盛りラブ Vol.13

リモートで出会った2人は、同棲から次のステップへ…「盛りラブ」全話総集編

「相手にとって完璧な人」でありたい—。

恋をすると、本当の姿をつい隠してしまうことはありませんか。

もっと好かれようとして、自分のスペックを盛ったことはありませんか。

これは、恋するあまり理想の恋人を演じてしまう“背伸び恋愛”の物語。

「盛りラブ」一挙に全話おさらい!

第1話:交際は最長3ヶ月。破局ばかりの短命女子が、運命の人とZoomで初対面!?

仕事を終えた夜、SNSでも気になったのでプライベートのInstagramをひらき『#ワーケーション』で検索してみる。

ベッドで寝そべりながらスクロールしていると、ある1枚の写真が目に留まった。芹奈は思わず指を止め、その写真をタップする。

広い海が一望できる、眺めのいいベランダ。ミニテーブルにあるMacBook。その上に置かれた、指が長い綺麗な手。その写真には、文章が添えられていた。

『伊勢志摩に来て、もう半年。東京の友達に忘れ去られないように久々の投稿。#ワーケーション』

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第2話:ついに現れた“理想の10箇条”を満たす男。ニヤニヤが止まらないズボラ女子の決心とは?

うっすらホコリの積もったテーブル。部屋の隅に重なるAmazonの空の段ボール。ベッドの上には、放置された山盛りの洗濯物。いつ使ったのかも覚えていない、茶シブのついたマグカップ。

― こんな女、瑛太さんが好きになってくれるはずがない。

急に冷静になってギョッとした芹奈は、まずゴミ箱を抱え、目につくゴミをその中にどんどん放り込んでいく。次に、洗面台へ行き溜まっていた洗濯物を洗濯機に入れてスイッチを押す。

そして、バスルームへと入り勢いよくシャワーを出しながら芹奈は思った。月に数回しか出社しなくなってからズボラに磨きがかかった、と。

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第3話:モテるのに彼女いない歴5年。29歳ハイスペ男が女にいつも逃げられる理由とは

瑛太は、ここに来てから一度も東京に戻っていない。これだけ自然豊かでゆったりと時が流れる場所にいると、戻りたいという気持ちは全く湧いてこないのだった。

バルコニーから部屋に戻りテレビをつけると、朝のニュース番組が放送されていた。

「昨日の東京都内の感染者数は…」と、トップニュースをアナウンサーが読み上げている。

瑛太は、食い入るようにテレビを見た。1ヶ月前に芹奈から突然のメッセージを受け取って以来「東京」と聞くと、瑛太の頭の中には芹奈が浮かぶようになっていた。

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第4話:「リアルで会うのはまだ怖い」ズボラを隠して嘘をついた女。そこでとったある行動とは?

芹奈は床で横になりながら、初心者向けの料理教室を探していた。瑛太に料理ができると言ってしまったので、できないことがバレる前に、練習しておこうと思ったのだ。

そこで目に留まったのが、広尾にあるアットホームな料理教室のホームページ。メニューの一例として掲載されている料理の写真は、どれも家庭的なのにどこかあか抜けている。

― よし。申し込んでみよう。

赤い四角で囲まれた『参加申込』のボタンを押して、申し込みフォームに必要事項を記入しながら、心が華やいだ。

― これで、瑛太さんの理想に近づけるはず!

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第5話:待望のイケメンと初デート!完璧なプランに女が失望した“ひとつの理由”とは

お互いのことはすでにたくさん知っているが、初対面ならではの緊張も感じる。今までになかった不思議な感覚だと芹奈は思った。

「いい天気だね」
「ね。晴れて良かった」

たわいない天気の話をしながら、芹奈の気持ちは高ぶっていく。“どうしてもこの人を手に入れたい”、そんな気持ちがこみあげてくるのだ。

「ここだね」

瑛太は、ある建物の前で足を止めた。

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第6話:「絶対に失敗できない!」勝負デートの前日に、男がコッソリ仕込んだ“完璧な計画”とは?

