あのコはやめて Vol.10

「お前ら何してるんだよ」美女と2人きりの深夜の寝室で、男の前に現れた人物とは…

新たな裏の顔


咲良の婚約お祝い会は、恵比寿のダイニングレストラン『ラグシス』で行われた。

参加したのは15人ほど。中高の同級生・ツグミさんが幹事となり、会社の同僚や大学時代の友人にSNSで声をかけて集めたという。

「彼が、奥久保誠さん。超大手企業のエンジニアよ」

「はじめまして。今後ともよろしくお願いします」

咲良は誠を自慢げに紹介したのち、久々に会うという大学時代の同級生がいるテーブルへすぐに移動した。

「え?ちょっと…」

知らない女性たちのなか、置いてけぼりにされた誠。何を話したらいいか見当もつかない。

「今日は、一段と寒い日ですね」

目の前にいた中高の同級生とおぼしき女性たちに、とりあえず天気の話題を振る。その言葉を聞いた途端、彼女たちは一斉に笑い出した。

「咲良がSNSで書いてた通りだ。誠さん、かわいい人ですね」

「そうそう。不器用だけど、いい旦那さんになれそうって」


引っかかる部分はあったが、悪い印象ではないことに誠は安堵する。聞けば、Instagramで誠のノロケ話をよく書いているのだという。

― 咲良さん、インスタやってるんだ…。

そういえば、以前代官山のレストランに行ったときや、手作りの夕食を作ってくれたとき、スマホで写真を何枚も撮影していた。イマドキの女性なら当然だろう。

そんな会話の糸口もあり、誠は彼女たちと会話を弾ませることに成功した。思えばこれだけの女性に囲まれているのは生まれて初めてかもしれない。

― いいコたちだし、咲良にはこれだけ人が集まる魅力があるんだから、あんなひどいことするわけないよな…。

誠は自分に言い聞かせる。目の前の女性たちは当時のことを知る当事者だ。自分が信じたいことを確かめる絶好の機会を逃すまいと、誠は真紀の件を口に出してみた。

「咲良と同じ学校にさ、中学1年のときにいた杉田真紀さんって覚えているかな?」

「え…」

シン、とその場が一瞬沈黙した。その戦慄した空気に、誠は嫌な予感を抱く。

「…彼女、僕の親友の恋人なんだ。結婚式にも招待する予定で」

理由を説明すると、幹事のツグミが不安げに口を開いた。

「本当に、来るんですか?」

誠が頷くと、別の1人が隣の女性に耳打ちする。その内容は小声を意識しているようだが、うっすら誠の耳にも入ってきてしまう。

(復讐するとか?)

(いや、結婚式に来るなら、もう忘れてるんじゃない?)

(咲良が言ってたけど、今売れない音楽家なんだって)

どこか悪意を帯びた口調。どうやら、“信じたくない方”が真実なのかもしれないという不安が胸の中を侵食する。

「ちょっと、お手洗い行ってきます」

誠は席を立ち、場を離れて頭を冷やすことにした。

― 咲良のなかでは、なかったことになっているってことか…?嘘、だろ…。

本当であっても、所詮過去のこと。こうやって割り切ろうと思う反面、自分も過去に受けた真紀と同様の傷がいまだ癒えていない分、収拾がつかない。

ふと気になって、スマホを取り出した。

贔屓の野球選手をフォローするため登録したInstagramを開き、位置情報で今いる店の投稿を見る。

すると、最新の投稿に咲良の写真が掲載されていた。恐る恐る、誘われるようにそのアカウントを開いてみる。

誠は、その内容にさらに驚愕したのだった。


▶前回:婚約者の実家で目にした「ありえないモノ」とは?次々と暴かれる“自称お嬢様”の驚きの過去

▶Next:9月29日 水曜更新予定
咲良のInstagramに書かれていた、衝撃の内容とは…?

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