コンパス〜28歳、人生の羅針盤〜 Vol.4

「利用されてるだけでしょ」周囲からの嫉妬に振り回される女の、人知れない悩みとは

誰にだって、人生の中で選択を迫られる瞬間があるだろう。そんなとき、何を軸にして進むべき道を選ぶ?

登場するのは、一見輝かしい人生を送る28歳の女たち。

彼女たちには、迷ったときの道しるべとする「人生の羅針盤(コンパス)」があったー。

心に闇を抱えた女たちは、どんなコンパスを頼りに、逞しくしたたかに生き延びるのか。

会社員をしながらデザイナーや読者モデルの仕事をする28歳・辻 令子のストーリー。インスタのフォロワー数は約10万人。常にキラキラしているように見える彼女だが…。

▶前回:アメリカでの「夢の結婚生活」。女がしつこくSNSに投稿するそのワケは?


店中に満ち溢れるコーヒーの香りが、気持ちを高揚させる。

土曜日のお昼すぎ。令子は表参道に新しくオープンしたカフェの中で華やかな壁紙の前に立ち、満足げに小さく何度もうなずいていた。

「令子、インスタ用の写真撮ろうか?載せるんだろ?」

そう令子に声をかけて来たのは、このカフェのオーナーである男友達だ。令子が趣味でイラストを描いていることを知り、カフェのメニューや壁紙のデザインを依頼してきてくれた。

「うん、撮って撮って!」

令子が無邪気に壁紙の前でポーズをとると、男友達は大げさなほどの褒め言葉を発しながら、何枚も写真を連写してくれる。

「令子はさ、ほんとに綺麗だからどの角度から撮っても最強だわ」
「またまた。そんな褒めても何も出てこないよ?あ、でも、このカフェの宣伝はしておくね」
「さすがインフルエンサー。よろしくな!」

そんな軽口をかわしながら撮影した写真の1枚を、令子はさっそくInstagramに投稿する。

自分でも予測はしていたことだが、投稿したすぐそばから10件、20件、30件と、みるみるうちに”いいね”が寄せられて来る。

『令子さんはデザイナーの才能もあるんですね』
『美人な上にイラストも描けるとか、憧れ!』

顔も知らないフォロワーたちからの、いつも通りの賞賛のコメント。
だが、令子の胸に何とも言えない満足感が込み上げてきたその時、賞賛のコメントに混じって1通のダイレクトメールが届いたのが目に入る。

そして、そのメッセージが目に入った途端…。

令子の心は、鋭いものでサッと切りつけられたようなショックを受けたのだった。

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