しばらくクローゼットに入っていたタオル類や部屋着、戸棚に眠ったままになっていた食器類も、綺麗に洗い上げて収納してもらった。

部屋を綺麗にしたのは、芹奈が来るかもしれないと思っていたからではない。瑛太は元々、東京に住んでいたころから、週に3回ルームクリーニングを依頼していた。

今はホテル暮らしだから困っていないが、瑛太は掃除・洗濯・料理が大の苦手なのである。その苦手な作業を、料金を払えば誰かがやってくれるのなら、そこにはお金を惜しまない。

…それは、ルームクリーニングに限った話ではない。

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第7話:「正直、疲れたな…」最高のデートの翌日に女が思ったある本音とは

― 私、この人の彼女になったんだな。

それは、芹奈にとって夢のような現実だった。昨日の素晴らしいデートをなぞるように思い返して余韻に浸りながら、瑛太の額にかかる前髪に触れた。しばらくそうしていると、瑛太がうっすらと目をあける。

「んー?」

寝ぼけた様子でそう言った瑛太は、芹奈を見てハッとしてすぐに笑顔をつくった。

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第8話:月50万のお小遣いとハリーウィンストンの結婚指輪。なのに専業主婦の女が不幸に感じるワケ

「私ね、先月芹奈さんとお料理教室で一緒になって。そこから仲良くなってお茶もして」

美羽はひとりで話し始めた。そして、嬉しそうな様子でこんなことを言うのだった。

「それでね、知ってます?あの子、実は、料理が得意なんて嘘なのよ」
「…え?なんの話ですか?」
「本当の芹奈さんを知ったら、瑛太さん、芹奈さんのことどう思うかしら」

美羽は、なぜか顔をほころばせながら話すのだった。

第8話の続きはこちら

第9話:「2週間でもう無理…」付き合ってすぐ同棲したカップルのリアルな悩みとは

「今日から、よろしくね」

芹奈はペコリと頭を下げ、瑛太から割り当てられた自分用の部屋に荷物を運び込んでいく。10畳ほどあるその部屋は、芹奈がずっと1人で住んでいた部屋と同じくらいの広さだった。

― 自分の部屋がしっかりあるんだから、同棲だってへっちゃらだわ。

そう思って、鼻歌まじりに部屋を整え始めた。

…この頃の芹奈は、これで瑛太との夢のような生活が始まると、心の底から思っていた。

第9話の続きはこちら

第10話:息がつまる同棲生活で彼氏が出張へ。ズボラ全開で過ごす女の前に訪れた意外な人物とは?

「芹奈ー?来週、伊勢志摩のお客さんのところに行くわ。5日間、出張してくるね」
「そうなのね。わかった」

瑛太が家を空けると聞いて、芹奈は来週が少し待ち遠しくなった。そんな自分に気づいて、ぎくりとする。

― 不在が楽しみなんて、だめよね。でも、ぐうたらできるのは嬉しいなあ…!

同棲生活で疲れ気味の芹奈は、どうしても1人の時間を恋しく思ってしまうのだった。

第10話の続きはこちら

第11話:「本当は家事なんて得意じゃない」同棲中の彼女の切実な告白。男の反応は意外にも…

瑛太は、家事は彼女の仕事であると無意識に思っていたことに、気づかされる。

「お前、ちょっと考えた方がいいぜ。彼女、そんなにきちんとした子じゃないかもよ。…なんていうか、俺が行ったとき、1人でお菓子の袋散らかしてお酒飲んでたし」
「え…。芹奈が?」

瑛太は、芹奈が部屋を散らかして飲むという様子を、想像することができなかった。やっぱり自分が知らない芹奈がいるのかもしれない、と思う。

「彼女さん、瑛太の前と1人でいるときのギャップが、あるんじゃないかな。まあ、わかんないけど。無理させちゃダメだぜ」

第11話の続きはこちら

第12話:「君とのデートが、つらいんだ」彼氏に言われた衝撃の一言。女が驚愕したその理由とは

「瑛太…あのね?家事は、ちょっと手伝ってくれればいいの。忙しい日なんかは、もちろん私がやるし…」

すると瑛太は、頭を抱えながら小さく首を横に振る。話しかけるのを制するような仕草に、芹奈は口を閉じた。

会話のない、静かな数十秒。エアコンから出る小さな機械音がやたらと耳に響き、しんとした空気が心細さを際立たせた。芹奈は、たまらない気持ちとなって話を自ら切り出した。

「なんか、言って…?」

第12話の続きはこちら

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