あなたに会える、その日まで Vol.7

「実は、俺…」仕事中毒の夫が、妊娠中の妻に告げた決意。そのまさかの内容は

新しい命をお腹に宿し、赤ちゃんとともに過ごす十月十日。

花冠をつけて、マリア様のようにやわらかく微笑むマタニティーフォトの裏側には、さまざまな物語がある。

たくさんの笑顔と涙に彩られるマタニティーライフ。

あなたに会える、その日まで。

◆これまでのあらすじ

市川優は、独立したばかりのテキスタイルデザイナー。結婚5年目の33歳だ。

不妊治療の末、念願の赤ちゃんを授かるも、切迫流産での入院や、母親の孫フィーバーと、前途多難だ。

そんな中、仕事が忙しい夫の亮介に“大切な話”を切りだされて…


夫の亮介も優も、タイプ的には根っからの仕事人間だ。妊活をはじめるまでは冗談めかして、自分たちのことを「ワーカホリック夫婦」と自称していた。

2人が出会った職場は、大手紡績メーカー。化学繊維の研究員である亮介は、大規模な研究室と潤沢な予算があるこの環境こそが理想の場所だ。この職場が終の住処であることは早いうちから意識しており、定年まで勤め上げるイメージをしてきた。

一方の優は、美大出身のテキスタイルデザイナー。元々が嘱託として採用されていたこともあり、いずれ独立することは入社当初からの夢だった。会社の仕事はやりがいがありとても勉強になった。いつか自分を育ててくれたこの大きな会社に、恩返しがしたい。そんな、一人前のデザイナーになる日を、ずっと夢見ていた。

30代も半ばを迎えた今、当時思い描いていたそんな未来設計図を2人は着々と実現していっている。しかし、ここのところの亮介は様子がおかしい。

責任感が強く、残業や休日出勤も当たり前の状況でも仕事の手を抜くことはない亮介が、今では心身共に疲れ切っているように見える。

そして今、なぜか昼過ぎに帰宅して意気揚々と瞳を輝かせている姿は、どう見ても何かあったとしか思えないのだった。

「亮介?話って?」

胸騒ぎを抑えながら優は、はじめての胎動に大はしゃぎする亮介に問いかける。

そしてその質問に対して亮介は、お腹の子に話しかけるように、こう宣言したのだった。

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