マウンティング・ポリス Vol.2

食事会後「自分だけに連絡が来た!」と舞い上がっていた女。だが男から呼び出された“真の目的”は…

デート相手ではなく、食事会要員としてモテていた女


その翌週末。僕は友人である高橋くんの自宅にいた。

プラチナ通りに面するタワーマンションの、28階にある彼の部屋は、かなり居心地がいい。僕は呑気に彼がいれてくれたオーガニックグリーンティーを飲みながら、くつろいでいた。

「ジェームズ、急に女の子と飲もうってどういう風の吹き回し?」
「まぁまぁ。人助けだと思って、ちょっとだけ協力してよ」

実は高橋くんとは、2~3年ほど前からの知り合いなのだ。若手経営者仲間が立ち上げたグルメ会で一緒になり、それ以降なんとなく交流が続いている。

そのとき、部屋のインターホンが鳴った。彼が玄関へ向かうと、驚いたような声が聞こえてくる。

「いらっしゃい!…って、あれ?」

僕が呼んだのは、菜穂だったのだ。


「お邪魔します!」
「えっ、菜穂ちゃんだけ?」
「はい!高橋さんが私と飲みたがってると聞いて、お邪魔しちゃいました♡」

高橋くんの素敵な部屋を見て、菜穂はさらにテンションが上がっているようだ。しかしその一方で、彼はなぜだか困ったような顔をしている。

「今日は1人なの?…まひろちゃんとかは、来ないのかな?」
「え?まひろですか?」

菜穂の顔が、みるみるうちに険しくなる。

「まひろは来ませんよ。今日は1人です」

その言葉に、あからさまにガッカリしている高橋くん。そんな彼の態度に、菜穂もさすがに何か気づいたようだった。

「…誰か呼んだ方がいいですか?」
「もし呼べるならぜひ!」

すると急に、高橋くんの顔がパァッと明るくなった。その後慌てて弁明しようとするけれど、かえって墓穴を掘っている。

「あ、いや…。ごめん。正直に言うと、菜穂ちゃんの周りって可愛い子が多いでしょ?だから彼女たちを呼んでほしくて」

菜穂の顔が、一瞬にして引きつる。

「え?」
「ごめん!!女の子は菜穂ちゃん1人だから、みんなで飲みたいなぁと思ってさ」

要約すると、こうだ。結局のところ、菜穂はただの“幹事”でしかなかった。

可愛い子が周りに多く、フットワークも軽い。そんな彼女に、男から連絡する理由はただ1つ。デート相手としてではなく、“食事会をセッティングしてくれる人”として連絡していただけ…。

「高橋くん的に、その会で誰かいいなと思った子はいたの?」
「僕はまひろちゃんかな。でも可愛いし、彼氏がいそうだなと思ってなかなか連絡できなくて。だからインスタだけフォローした(笑)」
「なんだよそれ!連絡すればいいじゃん」

うっかり2人で盛り上がってしまったが、そんな様子を菜穂は呆然と見つめていた。


▶前回:未婚の37歳友人に「結婚してなくて可哀想」と言い放つ女。しかし、実は夫と…

▶NEXT:2月8日 火曜更新予定
“東京生まれ、東京育ち”であることをマウンティングしてくる女

東レデート詳細はこちら >

この記事へのコメント

Pencilコメントする
No Name
勘違い菜穂、ざまあみろ!笑
2022/02/01 05:1499+返信4件
No Name
菜穂、いかにもモテなそうだよ。性格悪いと顔に出ちゃうし。
2022/02/01 05:3482返信13件
No Name
菜穂みたいな人って、とにかく何にでもなんかダサいねって言うね。ダサいと言えば相手が怯むと思い込んでる。
DM? なんかダサいねって😂
2022/02/01 05:3867返信8件
もっと見る ( 61 件 )

【マウンティング・ポリス】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo