大須賀と同じチームの後輩が、最近結婚した。相手の女性は、アプリで見つけたというのだ。
その話を聞いた大須賀は、速攻で同じアプリに入会したらしい。
「山田も彼女いないよな?ここ、結構可愛い子が多いからやってみろよ。アプリのURL送っておいたから」
― おいおい…いつの間に。
僕は、その場で半ば強制的にそのアプリをインストールさせられた。
でもたしかに、大須賀も心配する通り、僕に3年半も彼女がいないのは由々しき問題だ。
周りも結婚し始めているし、今こそ重い腰をあげる時なのかもしれない。
「…まぁ、自力で出会いを見つけるのも大変だし、社内恋愛はしたくないしなぁ」
僕は決意表明として、来週までにひとり以上とデートすることを大須賀に約束した。
― まずはプロフィール作らなきゃな。
自席に戻り、自分が写っている写真を探して、誠実かつ簡潔にプロフィールを書いた。
その日の仕事終わり。僕は自宅に帰る途中、配達時間を計算しながらUber Eatsを注文した。
その間にシャワーを済ませ、いつものようにPS5の電源を入れる。
習慣化されている、僕の平日の過ごし方だ。
僕は昔からゲームが好きで、今ハマっているのは、ループ世界で戦闘やステルス、探索などを行うもの。
週末ともなると朝方まで延々とやってしまうし、食事も適当でいいから、外食もしなくなる。
― あ。もしかして僕に彼女ができない原因はこれか?
こんなんじゃ、天から降ってこないかぎり彼女などできるわけがない。
僕は、PS5のプラグをコンセントから引っこ抜き、そのまま本体ごとクローゼットに押し込んだ。
体に染みついた癖や習慣は、なかなか変えられないので、強行手段を取ったのだ。
「よし、これでいい」
僕は、Uber Eatsで届いた炙り焼きチキン丼を食べながら、マッチングアプリを開いた。
まだ、自分からは何もしていない。
しかし、ある女性から「いいね」があったので、プロフィールを見にいく。
『こんにちは!食品メーカーでお菓子の企画開発を担当しています。
趣味は、アフタヌーンティーに行くことと、コンビニスイーツを試すことです♡ついつい、他社のお菓子の新しい味やパッケージデザインのチェックをしちゃいます。笑
明るく元気が取り柄で、仕事もプライベートも全力で楽しむタイプです!よろしくお願いします』
― 明るくて、仕事も頑張っている。いい子そうだなぁ。
写真を見る限り、顔も綺麗だし、上半身しか写っていないもののスタイルも良さそうだ。
僕は、このATさんという女性が気になり「いいね」を返した。名前は綾子というらしい。
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