盛りラブ Vol.8

月50万のお小遣いとハリーウィンストンの結婚指輪。なのに専業主婦の女が不幸に感じるワケ

「相手にとって完璧な人」でありたい—。

恋をすると、本当の姿をつい隠してしまうことはありませんか。

もっと好かれようとして、自分のスペックを盛ったことはありませんか。

これは、恋するあまり理想の恋人を演じてしまう“背伸び恋愛”の物語。

◆これまでのあらすじ

東京に暮らすズボラ女子・芹奈と、伊勢志摩でワーケーション中の自信のない男・瑛太。ついにカップルとなった2人は、初デートの翌日昼過ぎまで一緒に過ごす。そして、名残惜しくも品川駅で手を振り別れたが…。

▶前回:「正直、疲れたな…」最高のデートの翌日に女が思ったある本音とは


芹奈の後ろ姿を見送り、瑛太は寂しさいっぱいのまま改札前から動き出した。

そのとき、突然背後から声がした。

「あの、すみません」

品川駅のコンコースを歩いていた彼は、歩みを止める。声の方を振り返って見ると、そこには女性が立っていた。

胸のあたりにまで伸びる艶やかな黒髪を持つ女性は、困ったような表情で瑛太を見上げていた。

「はい。どうされましたか?」

道に迷ったのかなと思った瑛太は、歩み寄りながら尋ねた。すると女性は、小さな声でささやくようにこう言ったのだった。

「…瑛太さんでしょ?」

「…は、はい」

知らない人だと思っていたのに突然名前を呼ばれ、驚いた。

会ったことのある人だろうかと女性の顔をじっと見るが、まったく記憶にない。混乱しながら固まっていると、女性から笑いかけられた。

「ふふ…ごめんなさいね。私、芹奈さんとお友達なの。園田美羽といいます」

ペコリと頭を下げる美羽。

瑛太は「ああ」と言って笑顔をつくった。

「私ね、先月芹奈さんとお料理教室で一緒になって。そこから仲良くなってお茶もして」

美羽はひとりで話し始めた。そして、嬉しそうな様子でこんなことを言うのだった。

「それでね、知ってます?あの子、実は、料理が得意なんて嘘なのよ」

「…え?なんの話ですか?」

「本当の芹奈さんを知ったら、瑛太さん、芹奈さんのことどう思うかしら」

美羽は、なぜか顔をほころばせながら話すのだった。

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