モラトリアムの女たち Vol.7

娘を実家に預け、男と会っていたことがバレた妻。言い訳する女に夫がかけた言葉とは

何不自由ない生活なのに、なぜか満たされない。

湾岸エリアのタワマンで、優しい夫とかわいらしい娘に囲まれ、専業主婦として生きる女。

―あのときキャリアを捨てたのは、間違いだった?

“ママ”として生きることを決意したはずの“元・バリキャリ女”は、迷い、何を選択する?

◆これまでのあらすじ

専業主婦として育児に専念する、元バリキャリ女子の未希。

前職の同期・梶谷に復職を懇願されるが、未希にはそれができない因縁があった。そんな中、未希と彼がホテルで会っていたことを、夫の前で暴露されてしまい…?

▶前回:「男とホテルにいたでしょ」夫の前で暴露してきたママ友。狼狽える女に、夫の反応は…?


「違うの、あれは…」

華子が夫の前で突然暴露した、ホテルでの目撃談。やましいことはなく内緒にもしていなかったが、このような形で夫の耳に入るとなると、やはり焦る。

家の玄関に入るなり、未希は慎吾に慌てて言い訳をし始めた。

「『違うの』から言い訳されると、僕、本当に誤解しちゃうよ」

慎吾はあっけらかんと笑った。

「梶谷君に表彰盾をもらいに行った時だろ。盾の入っていた袋の中に、彼の名前でお礼状が入ってたから知ってるよ」

過去に慎吾は、梶谷と面識があった。未希と3人で食事をしたことがあるのだ。疑いのないその笑顔には、慎吾の未希に対する信頼があふれ出ていた。

「お礼状、見てなかった…」

「復帰を待望しているって書いてあったけど」

その言葉に未希は苦笑いをする。

慎吾は、未希の退社の理由が梶谷であることも、確執のことも知らない。やましいことはないがその点は後ろめたかった。

「あのママさんも、悪気があって言ったわけじゃないと思うな。というより『仕事の打ち合わせ帰り』って言いたかっただけじゃない?」

未希はそれを聞いて、思い切り吹き出してしまう。自分も人のことを言えないが、彼の下衆の勘繰りぶりは、心なしか爽快感をおぼえるのだった。

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