2020.09.09
コンパス〜28歳、人生の羅針盤〜 Vol.10誰にだって、人生の中で選択を迫られる瞬間があるだろう。そんなとき、何を軸にして進むべき道を選ぶ?
登場するのは、一見輝かしい人生を送る28歳の女たち。だけどどんなに完璧な女性だって、苦悩を抱えている。
そして彼女たちには、迷ったときの道しるべとする「人生の羅針盤(コンパス)」があったー。
心に闇を抱えた女たちは、どんなコンパスを頼りに、逞しくしたたかに生き延びるのか。
「コンパス〜28歳、人生の羅針盤〜」一挙に全話おさらい!
第1話:年収1,300万の美女が、交際中の男を捨てた残酷な理由
ランチを終えた愛莉がデスクに戻ると、スマホに2件同時にメッセージが入った。
『愛莉、明日の夜、会わない?』
『明日の夜、私の写真の個展を開くことになったから、よかったらきてね!』
1件目は、約1年交際中の同い年の彼氏・京介からのメッセージ。2件目は、フォトグラファーをする、同級生の女友達からのメッセージ。貴重な金曜日の夜、同じ時間帯。だけど、身体はひとつ。
ーどちらかにしか行けないな…。
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第2話:「まだ若いのにもったいない…」23歳で結婚し、地方で暮らす妻。果たして正解だったのか?
「すみれは順調に“ママ”やってる?」
「初めての子育て、わからないことだらけ。最近の専らの悩みは、娘を2年と3年保育どちらにするかね」
「うーん、すみれが悩んだときの答えは…。“あの人”が知ってるんじゃない?」
愛莉がいたずらっぽくにやりと笑い、こちらを見る。
「すみれが新潟行きを決めた理由も、確か“あの人”だったよね…」
人生の岐路に立たされた時、いつも頭をよぎる人物。すみれは、4年前の出来事を思い返した。
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第3話:夫は決して知らない…。アメリカで夢の生活を送る28歳妻が、結婚を決めた本当の理由
3歳年上の、アメリカ人。大学院生をしながら、知り合いが立ち上げた会社でも働いているという。
それから二人は、すぐに交際を始めた。1年という期限があることもわかっていたから、リサは留学期間中、学校での授業以外はほぼスティーブと一緒に過ごしていた。
「私、卒業したらすぐに、アメリカに戻ってくるわ」
そう約束してから数年後、リサは渡米し、めでたく結婚したのだ。
—ふふ。でも、あの出来事がなければ危うく私、スティーブを手放すところだったわ…。
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第4話:「利用されてるだけでしょ」周囲からの嫉妬に振り回される女の、人知れない悩みとは
『令子さんはデザイナーの才能もあるんですね』
『美人な上にイラストも描けるとか、憧れ!』
顔も知らないフォロワーたちからの、いつも通りの賞賛のコメント。
だが、令子の胸に何とも言えない満足感が込み上げてきたその時、賞賛のコメントに混じって1通のダイレクトメールが届いたのが目に入る。
そして、そのメッセージが目に入った途端…。令子の心は、鋭いものでサッと切りつけられたようなショックを受けたのだった。
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第5話:お寺に嫁いで4年。義両親との同居、後継ぎ問題。それでも「幸せ」な女の意外なワケは?
ミユが義母の用事を手短に済ませてオンライン通話に戻ると、令子はなにやら微笑んでいる。「どうしたの?」とミユが問いかけると、令子は感心した様子で言った。
「ミユ。すっかり廉くんの家の”お嫁さん”ね。廉くんと結婚するかどうかって、頭抱えて悩んでた頃が懐かしいよ」
「ね。当時、廉との結婚は誰も応援してくれなかったわ。まあ、こんなにたくさんの”条件”があるんだもの、それも仕方ないか…」
からかうような令子の言葉に返しながら、ミユは当時のことを思い出すのだった。
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第6話:365日予定あり。”出会いマニア”の女が、食事会で遭遇した最悪の出会い
ーそうよ、明日は期待大のお食事会…!
フットワーク軽くありとあらゆる出会いの場に顔を出してきた亜美のLINEの友達は、総数1,000人を超える。
その人の特徴をLINEの名前に入れておかなければ、どこの誰だかわからなくなってしまうから、男性の名前には必ずその人の“特徴”を書いて保存するようにしているのだ。
-明日は外銀の人たちとお食事会、明後日は最近いい感じの弁護士とデート。明々後日は経営者とのお食事会。
ギッシリ埋まったスケジュール帳を眺めながら、亜美は満足げに頷いた。
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第7話:「恋人じゃない人と、結婚するの」28歳社長令嬢が、結婚相手に求めた条件は
『キョウコ:ごめん、私結婚することになったから』
すぐに既読になったかと思うと、亜美から送られてきたのは驚いたような大量のスタンプだ。
『亜美:え、キョウコって、彼氏いたの!?』
目を白黒させて驚く亜美の顔が目に浮かび、思わずフッと笑みをこぼす。そして、タクシーの窓から空を見上げながら、キョウコは心の中で返事をした。
ー結婚は、する。でも。彼氏はいないわよ…。
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第8話:「自分のヤバい状態に気付いてないの?」28歳女が突然突きつけられたセリフの意味は?
「でも正直、キョウコの結婚の話聞いた時、またか〜って思ったわ。人のお祝いしてばっかりよ」
「なによ、春香だって光司くんと夫婦みたいなもんじゃない。同棲4年目だっけ?」
キョウコはシャネルのカウンターでリップを一つずつじっくりと眺めながら、からかうように春香に笑いかける。
「”恋人”も“夫婦”を通り越して、もう“老夫婦”みたいなもんよ…」
春香が冗談めいた返事をすると、「こっちの色がいいかなぁ」と呑気に494番を手に取っていたキョウコが、アッと何かを思いついたように振り返った。
第8話の続きはこちら
第9話:「好き勝手するなら、離婚してからにしろ」支配的な結婚生活を迫る夫に、妻が出した答え
昔から自由奔放で浮いた話も多かった自分のことだ。冷静で優等生タイプだった春香がそんな予想をするのも無理はない。
しかし、今回の離婚話は、男女関係とは全く関係のないことなのだ。
みさきは指先でアイスコーヒーの氷をクルリと回すと、呟くように言う。
「違うよ。夫のことは今でも好き…だと思う。でも、私ね…」
第9話の続きはこちら
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