SPECIAL TALK Vol.101

~地方から日本を変えていきたい。上京しても忘れなかった原体験がある~


安倍晋三元総理のもと、歴代最長の官房長官時代


金丸:横浜市議を2期8年務められて、その後、国会議員になられます。

菅:ちょうどそれまでの中選挙区制から、小選挙区比例代表並立制に切り替わったタイミングでした。初めての制度のもとでの選挙でしたが、そのときは「勝てるのは私しかいない」という自信がありましたね。

金丸:それだけ市議時代に活躍されていたということですよね。

菅:振り返ってみると、一番苦労した選挙は市議の1期目。あれを乗り越えられたことで自信がつきました。

金丸:自民党が野党に転落した2009年の選挙も、大変だったのでは?

菅:党全体が崩れていましたからね。正直、無理かもしれないと思いながら、自分も電話をかけて応援をお願いし、なんとか548票差で当選しました。

金丸:そのときよりも、最初の選挙が大変だったというのは、どういうことでしょう?

菅:やっぱり公認をギリギリまでもらえなくて、状況が厳しかったからです。それに、子どもが6歳、3歳、生まれたばかりの8ヶ月と3人いましたから。

金丸:そうなんですね。小さなお子さんを抱えて、絶対に負けられない勝負だった。でも、きちんと結果を出されました。菅さんというと、官房長官のイメージが強烈だと思いますが、第1次安倍政権では総務大臣、そして地方分権改革を担当する内閣府特命担当大臣を務められました。その後、自民党が下野し、再び与党に返り咲くと、第2次安倍政権では官房長官に。

菅:安倍さんは、やはり1回目の辞め方を相当気にされていましたが、私は安倍さんしかいないと思っていました。

金丸:経済界でも、最初のうちは安倍さんを応援する人はほとんどいませんでした。ですが、安倍・菅という二枚看板は素晴らしかったですよ。日本が明るい未来に向かって前進しているなとすごく感じられて。

菅:数字で見ると、アベノミクスという政策は本当によかった。8千円台だった日経平均株価が、約3倍まで上昇しました。

金丸:インバウンドも4倍になりましたね。

菅:2012年に836万人だった訪日外国人旅行者数が、2019年には3千188万人に増え、消費額も1兆円から約5兆円になりました。そもそも「日本は観光地としてポテンシャルはあるはずなのに、なぜ外国人が来ないんだろう?」と、ずっと調べていたんです。そしたら、他国に比べてビザの条件が厳し過ぎることが分かって。ビザを緩和すれば確実に成長が見込めるはずと、安倍さんに国会冒頭で「観光立国を目指す」と宣言してもらいました。

金丸:だけどビザを緩和しようとすると、前例踏襲主義の官僚からは、当然反発がありますよね。

菅:もちろんです。一番反対したのは、治安維持を懸念した官僚たちでした。「緩和したら、外国から犯罪者がいっぱい来ますよ。犯罪が増えますよ」と。そう官僚に言われると、普通は丸め込まれてしまうのかもしれないけど、私は逆に「それをちゃんと取り締まるのが、あなたたちの仕事でしょう」と。

金丸:おっしゃるとおりです。しかも、緩和したからといって、犯罪は増えていません。

菅:訪日客は4倍に増えましたけど、犯罪は微減しました。

金丸:素晴らしい。菅さんは「これが正しい」と思ったら絶対にやり遂げる、段違いの突破力をお持ちです。それを貫いていった結果、強硬なイメージがついてしまったかもしれませんが、官僚の中にも反対するばかりではなく、改革のために一緒に動いてくれた人たちがたくさんいます。そういう官僚の人たちに、菅さんは「こうやってやるべきことを躊躇せず実行すればよりよい国になるんだ」と、使命を全うする勇気を与えたと思います。

菅:壁を乗り越えたり、縦割りを壊したり、金丸さんには規制改革会議のメンバーとして大活躍いただきました。金丸さんがいなければ、これほどの成果を出すことはできなかったはずです。

金丸:光栄です。だけど、本当に大変でしたよ(笑)。

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