2021.07.21
SPECIAL TALK Vol.82憧れのプロチームへ。立ちはだかったのは文化の壁
土井:膝が治ったのはいまだに奇跡だと思っていますが、膝の負担を減らすために、引退後も、周りの筋肉をずっと鍛えていたのがよかったのかなと。大学時代からずっとやっていたルーティンなので、やらないと気持ち悪くて続けていたというだけなんですけどね。
金丸:なるほど。「自分は運がない」とか「チャンスに恵まれない」とか言う人もいるけど、大抵の場合はそういったチャンスの数々を見過ごしていたり、準備不足でものにできなかったり、ということが多い。でも土井さんの場合は、意識していたわけじゃないけれど準備はできていた、というわけですね。
土井:膝が治ったタイミングもよかったんだと思います。若手育成チームで活躍できたのは、治った喜びがあったからこそ。もしプロになることを目標にしていたら、プレッシャーのせいでダメだったかもしれません。
金丸:仕事でも、どんなに苦しくても楽しんでやらないと、良い結果は生まれません。私も苦しくて、眠れないくらいのプレッシャーを感じた経験が何度もありました。そんなときは「こんなにプレッシャーを感じているのは、俺だけじゃないか?それってすごいことじゃないか」と頭を切り替えて、寝るようにしてましたね(笑)。
土井:成功する人とか尊敬を集める人って、その切り替えができるんですよね。同じ結果を前にしても、捉え方次第で自分のためになるか、ならないかが全部変わってくる。僕自身、フランスでそれを経験しました。実はプロ契約をしたあと、初めてハンドボールを楽しくないと感じたんです。
金丸:えっ!?こんなにハンドボールを愛している土井さんが。
土井:チームメンバーに仲間として受け入れてもらえなかったんです。CSHはフランスのなかでも、強いだけではなく、由緒正しいチームです。そこにレベルの低い日本から来たアジア人、つまり僕が加わったことで、「CSHのイメージが傷つけられた」と感じたようで。
金丸:でも、土井さんも半分はフランス人の血でしょう。
土井:関係ないです。他民族に対する蔑称って、どこの国にもあるじゃないですか。毎日のように、そういう最低ランクの呼ばれ方をして。高校・大学と厳しい上下関係のなかでプレーしてきた経験から、そんな扱いもへらへらして受け入れてしまった。それがさらによくなかったようで。
金丸:「こいつ、プライドもないのか」と思われてしまった?
土井:まさに。自分に誇りを持っていなければ、対等な人間として見てもらえません。ましてやチームメイトとしてリスペクトされることなんてありえない。フランスはそういう国でした。
金丸:仕事の交渉でフランスに行ったとき、当時の上司から「相手に何を言われても、最初は『ノー』と答えろ」と言われました。「イエス」と言ったら何でも言うことを聞くと思われて、どんどんとんでもない条件になっていくと。しかし、そんな最悪の状況をどうやって打破したんですか?
土井:強制的に頭を切り替えました。「この状況から逃れられないんだったら、この状況も楽しめばいいじゃないか」と。冬の2週間の休みの間、ひたすらメンタルトレーニングに励み、「何を言われても、楽しく、逆にカウンターを食らわせてやろう」、そして「もっと自分を出そう」と決めました。レベルの高いチームなので、活躍の機会は限られます。いきなりすべてが好転したというわけじゃないけど、それでも自分を鍛え直したことで、つぶれることなく続けることができました。
金丸:土井さんは自ら考えて行動を起こし、しかも軌道修正ができる。それって、なかなか得難い能力ですよ。
土井:両親のおかげです。たとえば初めてスケートに連れていってもらったとき、母に「滑り方を教えて」と言っても、直接教えてはくれませでした。「あの人がうまいから、あの人のあとをついていきなさい」って。
金丸:ご両親は経歴だけじゃなくて、教育方針もユニークですね(笑)。
土井:最初はうまくいかないけど、ずっと観察しているうちに滑れるようになって。そんなふうに「何でできないんだろう」「どうしたらうまくいくんだろう」と自分で考え、観察し、チャレンジする力を幼い頃から鍛えられていたようです。
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