2021.07.15
柳 忠之のこの12本におまかせ Vol.8おうちで思う存分お酒を嗜む時間は、自分へのご褒美タイム。
ちょっと贅沢をしても、最高の美酒を片手に至福のひと時を過ごしたい。
「おうち飲みを格上げしてくれる、極上のワインが飲みたい!」
そんなあなたに、プロが選ぶ究極の1本をご紹介!
日本に最初に渡来した、連載未登場の大事な国
――柳さん、私、気がついたんですけど。
柳「えっ、クラリン(編集担当の嵩倉)、なになに?」
――柳さんのワイン連載って長いこと続いてますが、一度も登場したことのない国がありました。
柳「うそ!アルメニアやウルグアイみたいにニッチなワイン生産国ならともかく、主要な国はすべて登場してると思うけど?」
――それが、とんでもない国をお忘れです。あのフランシスコ・ザビエルが日本に初めて持ち込んだ……。
柳「ポルトガル!」
――です。
柳「あちゃ〜、そりゃまた大事な国を忘れてたね。じつは、長いキャリアの中でなかなか訪れる機会の来なかった国がポルトガル。2年前にようやく行けたよ。」
――いいな〜。ポルトガルも世界遺産がいろいろありますよね。コア渓谷とシエガ・ベルデの先史時代岩絵遺跡群とか。
柳「さすが世界遺産好きのクラリン。じつは、ポルト歴史地区にアルト・ドウロ、それにマデイラ島など、ポルトガルにはワインと繋がりの深い世界遺産がいろいろあるね。
ピコ島というアクセス難度の高い世界遺産もワイン産地だし。」
緑色じゃない緑のワイン、ヴィーニョ・ヴェルデに注目
――ですよね~。それで柳さんが行かれたのは?
柳「北西部のミーニョ地方。」
――ポルトガル初代国王アフォンソ1世が生まれたギマランイスですね!ポルトガル発祥の地とも呼ばれている世界遺産のあるところです。それでワインは?
柳「有名なのは、ヴィーニョ・ヴェルデ。直訳すると「緑のワイン」だけど、メロンソーダのようにグリーンなわけじゃないよ。
うっすら緑がかってるからとか、若いうちに飲むからとも言われてたけど、じつは草木の生い茂る緑豊かな土地で造られているワインだから。」
――へ〜、美しい景色が思い浮かびますね。どんなワインなんですか?
柳「ごく一般的なのは、軽やかな微発泡の白ワイン。それも真夏にゴクゴク飲むにはいいけれど、僕が感動したのは、北部モンサォン・メルガッソのアルヴァリーニョだね。」
――アルビァ……え、何ですかそれ?
柳「ブドウ品種名。ミーニョ川を挟んだ向こう岸のスペインでも栽培されていて、あちらは綴りがちょっと違う。どちらも「うちが原産地」と言って譲らない。
ピーチや柑橘類など香りが華やかで、フレッシュな酸味をもつワインができるね。
なかでも、「ソアリェイロ」はポルトガルにおけるアルヴァリーニョのパイオニアで、素晴らしいワインを造ってる。」
「Soalheiro 2019(ソアリェイロ 2019)」
ポルトガル生まれのこちらは、肉厚なボディが特徴。ただし、小気味良い酸とミネラル感がちょうど良く、今夏の常備酒にしたい一本。
2,860円/木下インターナショナル TEL:03-3553-0721
ヴィーニョ・ヴェルデにおけるアルヴァリーニョの「ソアリェイロ」を手掛けるマリアさん。創業者の娘にあたる人物だ。
女性の作り手だからこそ、繊細なバランスが生み出されている。
天ぷらの脂をさらりと流す、程よい酸味がちょうどいい!
――料理は何と合わせたら?
柳「それはやっぱり、天ぷらだね。天ぷらは、そもそもポルトガルから伝わったものだというから、相性抜群だよ。」
――ポルトガルワインって面白そう。柳さん、今度はピコ島のワインを紹介してください!
柳「まだ世界遺産にこだわる?」
編集部員・嵩倉が飲んでみた!
スマートなのはボトルの形だけじゃない!キリッとドライな喉越しで、とにかくシャープな飲み心地。
これからやってくるであろう熱帯夜のおうち飲みに、ストックしておこうかしら。
◆
▶このほか:ビールはグラスで美味しさが変わる!自宅飲みを最高の一杯にするビアグラス厳選20!
教えてくれたのは
ワインジャーナリスト 柳 忠之氏
世界中のワイン産地を東奔西走する、フリーのワインジャーナリスト。迷えるビギナーの質問に、親身になって答えるワインの達人。
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