どんなに手を伸ばしても、絶対に届かない相手を想う。
でも、その距離感さえ愛おしく感じる。
彼女たちが抱く想いは、憧れか、依存か、それとも本物の愛か?
結ばれることのない相手に人生を捧げる、女たちの心情を紐解いていく。
これは、「推し」がいる女たちのストーリー。
「推す女」一挙に全話おさらい!
第1話:世帯年収2,500万・豊洲在住のDINKS妻。ある日、結ばれることのない年下男に恋をして…
― 私の分も買ってきてくれればいいのに……。
1人分しか用意されていないそれを見て、小さくため息をつく。
しかし、夕飯担当だったのに用意をし忘れた私のほうが悪い。そもそも『家事はすべて分担し、その他自分のことは自分で』という2人で決めたルールがある。
夫は何も間違っていない。もちろん、悪気もないのだろう。それでも、彼の異常なまでに気の利かない性格には度々イラッとさせられる。
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第2話:妊活していると言いながら、ピルを飲み続ける33歳女。夫に言えない、驚愕の真相とは
私は早々に仕事を終わらせ、夫の分の夕食を作り置き、シャワーを浴びて、あとはもう寝るだけという格好で自室にこもる。
今日は、私がハマりにハマっている配信者の“流太くん”から、何やら重大発表があるらしい。
― きっと、いい報告だよね。楽しみ…!
お気に入りのティファニーのティーカップに白桃紅茶を注ぎ、立てかけたiPadの前で待機する。
そして21時ぴったりに上がった『流太が配信を始めました』という通知を素早くタップし、彼のルームに入室した。
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第3話:年収600万以上なのに貯金50万以下の28歳女。誰にも言えない“あるモノ”にお金を費やしていて…
私より7歳年上で35歳になる彼女の肌がツヤツヤのピカピカなのは、基礎化粧品やエステにお金をかけているからに違いない。
― 前に紹介してくれた行きつけのフェイシャルサロンも、1回の施術が3万くらいだったもんなぁ…。
うちのようなキラキラベンチャー系IT企業に勤める女子にとっては、それが当たり前なのだろう。
でも、美容やランチにお金をかけるくらいだったら…。私は1円でも多く、“彼”のために使いたい。
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第4話:「この男ないわ…」デート中28歳女が即断。別れ際、彼に言い放った強烈なセリフとは
いまさら後悔しても、別の結婚相談所に登録し直すほどの金銭的余裕はない。
何といっても、私の貯金はもともと50万円以下で、そこから結婚相談所への登録やプロフィール写真撮影などで20万円ほど使ってしまった。
そもそも薫子さんの旦那さんのように、社会的地位とお金があって、優しくて穏やかで、オタク趣味にも理解が深い人なんて、ガチャでSSR(スーパースペシャルレア)を引き当てるようなものだろう。
― 来週土曜も顔合わせか…精神科医らしいから、今までの人に比べたら年収は高いけど…なんかもう面倒くさいな。
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第5話:金曜22時の家デート中。いい雰囲気から一転、男が突然不機嫌になった“女のある行動”とは
― 今日もしっかりレスしてくれた……嬉しい!
