2021.08.20
盛りラブ Vol.1アイコンの画像は、東京タワーが映った夕焼けの写真。プロフィールには『瑛太』という名前と、個人事業主でコンサルをしていることが書かれていた。
投稿数は少なかったが、1枚だけ顔がはっきりとわかる写真を見つけたのだ。
― え、とってもかっこいい!
奥二重の優しそうな目に、すうっと通る鼻筋。黒のスキニーパンツに白いTシャツというシンプルな服を着こなすスタイルの良さ。
フィードをさらにさかのぼると、ある短い動画が目に入った。それは、野外のバスケットコートで、ウェアに身を包んだ彼がドリブルシュートを決める動画だ。
その短い動画を、何回も繰り返し見てしまった。偶然にも芹奈は高校時代から、バスケ観戦が趣味なのだ。
…というより、バスケをしている男子選手に目がないというのが正しいかもしれない。ゆったりとしたウェアを着て、ドリブルの素早い動きやシュートのときに伸びる身体。そのすべてに色気を感じるのだ。
― なんて素敵な人なんだろう!
動画をよく見るとコメントが付いていた。
『瀬谷、相変わらずバスケ上手いな!』
そのコメントのおかげで彼の苗字が『瀬谷』だとわかった芹奈は、早速Facebookで『瀬谷瑛太』を検索した。
そこでわかったことは、彼は現在29歳。そして、中学のとき慶應普通部に入学し大学まで進学した慶應生だということだ。早稲田大学を出ている芹奈は、学歴が似ているところに親近感を感じた。
― 2歳上か。外見はもちろんタイプだし性格も真面目そう。なんて理想的な男性なの!
芹奈はベッドから身体を起こし、プロフィールの下にある『メッセージ』ボタンを押した。
― こんなにかっこいい人、スルーできないもん…。
『夜分に突然すみません。仕事でワーケーションについて調べていたら素敵なアカウント見つけて、メッセージしちゃいました。私はお菓子の会社に勤めている芹奈といいます。怪しく思われて当然ですけど、瑛太さんがカッコよすぎてスルーできなかったんです』
見ず知らずの彼のもとへ、芹奈のメッセージは飛んでいったのだ。
「20代のうちに、絶対結婚する」
学生の頃から芹奈はそう言っていたが、やがて27歳になり、内心では結婚なんて無謀だと感じるようになっていた。
彼氏は問題なくできるのだが、これまでの交際期間の最長記録がなんと3ヶ月なのだ。
芹奈は実際、よくモテる。
白い肌に、美人とも可愛いとも表現できる整った顔立ち。人の話によく笑い、人なつっこいところがモテる理由だろう。
だから、少しでも自分の理想に近い人から言い寄られてしまうと、相手に可能性を感じて付き合ってしまうのだ。けれども、結局相手を好きにならないので、数ヶ月で破局してしまうパターンばかり繰り返していた。
友達からは「芹奈は、理想が細かすぎ。全部満たす人なんて滅多にいないから」と、いつも言われてしまう。
正直、自覚はある。理想の相手の条件が細かく決まりすぎていて、本当にこの人だと思える人が見つからないのだ。
でも、今、ようやく現れた。
『瑛太』は、芹奈の理想を満たしている。
― もし既婚者だったり彼女がいたりしたら、謝って身を引こう。メッセージが返ってこないこともあると思う。でも、もし返信があってフリーなら、絶対に彼を手に入れる!
メッセージを送ってから4日後、彼から返信が来たのだ。
【盛りラブ】の記事一覧
2021.11.12
Vol.14
「自分を偽るのは、もうやめた」ズボラな29歳女が素をさらけ出すと、彼の態度が急変し…
2021.11.11
Vol.13
リモートで出会った2人は、同棲から次のステップへ…「盛りラブ」全話総集編
2021.11.05
Vol.12
「君とのデートが、つらいんだ」彼氏に言われた衝撃の一言。女が驚愕したその理由とは
2021.10.29
Vol.11
「本当は家事なんて得意じゃない」同棲中の彼女の切実な告白。男の反応は意外にも…
2021.10.22
Vol.10
息がつまる同棲生活で彼氏が出張へ。ズボラ全開で過ごす女の前に訪れた意外な人物とは?
2021.10.15
Vol.9
「2週間でもう無理…」付き合ってすぐ同棲したカップルのリアルな悩みとは
2021.10.08
Vol.8
月50万のお小遣いとハリーウィンストンの結婚指輪。なのに専業主婦の女が不幸に感じるワケ
2021.10.01
Vol.7
「正直、疲れたな…」最高のデートの翌日に女が思ったある本音とは
2021.09.24
Vol.6
「絶対に失敗できない!」勝負デートの前日に、男がコッソリ仕込んだ“完璧な計画”とは?
2021.09.17
Vol.5
待望のイケメンと初デート!完璧なプランに女が失望した“ひとつの理由”とは
おすすめ記事
2019.02.09
Who?
隠していたトラウマを突かれ、女の甘言に堕ちた男。こうして夢見た青年は、地獄の扉をノックする
- PR
2025.03.31
結婚1年目から、激務のせいでギスギス…。崩壊寸前のパワーカップルを救ったアイテムとは?
2018.12.07
幸せな2人
年収1,000万じゃ足りない。「金より愛」で結婚したはずが、子供が生まれて"負け組"に降格した女
2021.11.18
抱かれた夜、抱かれなかった夜
抱かれた夜、抱かれなかった夜:27歳OLが、付き合う前の男の部屋で「一夜を明かす」と決めたワケ
- PR
2025.03.31
えっ、あの“ミャクミャク”の部屋に泊まれる!?どっぷり万博に浸れる、いまだけのホテルステイとは…
2019.04.06
ブラックタワー
ブラックタワー:「あの人が最上階に…?」憧れのタワマン暮らしに浮かれる妻が、誰にも言えない秘密
2017.08.09
にゃんにゃんOL物語
にゃんにゃんOL物語:年収460万のOLは、年収1,000万以上の男性に見向きもされない
2017.04.11
港区内格差
港区内格差:“港区特権階級”に属す一握りの男。そこに群がる女たちと、うごめく欲望
2020.09.21
報道ガールの恋愛事件簿
彼を受け入れる準備は出来ていたのに…。25歳の女が3回目のデートで男からされた、衝撃の告白
2017.01.17
マリエ・ストーリーズ
唯一の楽しみは、元恋人のインスタ・ストーリーズ。今日もあの丸いアイコンを、クリックするだけ。
東京カレンダーショッピング
ロングヒット記事
2025.03.19
運命なんて、今さら
初めて彼のマンションを訪れた28歳女。しかし、滞在10分で、突然「帰りたい」と思った理由
2025.03.22
男と女の答えあわせ【Q】
「豊洲に住んでいる」と33歳男が言った途端に、デート相手の女が戸惑ったワケ
2025.03.23
男と女の答えあわせ【A】
「年収800万くらいでもいいかな…」相手に求める条件を妥協したつもりの30歳女の大誤算
2025.03.17
1LDKの彼方
「何もないって言われたけど…」彼氏が他の女と連絡を取っていたことが発覚。30歳女は思わず…
2025.03.20
TOUGH COOKIES
「幸せそうな彼女がなぜ?」SNSで悪質コメントの犯人を突き止めたら、意外な人で…
この記事へのコメント