あのコはやめて Vol.10

「お前ら何してるんだよ」美女と2人きりの深夜の寝室で、男の前に現れた人物とは…

寝室の入り口に立っていたのは、圭一だった。

婚約までしている恋人同士だ。突然訪ねてきてもおかしくはない。

「お前ら、なにしてるんだよ…」

ベッドで寄り添う誠と真紀の姿に、彼は冷たい視線を向ける。感情がすべて死んだような、そんな目の色だった。

「いや、違う。そうじゃないんだ」

「大丈夫。あとは、俺達だけで話すから」

圭一は廊下に置いてあった誠の荷物を勢いよく突き返し、玄関へと促した。真紀はただただ、おろおろしている。

「でも…」

カン違いされても仕方ない状況なのは当然だ。誠は言い訳をしようとするが、何から言っていいのか迷った。

「いいから、帰れよ」

これ以上、自分がいても話がこじれるだろう。真紀のフォローを信じながら、素直に退散するしかなかった。

2020年2月


それから1週間。彼らからは何の音沙汰もない。

その空白期間は――

不思議とあの出来事が、証言が、幻と感じる錯覚をもたらしてしまう。


その日の誠は、咲良と休日恒例の結婚式場巡りに赴いていた。

「どうしたの?浮かない顔して」

恵比寿にあるラグジュアリーホテルのラウンジ。心配そうに顔を覗き込む咲良の顔は女神のように優しい。

「もしかして、金額に怯えている、とか?」

「そんなことないよ。ちょっと気......


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