春の風に吹かれて Vol.8

「ハリー・ウィンストンのプレゼントが忘れられない」年収1,700万のコンサル男と別れた29歳女は…

東京の女性は、忙しい。

仕事、恋愛、家庭、子育て、友人関係…。

2023年を走り抜けたばかりなのに、また走り出す。

そんな「お疲れさま」な彼女たちにも、春が来る。

温かくポジティブな風に背中を押されて、彼女たちはようやく頬をゆるめるのだ――。

▶前回:「このまま結婚していいのかな」赤坂のタワマンに住む自慢の彼だけど、裏では…。29歳女の悩み


瑠衣(29) 執着しすぎって、わかってるけど…


平日の21時。

実家の2階にある自分の部屋でInstagramを見ていた瑠衣は、驚いた。

母親が入れてくれたココアを片手に、スマホにかじりつくように投稿を見る。

年上経営者と付き合っていた友達・千佳が、破局したらしい。

最新の投稿には「別れて、好きなことに邁進!」との文字があった。

― ふーん…きっと落ち込んでるだろうなあ。

ハイスペックな男性との別れほど、痛いものはない。

瑠衣はちょうど2年前に経験した、元カレ・壮一郎との出来事を思い出す。



壮一郎とは、六本木で開かれた食事会で出会った。

大手コンサル勤務、年収1,700万。高身長、イケメン。

一目で恋に落ちた瑠衣は、自分の美貌を武器に近寄り、壮一郎と頻繁に会う関係になった。

案外押しに弱い壮一郎の家に半同棲というかたちで住み込み、あらゆる家事を手伝う。疲れて帰宅する彼をマッサージし、ねぎらいの言葉をかける日々。

― 壮一郎がいてくれれば、私の人生はそれでいいかもしれない…。

もともと瑠衣は海外志向が強く、外資系製薬メーカーにMRとして勤務しながら毎日必死だった。

「海外で暮らしたい」という目標があり、20代のうちにどこかの国に転勤できるよう、社内にも希望を伝えていた。

しかし、実力主義の会社。同期のレベルは瑠衣より遥かに高く、転勤の枠はなかなか回ってこない。

― このままじゃ、埋もれる。もっとしっかり働かないと。

自分を鼓舞するが、どこか疲れきってしまった、そんなとき。壮一郎に出会ったのだ。

忙しく働く壮一郎は「こんなに尽くしてくれる子はめったにいない」と頬をゆるませてくれる。

仕事では自分に自信を失うばかりだったからこそ、彼から褒められるのが瑠衣の生きがいになった。

― 私の生きがいは、壮一郎。

そう思うことにしたら、入社以来抱えていた肩の荷が下りた気がした。

そんな暮らしをして1年。

瑠衣が27歳のとき、表参道のオープンカフェで、壮一郎は突然言った。

この記事へのコメント

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壮一郎さん多分浮気してない。 瑠衣がウザくなったからそう言って別れたんだと思う。
なのにカフェですがりついて最後は悔し泣きしながら彼にリングを投げつけたとか、子供かっ。 初の海外出張行った位でキラキラ依存から抜け出せるとは思えん。 東カレらしいくだらない主人公だったわ。
2024/03/27 05:2935返信1件
No Name
千佳の元カレはどう? 笑 俺様気質の何でもダメ出ししてくるあいつ。言う事聞いてればインスタ投稿ででまた自慢出来るから瑠衣の自尊心は満たされる! 案外お似合いかもね😂
2024/03/27 05:2429返信3件
No Name
瑠衣が武器とか言ってる美貌、大したことないんだね。押しに弱い壮一郎は引っかかったけど。
付き合ってる間キツかっただろうね晃太。 もっと内面的に美しいマウント気質ではない素敵な女子とお幸せに。
2024/03/27 05:3324返信1件
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