『高級コスメブランドのコットンもらうくらいなら、スタバカードのほうが100倍マシです(笑)』
『別におごってくれなくてもいいけど、初デートで割り勘だったら2回目はなし!』
こうした恋愛やデートがテーマの、SNSでよく見る論争に首を突っ込んだり。
『返信が遅いと、「お~い」って送ってくる男。都市伝説かと思ってたけど、実在しててびっくり!』
『初デートは高級寿司だったのに、2回目のアポでチェーン居酒屋とは…(笑)気を抜くのが早過ぎでは? 付き合って数ヶ月経ったら、毎回ファミレス連れて行かれそう』
と、自分自身のリアルな婚活事情を、LINEスクショや現場の写真付きで投稿するようにもなった。
その後も、どんどんツイート内容はエスカレートしていき……。
『有名婚活垢の“ヨシロー”ってやつ。ツイートからモラ夫気質がにじみ出ててキツい』
ついには人気の男性婚活アカウントを名指しで批判するという、本来の目的を無視した炎上ツイートまでもするように。
そして、そのツイートに対する批判派・擁護派を自分のリプライ欄で論争させるなどし、着実に“いいね数”と“フォロワー数”を伸ばしていった。
そのかいあってか、半年でフォロワー数は5,000人超え。ツイートをすれば、あっという間に100以上のいいねがつくようになった。
さらには、私のどんな発言にも『yuzukaさん最高です!』『yuzukaさんのツイートは私のバイブルです!』などと反応し、信者のようになる子まで現れた。
しかし一方で、そんな過激な発言を繰り返すアカウントに好意的な連絡をしてくる婚活男子などいるはずもなく、Twitter婚活そのものは数ヶ月前から頓挫していた。
だが、それでも私は構わなかった。Twitterの向こうで、何千人ものフォロワーが私のツイートを楽しみにしてくれている。その事実が嬉しかった。
― 婚活は、マッチングアプリでやればいっか。
Twitter婚活垢としての運用はやめ、自分の言いたいことを発散する過激アカウントへ切り替えようと思っていた矢先、思いがけないDMが届く。
珍しくまともなメッセージが届いたので、少々面食らった。
― こんな、バズり狙いのツイートばかりしている私に興味を持ったって…? 正気?
相手のアカウントを覗きにいく。
「年齢:30歳」「職業:外資系コンサル」「住まい:赤坂」「趣味:温泉旅行」
顔はハッキリ出ていなかったが、全体的な雰囲気はとても良さそうだった。
ツイートに載せている店は予約の取れない有名店ばかりで、自宅とおぼしき部屋のインテリアもオシャレ。窓の外の景色から察するに、タワーマンションの高層階に住んでいるのだろう。ただ、フォロワー数は15人ほどと少なめだ。
いかにもなハイスぺ男子がなぜ私に?との疑問は拭えなかった。が、「ハイスペ風婚活男に会ってみたら、ここがダメだった」みたいなネタは、フォロワーたちが好むに違いなかった。
― フォロワーは少ないけど、連絡は取ってみようかな。
私はDMを承認し、メッセージを返した。
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