推す女 Vol.10

“恋愛対象外”だった男からの告白に、15回目のデートでようやくOKした女の真意とは

どんなに手を伸ばしても、絶対に届かない相手を想う。

結ばれることのない相手に人生を捧げる、女たちの心情を紐解いていく。

これは、「推し」がいる女たちのストーリー。

◆これまでのあらすじ

国民的男性アイドル・高木國弘(愛称・くにちゃん)の大ファンである幸恵(26)。パリピな同期・梨々花に誘われ、くにちゃんの“弟”が働いていると噂の会員制バーへ。そこで出会ったのは、くにちゃんとは似ても似つかない弟・達弘だった。達弘から、急に食事に誘われた幸恵は…?

▶前回:「噂の会員制バー、行ってみない?」3年恋人ナシの地味女が、港区女子の誘いに乗った理由は…


推しの“弟”と繋がりをもった女・幸恵(26)【後編】


「くにちゃんの弟、幸恵のことめっちゃ好きじゃん!」

大きい案件を無事に納品し終えた昼下がり、私は同僚の梨々花と『フィッシュ バンク トーキョー』へご褒美ランチに来ていた。

今日は、私の“推し”である男性アイドル「高木國弘(通称:くにちゃん)」の弟・達弘さんと私が、デートをしたという話で持ち切りだ。

「『タイプです』『素敵です』って真っすぐに気持ちを伝えてくれて。嬉しいんだけど、その……」

「まあ、全然くにちゃんと似てないもんね、あの弟」

牛フィレ肉のステーキを頬張りながら、梨々花が冷めたように笑う。どうやら、彼女は達弘さんの名前すら覚えていないらしい。

バーで達弘さんと出会ってすぐに食事のお誘いを受けた私は、先日、2人きりでのディナーを楽しんだ。

社交辞令なのかも…と初めは思っていた。しかし、達弘さんは食事中、私のことを終始褒めちぎり、なぜかDiorのリップをプレゼントしてくれた。そして帰り際には、「俺のこと、真剣に考えてみてほしいです」と、告白まがいのことまでしてきたのだ。

好意を示してくれるのは嬉しい。だけど、やはり“推しの弟”という目で見てしまう。それに何より、彼はとても優しくて面白い人だけれど、正直ルックスがタイプではない。

「でも、幸恵があの弟と結婚でもしたら、くにちゃんが“お義兄さん”になるんだよ。ヤバくない?」

梨々花は、大きな目をさらに大きく見開いて、私に訴えかける。

あまりにも気が早過ぎるけれど、もし、本当にくにちゃんが“お義兄さん”になったら……そんな展開、アツすぎる。

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