ハッピーエンドの行く先は Vol.7

同棲中にもかかわらず、深夜3時まで男と遊び呆ける26歳女。帰宅すると、暗いリビングで彼が…

「2人は、幸せに暮らしました。めでたし、めでたし」

…本当に、そうでしょうか?

今宵、その先を語りましょう。

これは「めでたし、めでたし」から始まる、ほろ苦いラブ・ストーリー。

▶前回:「冴えない男で妥協したのね」と友人の夫を貶す女。招待された結婚式である事実を知り、絶望するハメに


Episode7:日常にうんざりしている女


「亜美、良かったら俺と付き合ってくれないかな」

司から告白されたのは、桜が舞う仲見世通りを歩いていたときのことだった。浅草の下町育ちである彼は、地方から上京してきた私に東京を教えてくれた人だ。

「えっ…。私でいいの?」

「うん。亜美がいいんだ」

大学生活、最後の春。ずっと片思いしていた彼からの思わぬ告白に、私は舞い上がった。

そして卒業後、私たちはすぐに渋谷のマンションで同棲を始めたのだった。



あれから、4年。

「もしもし亜美、今から飲まない?」

木曜の22時。モデルをしている友人・雅から、電話が掛かってきた。

「有名人とか経営者が来るパーティー、興味あるでしょ?場所は六本木のタワマンだって。行こうよ!」

「わぁ、いいね!行こう行こう!」

私は電話を切ると洗面所に向かい、洗ったばかりの髪にオイルをたっぷりと塗る。

「…ねえ、今から出かけるの?」

するとドライヤーの音に気づいたのか、奥の寝室からスウェット姿の司が顔をのぞかせた。

「うん、ちょっと友達に誘われてさ。芸能関係の子も多いみたいで。なんか繋がりできるかもだし」

「…またか」と彼がため息をつくのがわかったけれど、私は聞こえないふりをして急いで支度を進める。

私は新卒で不動産会社のPR部門に入社し、ひょんなことからTV番組の不動産コーナーにレギュラー出演することになった。それをキッカケに、インフルエンサー兼モデルとして独立したのだ。

一方の司は新卒で入ったベンチャー企業で、激務に耐えながら仕事をこなしている。真面目で誠実。結婚相手としてはいいのかもしれない。…ただ、地味なのだ。

私はゲームをしている彼を横目に、マンションを飛び出してタクシーに乗り込む。

インフルエンサーになってからというもの、東京には一部の人間だけが知ることのできる煌びやかな世界があると知った。

でもこのときの私は華やかなパーティーに夢中になるばかりで、大事なことに気づいていなかったのだ。

この記事へのコメント

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その社長も何十年六本木界隈で飲んでるんだか…
2022/11/22 05:2396返信1件
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面白かった! 社長の差別的な発言はどうかと思ったけれど、結局26歳の時にイタいだの売れ残り、あんな風になりたくない等…散々悪口言ってたお天気お姉さんと全く同じ道を歩んだってことね。
2022/11/22 05:2180
No Name
Aラインの花柄ワンピ、お婆ちゃんが好きで着てる🫢
2022/11/22 05:2544返信9件
No Name
ど田舎から出てきた人ほど、きらびやかな世界にハマりやすいのか?
にしても、年齢だけで悪口言うものじゃないね。自分だって歳とるんだから。
2022/11/22 05:2734返信3件
No Name
司は速攻亜美と別れて賢かったな。
2022/11/22 07:1823
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