2022.05.20
SPECIAL TALK Vol.92令和のニューリーダーたちへ
外務省に勤める外交官は、一般的にエリートとされている。
しかし、外交官時代に「自分が行けば、何か役に立てるはず」という思いでガーナ北部の村に飛び込んだ原 ゆかり氏は、それが対等な目線での支援ではないということを思い知らされる。
村の人たちと交流するうちにフラットな関係を築き、強い愛着を抱いた原氏は、村と関わり続けるため外務省を去る選択をした。
海外から投資を呼び込み、多くの起業家が事業を興し、日々劇的に変化し続けるアフリカ。
そのアフリカと日本を結びつける活動を通じて、挑戦を続ける原氏の歩みを振り返りながら、次代を切り拓くリーダーに必要な視点と心構えを探る。
金丸:本日は株式会社SKYAHの原 ゆかりさんをお招きしました。お忙しいところ、ありがとうございます。
原:こちらこそ、お招きいただき光栄です。
金丸:今日の対談の舞台は昨年10月にオープンした銀座の『こはる』です。名店『青空(はるたか)』の立ち上げ当初から15年間、大将の高橋氏を支えてきた栗田寿之さん。その栗田さんが大将として握る鮨をお楽しみください。
原:お鮨は大好きです。実はつい3日前も、実家の今治で食べてきました(笑)。
金丸:ちなみに、お酒はお好きですか?
原:大好きですし、強い方だと思います。
金丸:そうなんですね。これまで対談した中で、「強い」と宣言された方は初めてです。今日は楽しい会になる予感がします(笑)。原さんは現在、アフリカを軸に活動されているそうですね。
原:はい。共同代表を務めているガーナのNGO「MY DREAM.org」が今年、10周年を迎えました。それとは別にアフリカのいいものを日本に広めたくて、2018年に「SKYAH」を立ち上げました。上質なアフリカ製品を日本に紹介する「Proudly from Africa」というサイトを運営していて、アフリカ発のブランドを世界に届けるお手伝いをしたいと思っています。
金丸:アフリカは、繊維産業が盛んですよね。
原:そうですね。「MY DREAM.org」でも布製品を扱っていますが、ほかにもアクセサリーやコスメなど、アフリカには魅力的な商品がたくさんあります。それがあまり知られていないのは、本当にもったいないなと。
金丸:「Proudly from Africa」で扱っているアイテムの中で、原さんのイチオシはなんですか?
原:ふたつあります。ひとつはボディクリームです。村の女性たちが作ったシアバターに、バオバブオイルやココナッツオイル、はちみつなどガーナ国内のいろいろな天然原料と混ぜ合わせて作ったものです。もうひとつは、ドライフルーツ。日本のドライフルーツは、酸化防止剤、着色料、シロップが入っているものが多いんですが、そういったものをまったく添加せず、機械で乾燥させただけのシンプルな商品なんです。
金丸:素材で勝負ということですね。
原:それに加えて、このドライフルーツを作っている30代のガーナ人の女性起業家がとても面白い方で。
金丸:ガーナで生まれ育った方ですか?
原:いえ、生まれと育ちはガーナじゃないんです。アメリカのスタンフォード大学を卒業したあと、自分のルーツであるアフリカを発展させるためには、製造業を育てなきゃいけないという強い思いで、一念発起して起業したそうです。
金丸:いろいろな理由でアフリカの外に出ていった人たちやその子孫がアフリカに戻ってきて、成長のエンジンになっているという話を最近よく聞きます。
原:何らかの理由で国を離れて外国で暮らす人々は「ディアスポラ」と呼ばれていますが、このディアスポラや留学をきっかけにアフリカに戻ってきて、20代半ばで起業する人が本当に増えていますね。
金丸:そうなんですね。
原:しかも彼女は、サーキュラーエコノミーを実現しているのがすごいところで、通常は廃棄するパイナップルのヘタや、皮、種を工場に備え付けたシステムで分解し、出てきたバイオガスを発電に回すことで、工場の電力の4割を賄っています。ガスを出し尽くした残りカスもさらに分解して、栄養たっぷりの液体肥料として農家さんにお返ししていて。だから、廃棄物が一切出ないんですよ。
金丸:素晴らしい。サーキュラーエコノミーは、日本では最近になってようやく知られてきた概念ですが、アフリカの若い起業家がそれを実践しているというのは驚きです。アフリカと聞くと、「貧困」「遅れている」というイメージを抱く人は少なくありません。しかし、急速に発展を遂げているし、志を持って活躍する起業家も増えています。今日は原さんにこれまでの歩みを振り返っていただきながら、アフリカの現在、そして未来について伺えたらと思っています。どうぞよろしくお願いします。
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