柳 忠之のこの12本におまかせ Vol.22

鮨と相性抜群のオレンジワイン!食欲をそそるほろ苦さと独特の香りがクセになる

ワインといえば、赤、白、ロゼ、そして今注目のオレンジ。

独特の香りが特徴のオレンジワインは、実は鮨との相性が抜群なのだ!

今回は、8000年の歴史を誇るジョージアのオレンジワインを紹介する。

左:東京カレンダー編集部 嵩倉伶奈/右:ワインジャーナリスト 柳 忠之氏


専門誌からライフスタイル誌まで、幅広い分野の雑誌で執筆を手掛け、切れ味あるコメントに定評があるワインジャーナリスト・柳 忠之氏。

柳氏が東京カレンダーでワイン連載の担当となって5年目。ワインの勉強に日々奔走する編集・嵩倉の質問に、いつも親身になって答えてくれる。

オレンジワインはジョージア発。その製法は世界無形文化遺産


――ちょっと柳さん、教えていただきたいことがあります!

柳「びくっ!クラリン(編集担当の嵩倉)、いきなりどうした?」

――最近、ワインバーでしばしば見かけるオレンジワイン。

柑橘類のオレンジから造られたお酒ではないことは分かってますし、オレンジっぽい色をしてるからそう呼ばれていることも知ってるんですが、どうしてこういうワインができるのかがまったく分かりません。

柳「あれ?この連載で説明したことなかったっけ?

白ブドウを潰してその果汁だけを発酵させると白ワインになるよね。そして黒ブドウを潰して果皮も一緒に漬け込みながら発酵させたのが赤ワインだ。

でもって、黒ブドウを潰して、ピンク色に染まった果汁のみ発酵させると?」

――ロゼですよね?

ジョージアのオレンジワイン
「QVEVRI WINE CELLAR KISI QVEVRI(クヴェヴリ ワイン セラー キシィ クヴェヴリ)」


2015年設立と新興のワイナリーながら、初ヴィンテージがジョージアワイン最優秀賞を獲得したクヴェヴリ ワイン セラー。

キシィは絶滅の危機に瀕していた品種で、アプリコットやベルガモットの香り。ボディに厚みがあり、アフターのほろ苦さが食欲をそそる。

4,700円/モトックス TEL:0120-344-101



柳「そう。では、白ブドウを潰して、赤ワインのように果皮も一緒に漬け込みながら発酵させたら?」

――それがオレンジワインですか?

柳「正解。黒ブドウは果皮にアントシアニンという色素が含まれているので赤く染まる。けれど、白ブドウにはそれがないので、オレンジっぽくなるというわけだな。」

――飲んでみると、白ワインとはまったく違いますよね。

柳「うん。独特の香味があって、後口にほんのり渋みが残る。」

――どうしてこういうワインを造ったのでしょう?

柳「最初からオレンジを意識して造ったわけではなく、大昔は黒ブドウも白ブドウも区別なく、摘んだブドウをそのまま発酵容器にぶち込んでただけ。現代のオレンジワインは原点回帰、いわばリバイバルだな。」

――へぇ〜。

8000年の歴史!伝統の甕仕込み


これがクヴェヴリと呼ばれる素焼きの甕。地中に埋めて使う。

潰したブドウを果皮や種子もろともクヴェヴリに入れ、何の添加物も加えずに仕込む。



柳「オレンジワインで有名な国が、ワイン造り8000年の歴史を誇るジョージアだ。

ここではクヴェヴリと呼ばれる素焼きの甕に、白ブドウを果皮や種子、場合によっては軸ごと詰めて発酵させる伝統的醸造法がいまだに行われている。ただし、ジョージアではオレンジではなくアンバー(琥珀色)と言ってるけどね。

このクヴェヴリによるジョージアの伝統的ワイン造りは、ユネスコの世界無形文化遺産にも登録されているよ。」

――きゃ〜。それはたまりません。

柳「世界遺産オタクのクラリンなら反応すると思った。料理との汎用性も高く、赤か白か迷ったときにオレンジは便利。アジやサバなど青魚との相性もいいしね。」

――では早速、ジョージアのオレンジ、もといアンバーワインを持ってお鮨屋さんに。

柳「僕も連れてって!」


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