオープンカフェで、壮一郎は突然言った。

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第9話:「同期といるのしんどい」仲良しグループでハワイ旅行に行った代理店勤務・26歳女の本音

入社してすぐ、選りすぐりの同期美女が近づいてきて“いつメン”になった。

ミスコン優勝者、人気俳優の次女、キー局女子アナ選考面接落ち、人気インフルエンサー、元子役。

最初はよかったが、最近は彼女たちと一緒にいて違和感を感じらようになってきた。

― 馴染んでいるのは、見た目だけだよね、きっと。

出会って3年、抱え続けてきた違和感が、今回のハワイ旅行で露呈したように思える。

第9話の続きはこちら

第10話:仕事を理由に旅行をドタキャンしてきた彼氏。女が本音を漏らしたら、電話を切られて…

足湯に浸かった若菜は、ようやく少しマシな気分になった。そのとき、手に持っていたスマホが震える。勝明からの着信だ。

「も、もしもし?」
「おう。部屋の写真見たよ、いい感じだね。今日はほんとごめんな」
「うん。一人で楽しんでるよ。でもね、あのね」
「ん?」
「…本当はちょっと寂しい」

勢いで言ってみたら、勝明はだまりこんでしまった。

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第11話:結婚して3年、夫とは仲は悪くないけど、まるで同僚。デートもしてないし夜も…

互いに忙しいのは重々承知だから、家事も育児もお互いに協力するようにしてきた。だが、あまりにパツパツの暮らしで、最近の朱美はキツい。

― なんか…パンク寸前って感じ。

流れるように時間は過ぎ、切迫したまま夕方になった。

莉子が昼寝をしている間に、朱美は食器洗いを、俊春はリビングの拭き掃除をしている。そのとき、ふと俊春が言った。

「あのさ。最近の僕たちってさ…」

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