2022.01.21
SPECIAL TALK Vol.88インターネットの進化を見て、人工知能に可能性を感じる
金丸:大学はどちらに進学されたんですか?
平野:お茶の水女子大学の理学部情報科学科です。
金丸:かなりの男性脳なのに(笑)。
平野:本当に(笑)。私立の共学校にも受かったんですが、国立大学というのが決め手でした。実家がすごく貧乏だと思い込んでいたので。
金丸:「思い込んでいた」というのは?
平野:親に「うちは貧乏だ」と言われて続けて育ったんですよ。国立だったら、両親の負担も減るだろうと思って。まあ、大して貧乏でもなかったことが、あとからわかるんですけど。
金丸:親御さんの作戦勝ちですね(笑)。大学に入学したのはいつですか?
平野:2002年です。
金丸:ネットバブル、ITバブルが弾けたあとですね。もともと航空機を作りたいと思って入学されたのが、どうやってAIにたどり着いたんでしょう?
平野:情報科学科でプログラミングを学んだのですが、実は高校のときに中毒といってもいいくらい、インターネットにハマって。「自分が遊んでいたインターネットの裏側は、こういう仕組みになっていたんだ」とわかると俄然面白くなって、ひたすらプログラミングに打ち込む生活に。
金丸:飽きやすいとおっしゃっていましたが、熱中するときは、とことん熱中するんですね。
平野:自分でプログラミングできるようになれば、サービスを消費する側から提供する側になれるな、と思って。AIの道に行こうと決めたのは、2004年くらいです。「web2.0」という言葉が出てきた頃ですね。
金丸:2004年にAIの道を選んだのは、ちょっと早かったような。
平野:早すぎました(笑)。当時、考えていたのが「朝、パソコンを開くと、自分が欲しい情報が全部並んでいる」というサービスで。
金丸:レコメンデーション(ユーザーの好みを分析して、適した情報を提示する機能)ですか。ネット上の情報量が多くなっても、ユーザーの欲しがる情報がちゃんと届くようにしたいと。
平野:まさにそのとおりです。その頃、mixiなどのSNSに触れて、「これは絶対に私たちのこれまでの暮らしを変える」と感じ、SNS向けのマーケティングエンジンなどを開発していました。それが大学4年生のときです。
金丸:そうなんですね。ところで、平野さんが最初に起業されたのはいつですか?
平野:2006年です。お茶の水女子大を卒業後、東京大学大学院に進学して1年生のときに、最初の会社である「ネイキッドテクノロジー」を設立しました。
金丸:大学卒業の時点で、有名企業や大企業に就職するという選択肢は考えなかったんですか?
平野:たしかに就職するか、起業するかは迷いましたし、大学院1年生ではインターンも経験しました。ただ、当時人気だった外資系金融機関などに行ってみて、私はものを作るほうが向いているなと。web2.0という大きな変化が起きている分野に身を置いたほうが、絶対に楽しいとも思いました。
金丸:変化を嫌がる人は少なくないですが、変化があるということはチャンスもあるということですからね。
平野:そうですね。それに、子どもの頃、父に言われたことに影響を受けたのかもしれません。
金丸:お父様はなんと?
平野:「就職ランキングの上位に入っているような企業には就職するな」と。
金丸:素晴らしいじゃないですか。世の中の多くの学生が「いい大学を出て、いい会社に入りたい」と何となく考えています。でも「いい会社って、なに?」と聞かれて、明確に答えられる人はほとんどいません。いい会社の定義があいまいで、自分がやりたいこともわからないまま、テレビでよく見る会社や規模が大きい会社を選んでしまう。
平野:日本人全般に言えることですけど、夢を見ない人が多すぎますよね。
金丸:もし起業していなかったら、どこで何をしていたと思いますか?
平野:たとえどこかに勤めても、そんなにうまくやれなかったような気がします。しゃべるのは得意ですから面接は突破できると思いますが、継続が苦手なので、出世はできないだろうし。
金丸:継続ではなく、瞬間の熱量で価値を発揮するタイプですよね。
平野:そうですね。瞬発力タイプです。起業家って、対応すべき世の中の課題がどんどん変わっていくじゃないですか。だから飽きずに続けられているんだと思います。
金丸:たしかに、肩書が同じ「起業家」でも、人によって取り組んでいることはさまざまだし、ずっと同じことに取り組み続けている人って少数派ですよね。
平野:組織がどんどん大きくなるにつれて、課題の質も変わっていきます。それが難しいところであり、面白いところでもありますね。
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