盛りラブ Vol.3

モテるのに彼女いない歴5年。29歳ハイスペ男が女にいつも逃げられる理由とは

瑛太はため息をつきながら、過去の出来事を思い返す。

高校生の頃に身長がグンと伸びてから、瑛太は女の子からちやほやされるようになった。大学時代も、独立前にコンサルファームで働いていたときも、女性からの誘いは絶えなかった。

でも、いざデートをすると必ずと言っていいほど、すぐに女の子の方から離れていってしまうのだ。

瑛太はこのことについて、数年前、蒼一郎に相談をしたことがある。

すると、蒼一郎はガハハと笑いながらこう言ったのだ。

「お前さ、ちゃんとデートプランとか考えてる?行き当たりばったりなんだろう。それじゃモテないよ。お前がリードするんだよ」

図星だった。わかってはいるが、瑛太にはそれができない。

瑛太は、お店選びやデートコースを決める段取りが、大の苦手なのだ。

相手を喜ばせたい一心でリサーチはするが、何をしたらいいのか分からなすぎて、結局流れに任せたデートになってしまう。

― きっと芹奈さんとのデートでも、また俺は空回りして、スマートなエスコートなんてできないんだろうな…。

途方に暮れかけたとき、芹奈からの返信が来た。

「やった!瑛太さんなら、素敵なお店いっぱい知ってそう!」

瑛太の肩にズドンとのしかかるプレッシャー。瑛太は力なく「考えておくよ」と返信した。

本音では、芹奈にこう送りたかった。

『俺、自信ないからさ。芹奈ちゃんが全部決めていいよ』

…こういうことを言うと、たいてい女の子は怒る。瑛太は過去の経験からそう学んでいた。

LINEをよく見ると、蒼一郎からも連絡が来ていた。

「おい瑛太。どうよ?」

女性の写真に、返事をしていなかったのだ。瑛太は急いで返信した。

「ごめん。実は今、気になってる子がいるんだ。紹介してくれてありがとう」

「そうなのか!水臭いな、早く言えよ!応援してる」

蒼一郎は、面倒見がいい。そして、瑛太は思う。

女の子を手際よくエスコートできない自分の性格は、蒼一郎のような兄を持った結果かもしれないと。蒼一郎がしっかりしすぎているから、いつも甘えてしまって“リードされる側”の弟気質になったという自覚があるのだ。

その弟気質は、兄以外に対しても発揮される。実際、親友の男友達は皆、しっかりした蒼一郎タイプの人間なのだ。

瑛太は、本当は女の子にもこう思っている。

― 全部リードしてほしいな…。ひたすらに甘えさせてほしい…。


頭に浮かんだ本音をかき消すように首を振って、瑛太は外の空気を吸いに行く。バルコニーは少し涼しくなっていて、夕陽が綺麗だった。

― 素晴らしい景色…。でも、ずっとここに籠るわけにもいかないな…。

瑛太は、12月に迫った自分の30歳の誕生日のことをふと思った。そろそろ相手を見......


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