東京戦略時代 Vol.2

「あの子、俺のこと多分好きだな」社内評価の高い男が、恋心まで利用する理由

職場は、戦場だ。

出世争い、泥沼不倫、女同士の戦い…。

繰り広げられる日常は、嘘や打算にまみれているかもしれない。

そんな戦場でしたたかに生きる「デキる人」たち。

彼らが強い理由は、十人十色の“勝ち残り戦略”だった。

大手IT会社に勤務する25歳の花山 樹里は、そんな上司・同僚・後輩と関わりながら、それぞれの戦略を学んでいく…。

▶前回:オンライン会議のカメラの前で…。異例の出世を遂げた魔性の女の”武器”とは


「お、花山ちゃん久しぶり、おはよう」

月曜日の朝。

駅からオフィスに向かう途中、ポンっと肩を叩かれ振り返ると、右手を小さく挙げながら木下が爽やかに微笑んでいた。

木下は、営業部のエースと囁かれる男。社内の女性たちの中にも、木下ファンは少なくない。

「…あっ、木下さん、お久しぶりです」

樹里は、紗栄子のアドバイスを気にしてゆるく巻いた髪を、ぎこちなく触る。

ー数ヶ月ぶりだからか、余計ドキドキしちゃう…。

これまではほぼ在宅勤務だったが徐々にオフィスに出社する日も増えてきており、今日は一週間ぶりの出社。

先いくね、と樹里の目の前を小走りで通っていく木下の姿を、上から下までじっと観察する。

ーシワひとつないピシっとしたスーツ。独身だとは聞いてるけど、やっぱ同棲してる彼女とかいるのかな…。

樹里は、嫉妬に似た感情がフツフツと自分の中で湧き出てくるのを感じ、ハッと身震いをした。

「やだ、私、どうしちゃったんだろ」

思いがけない感情に翻弄されそうになった樹里は、オフィス近くのカフェでテイクアウト用のホットコーヒーをオーダーしながら思い出す。

「そういえば木下さんと会うの、“あの時”以来だ…」

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