オフラインな私 Vol.11

リモート女子たちの、知られたくない裏側:2021年ヒット小説総集編②『オフラインな私』

オンラインで、キラキラした私生活を垣間見せる女たち。

豪華なインテリアや、恋人との親密な関係性、メイクや服装。

だけど画面越しに見せている姿は、本当の自分とかけ離れているのだ。

―オフラインの私なんて、誰にも教えられない。教えたくない。

リモートで働く女子たちのPC画面の裏側には、まさかの世界が広がっていて…?


2021年は、本当にありがとうございました。2021年ヒット小説総集編、「オフラインな私」一挙に全話おさらい!

第1話:“勝ち組な新妻”自慢が止められない女。彼女を襲った、非情な現実

「料理が好きだから、キッチンが広くて気に入ってるんです。あ、そうそう。最近、おうちご飯を投稿するためにInstagramを始めたんですよ!良かったらフォローしてくださいね」

そう言って、彼女はスマホの画面をカメラに映す。その笑みは、まさに“幸せ”を体現したものだ。

「見てみますね。ありがとうございます!」

さっそくInstagramの検索画面を開き、みずきのアカウントを探し出した。投稿されている色とりどりの料理は見た目も美しく、手が込んでいるのがわかる。留依は、さらにその中の投稿を数枚タップしてみた。すると…。

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第2話:結婚を前提に付き合いたいと思ってたのに。タクシーに乗り込んだ瞬間、女が“ナシ判定”を出したワケ

梨沙は元々、加奈子が在籍していた表参道の有名サロンに通っていた。しかし彼女が独立開業したため、最近はこちらの店舗に来ているのだ。

彼女は誰が見ても美人で、男にも困っていないように見える。しかしオイルを手に取り施術を始めたとき、不意にポツリとつぶやいた。

「そろそろ、いい出会いがあればなとは思ってるんだけどね…」

―こういう仕事だと、意外と出会いが少ないのかな。

そんなことをぼんやりと思っていた梨沙は、ふいにあることを思いつき、口を開いた。

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第3話:同棲中の彼氏がいるのに…。リモートワーク中に始まった禁断の関係に、翻弄された女の末路

今の時代“結婚=幸せ”という価値観は昔ほど強くないが、楓は“ひとり“が幸せとは到底思えない。

今日だって、ひとりきりの家で1日中仕事をするのが嫌だから、こうして人の気配を感じたくてコワーキングスペースに来ているのだ。

斜め向かいで明るく笑っている女と自分では、何が違うのだろうか?早くも“結婚”というゴールにたどり着けそうな留依を見ていると、羨ましくてたまらない気持ちになってくる。

―幸せになれる女と、なれない女の違いってなんなのよ。

留依の声がどうしても耳障りに感じてしまい、一瞬だけ彼女を睨み付けると、そっと席を離れた。

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第4話:綺麗になっていく快感を止めることができない。自粛期間中、美容整形にハマった女が招いた悲劇

遥香はこのPR会社に新卒から勤めて10年。今年から晴れてマネージャーに昇進した。慣れない管理職業務に翻弄されつつも、充実した日々を送っている。

たった今、来月から新しく自分の部署に異動してくる笹沼梨沙と、挨拶がてらオンラインミーティングをしていたところだ。

―美人で感じのいい子だし、取引先からも気に入られそう。うちの部署で上手くいくといいなあ。

ただひとつだけ、気になっていることがある。それは引き継ぎ元での、彼女の評判だった。率直に言うと、梨沙は前の部署をクビになり、たらい回しのような形で異動させられることになったのだ。

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第5話:妊活を諦めた30代夫婦。子どもの代わりに“あるモノ”を手に入れた2人の仲は、次第に…

―いいなあ。旦那さんも高収入だって聞いたし、きっと何でも欲しいものが手に入るんだろうな。

新卒2年目の秋絵にとって、遥香は初めての上司。キャリアも、女性としての幸せも手に入れている彼女のようになることが、今のところの目標なのである。

―いつか私も、こんな風になりたい。

そう思っていたが、実は彼女が“幸せいっぱい”ではないことを、この時の秋絵は知らなかったのだった。

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第6話:30歳目前、結婚ラッシュの波に乗り遅れた女。友人との再会で見たくなかったモノを発見してしまい…

―楓はいいなあ。独身で自由の身だから、自分の好きなものを食べて、オシャレな生活ができて…。

そんな彼女のプロフィールをタップし、過去の投稿をさかのぼってみる。そこに並べられていたのは、最近話題になった店のランチメニューや趣味のビオワイン。それにオシャレなアンティーク調のインテリア。

―住んでる部屋も素敵だなあ。うちのインテリアも参考にしたいくらい。

フォロワー数5,000人ほどを抱える楓は、学生の時からセンスが良く、憧れの存在だったのだ。

第6話の続きはこちら

第7話:家庭もキャリアも手に入れたはずの美人ワーママ。彼女がどうしても我慢できなかった、ある夜の出来事

「今くらいの年齢って、キャリアも積んでいきたいけど、子どもとの時間も大切にしたいし。これで良いのかなって悩むよね~」
「すごい分かる。ちょうど分岐点にいるよね、私たち」

私たち。そう彼女に括られた人々は特権階級なんだろうな、と加奈子は思う。…もっとも、自分には子どももいないし、結婚すらしていないのだが。

最近始めた、招待制の音声SNS『Clubhouse』。その中の“30代ワーママ集合!仕事と子育てのあれこれを話そう”というトークルームの会話を、自宅でこっそり聞いていたのだ。

そのルームでスピーカーとして話をしていたのは、前職の化粧品会社の先輩・智佳子だった。

第7話の続きはこちら

第8話:「彼氏の部屋を掃除していたら、机の下に…」家政婦扱いを受ける女が、見てしまったモノとは

「私の彼氏、家事が全然できないんですよ~。最近は私が家に行ってご飯作ったり、掃除してあげてるんです」
「え~!『ちょっとは自分でやってよ』って言わないの?」

梨沙がそう言うとニコッと笑い、恥じらうこともなくこう答えた。

「まあ私は料理が好きだし、美味しいって言ってくれるからいいんです」

―結局、ノロケかい!

そこまで恋人に夢中になれるなんて、正直羨ましい。なぜなら梨沙は、気づけば1年ほど恋愛から遠ざかっているのだ。

第8話の続きはこちら

第9話:「彼の浮気相手から監視されてるの」婚約者に裏切られ転落した女は“あるモノ”に傾倒していき…

実はここ半年ほど、総一の浮気相手らしき謎の女に悩まされているのだ。

美織がInstagramに投稿すると、定期的にその女から“いいね”が来る。それだけでなく、こちらを監視していると匂わせるかのような“目玉の絵文字”だけのDMが送られてくるのだ。

それに2回ほど、その女と彼が親密な様子で歩いているところを目撃してしまった。しかし、それも追及できないまま。

浮気を容認するわけではないが、自分の年齢や彼のスペック、経済力を考えると「これが結婚できる最後のチャンス」と思ってしまい、なかなか言い出せないのだ。

― このままじゃ、ダメな気がする。

第9話の続きはこちら

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