「恋愛では、男が女をリードするべきだ」。そんな考えを抱く人は、男女問わず多いだろう。
外資系コンサルティング会社勤務のエリート男・望月透もまさにそうだ。これまでの交際で常にリードする側だったはずの彼。
ところが恋に落ちたのは、6歳上の女だった。
年齢も経験値も上回る女との意外な出会いは、彼を少しずつ変えていく。新たな自分に戸惑いながら、波乱万丈な恋の行方はいかに…?
「あっつ…」
透は、部屋の中に充満した熱気を感じて、目を覚ました。起き抜けに吸い込んだ空気は、ぬるく湿っている。
素早く着替えると、マンションの中のフィットネスルームに向かう。
たっぷり40分のジョギングの後は、シャワーを浴び、キンキンに冷えたミネラルウォーターを飲みながらメールをチェックする。これが、現在の彼のモーニングルーティンだった。
透は、外資系コンサルティング会社で働く29歳だ。もともとは、こんな余裕のある生活をしていたわけではない。いつもだったらこの時間には会社にいた。
だが数カ月前からは、自宅ワークが推奨されるようになったのだ。
半裸でメールを返そうが、誰にも咎められない。よく考えてみれば、オフィスにいたところでやっていることは同じなのだから、なぜこれまで導入されなかったのだろうと思う。
最初は慣れないことも多かったが、今となってはずっとリモートワークが続けば良いとすら思い始めている。
ずっとオフィスで過ごしていた時間を、自宅やその付近で過ごすようになり、生活はガラリと変わった。
平日昼間、リビングの窓から見上げる青空。営業時間中に行くことのなかったお店。これまで交わることのなかった人…。
そして透は、以前であれば知り合うはずのなかった女にも、出会うこととなる。
ー今日も、あの人に会えるだろうか…?
最近の彼には、密かな“楽しみ”ができたのだ。
この記事へのコメント
タイムリーな話ですごくびっくりしました!!
こちらの二人も私も、うまく行けばいいなぁ☺️