僕のカノジョは6個上 Vol.1

僕のカノジョは6個上:年上女に心を奪われて…。平日昼間、29歳の男を驚かせた出来事

新たな出会い


「あ、ここも知らないぞ」

透は、今日何度目になるかわからない驚きの声を上げながら、ペットボトルの水で喉を潤す。

夏真っ盛りの“災害級”とまで言われた暑さもさすがにピークを過ぎたように感じるが、それでもまだまだ外出時には冷たい飲み物が必需品だ。

「へー。こんなところに店があったのか。今度入ってみようかな」

そんなことを呟きながら、透は目の前に現れた未知の建物を見上げた。

最近、こうして外に出ては自宅近くを探索している。

透が住んでいるのは、天王洲アイルだ。そもそもこのエリアを選んだのは、洗練された静かな街並みと、海が見える開放感に惹かれたからだった。

だが仕事に忙殺されていた透は、最寄り駅と自宅マンションを行き来し、決まりきったジョギングコースを走る程度で、近所とはいえのんびり景色を眺めるどころではなかったのだ。

しかしこの春からは、リモートワークを基本とする勤務形態に変わった。最初は部屋に篭って過ごすことが多かったが、リモートワークにも慣れてくると、近所を開拓したいという好奇心が湧いてくる。

実際に外に出て少し足をのばしてみると、この街は新しい発見ばかりだ。それに、“新たな出会い”も…。

−お、今日もいる。

仕事をしようとやってきたカフェで、透はぴたりと足を止めた。


飲み物と軽食をオーダーした透は、テーブルに座った。斜め向かいには、”彼女”が座っている。

横に座っては視線に気づかれる可能性がある。かと言って、背を向けては意味がない。そういった諸々の条件を考えると、このポジションがベストなのだ。

彼女は、今日はタブレットを眺めている。この間は、何やら外国語で書かれた本を読んでいたが、フランス語だろうか。

知的で、可憐さと瀟洒さを併せ持った彼女は、透がこれまで会ってきた女性とは何かが違った。

白い肌に大きな瞳、スッと通った鼻筋。顔だけ見れば、冷たい印象を与えるような美人だ。だが、小柄で華奢だからか、可愛らしさも感じさせる。

さらに、シンプルだが上品な装いと佇まいが、一朝一夕には身につかない品を感じさせるのだ。

そう。透が外で積極的に仕事をするようになった理由は、彼女だった。

まだ名前も知らないが、気になる人。リモートワークを始め、カフェに来るようになってから彼女の存在を知った。どういうわけか、初めて見た時から気になって仕方ない。

その人に会えるのがこのカフェであり、彼女がいる日中にここに来るのは、今の働き方ゆえできることなのだった。

とはいえ、何か行動を起こすつもりは毛頭ない。

ナンパのようなことをしても軽くあしらわれるだけだろうだし、今でこそ彼女はいないが、正直女性には困っていない。

だから仕事の合間にたまに彼女を見るだけで、それ以上の何かを欲していたわけではなかった。

だがある日、転機が訪れるのだ。

この記事へのコメント

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No Name
ちょっと、近くのカフェ行ってくる。
2020/09/05 05:3099+返信7件
No Name
最近6つ下の男性と知り合って今いい感じなので
タイムリーな話ですごくびっくりしました!!
こちらの二人も私も、うまく行けばいいなぁ☺️
2020/09/05 06:2699+返信6件
No Name
女性側がある程度年上だと、必要以上に気負ってしまうし、自分だけ勘違いしてたら恥ずかしさ倍増だから、明らかに自分が年上なら「おばさん」って言ってしまう気持ちわかります。
2020/09/05 05:4896
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