ゆずは、もうすぐ19歳になる大学生だ。学校とアイドルとの両立は大変そうだが、絶対にファンの前で弱音は吐かない。
今年で25歳になり、いよいよアラサーに片足を突っ込んだ私は、いつもそんなゆずに救われてばかりだ。
― ああ、仕事の疲れが浄化されていく。ゆず、私に癒しをありがとう……。
サイリウムをぎゅっと握り締めて彼女の姿を拝む。その一瞬一瞬を目に焼き付けようと、私は歌って踊る彼女をじっと見つめた。
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第6話:彼女がいるのに他の女と遊びまくる33歳男。彼の出会いの場は、まさかの“地下ライブ“で…
「でもまあ、潤一さんくらいカッコよくて稼いでいたら、ちょっとオタクでも文句は言わないですよね。なんで地下アイドル現場に来てるのか謎だね~って、他のオタクたちも言ってましたもん」
潤一さんは長身でルックスがそこそこ良く、大手IT企業で働いている。誰にでも分け隔てなく接してくれて、コミュニケーション能力が高い。地下アイドルのファンでは珍しく、いかにもモテそうなタイプの男性だ。
しかし、潤一さんは少し間をおいてから、表情ひとつ変えずにとんでもないことを言い放った。
「いや、まあ……僕はアイドルとの繋がり目的でライブ通ってるから」
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第7話:恋愛経験ほぼゼロの27歳女が、マッチングアプリをしてみたら。出会ったのは…
昨晩のこと。私がもう何年も応援してきたK-POPアイドル「V2」の「ドヒョン」が、一般人女性との結婚を発表した。
コロナ前は、彼のために何度渡韓したかわからない。他にも好きなK-POPアイドルはたくさんいるけれど、彼以上に愛せる人は二度と現れないだろう。
「コロナで全然韓国にも行けないし、そろそろ潮時かな~」
私がボソッとつぶやくと、早苗は待ってましたとばかりに身を乗り出してきた。
「じゃあさ、彼氏作りなよ!」
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第8話:3回目のデート後、まさかのLINEブロック。猛攻アプローチをうけていた女が、突然切られたワケ
彼との2回目のデートでは、品川の水族館へ行くことになった。
― 水族館デートなんて、もうすでにカップルみたい…!
気持ちが舞い上がり、気づけば約束の15分以上前には到着していた。品川プリンスホテルの化粧室で、念入りにメイクを直す。
1回目のデートで、彼は素敵なディナーと花束をプレゼントしてくれた。だからそのお礼に、今日は私がサプライズを用意してきた。
― 喜んでくれるといいなぁ。
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第9話:「噂の会員制バー、行ってみない?」3年恋人ナシの地味女が、港区女子の誘いに乗った理由は…
会社のデスクに飾ったブロマイドを眺め、うっとりする。
彼は、男性アイドル「高木國弘」。推し歴はもう5年になる。“くにちゃん”の愛称で親しまれ、芸能界でも品行方正で有名だ。今年で30歳になるが、見た目は若々しく、目鼻立ちがくっきりとした美しいビジュアルだ。
「さて、仕事仕事」
気持ちを切り替え、目の前のPCに向き直る。
私は、都内の制作会社でWebデザイナーをしている。忙しさにはムラがある仕事だが、今は短納期の案件が多く慌ただしい時期だ。
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第10話:“恋愛対象外”だった男からの告白に、15回目のデートでようやくOKした女の真意とは
「くにちゃんの弟、幸恵のことめっちゃ好きじゃん!」
大きい案件を無事に納品し終えた昼下がり、私は同僚の梨々花と『フィッシュ バンク トーキョー』へご褒美ランチに来ていた。
今日は、私の“推し”である男性アイドル「高木國弘(通称:くにちゃん)」の弟・達弘さんと私が、デートをしたという話で持ち切りだ。
「『タイプです』『素敵です』って真っすぐに気持ちを伝えてくれて。嬉しいんだけど、その……」
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第11話:「平日の昼間だったらバレないから…」結婚3年目33歳の女が、夫に内緒で毎日…
「こうして3人で集まるの、久々だよね」
「ほんと!会えて嬉しい」
『マンダリン オリエンタル 東京』で、クリスマスアフタヌーンティーを楽しむ優雅な昼下がり。高校の同級生たちと、積もる話に花を咲かせていた。
最初は他愛もない近況報告だったが、話は次第に“子ども”のことに移り変わっていく。
「小学校受験しようと思ってるんだけど、いつ頃から塾に通わせるべきなのかな?私はなるべく早く入れたいんだけど…。夫は、小さいうちから塾なんてかわいそうだって否定的でさ」
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